言葉に拘りすぎる日本
講演の際、質疑応答や相談を受けるケースが多いのですが、その中で感じたことを書きます。
私の講演で気をつけていること
ありがたいことに各所で講演させていただく機会が年間250回を超えました。当然デジタルに関わるお話が中心でDX、働き方改革、SDGs、セキュリティ、メタバース、AI…本当にさまざまなテーマでお話しさせて頂いています。
様々なデジタルを業務にしてきた経験を活かしてお話しさせて頂いていますので、一つ拘りがあります。それは専門用語を使わないことです。
なぜかと言うと部門単位でも使う用語が異なり、他部門の専門用語は知らないのです。
そんな言葉を一般の人に使っても「わからない」となります。疑問が大きければ大きいほど、内容を理解できず、人は思考を放置しがちです。
放置されると様々な変革が進まないだけではなく、理解できない説明を別途受けても否定をしてしまうケースが多いのです。まずはちゃんと理解できる言葉や事例できっちりと丁寧にお話しすることが必要です。応用や具体的なデジタルのお話は理解できた上でなければ意味がありません。
よって業界用語や専門用語を使うことはなるべくせず使う場合はきっちりと補足を入れます。
中学生レベルにも話がわかるようにする様に心がけています。
曖昧な用語を気にする
講演の後の質疑応答で良く上がる質問で「自身が取り組んでいるものはDX、SDGs、働き方改革に該当するか?」というご質問を頂きます。
少し詳細な活動や推進内容を元にその言葉に従っているかどうか…という確認にも似たご相談です。
客観的に見て合っているかどうかを知りたい。と言うことだと思いますが、そもそも言葉に拘る必要はないのでは?と感じています。
DXだとわかりやすいですが、変革ができてやりたいことが出来れば良いわけです。
そこにデジタルが使えればDXに繋がるわけですが、それがDXかどうかより、現場が良くなったのかどうなのかが重要です。
よくなっていればDXと言えると思いますし、良くなってないのであればDXとは言いづらいかもです。
「DXかどうか」ではなく「良くなったという実感があるかないか」が重要なのです。
なぜDXをやっているのか。それは現場のありたい姿を形にするためです。
そのためには「DX」の定義に拘らなくても良いはずです。
本質を見失うと用語に即しているかが気になる
現場を変革する。働き方を変える。言葉としては簡単に発せられる言葉も実際、実行のための検討を開始すると途端に難しくなります。
何をすべきなのか。
どうすれば良くなるのか。
本当は何がしたいのか。
考えても難しい場合、実行や検討をする際に言葉の定義に即しているかどうか。が気になりだします。
即していればよし。
ただ、本当にそれで現場が良くなるのかは分かりません。
あくまでも言葉の定義上合っているのかどうかだけです。
本質はDXの場合は、デジタルを使い現場や環境、お客様への提供価値を「変革する」とこです。
「変革」についても現場の効率が下がる、環境が悪化する、お客様の提供価値が高くない場合は、X(変革)をする意味もなくなりますし、D(デジタル)への投資対効果を求められても割に合わないでしょう。
本質はあくまでも今よりも良くすることなのです。
言葉に惑わされないことが今こそ必要
2016年には働き方改革の相談がたくさん来ました。2018年になってDXの相談に切り替わり、2020年あたりからSDGsについての相談がたくさんきます。そして2022年以降は生成AIについての相談です。
確かに、その時々でバズワードが生まれ、「その言葉について学ぼう」という行動は決して悪いことでは無いのです。
ですが、肝心のその言葉が生まれた背景や本質を置き去りにしてしまうと効果が生まれることはありません。
最近のトレンドワードは共通して「変革」を促す言葉です。
働き方改革から8年、この部分は何も変わっていません。
「変革しよう」
「現状維持からの離脱」
位の方がよりわかり易く進め易いかもしれません。
言葉にこだわり過ぎるとこの本質部分が見えなくなってしまいますので、お気をつけください。
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