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目線を揃えてオトす

今回はプレゼンテーションテクニックの話です。ただ、プレゼン以外にも商談などや交渉などでも使えるテクニックなのでプレゼンを行わないひとにも使えるものです。

目線を揃える

 プレゼンテーションや交渉、商談などの際、非常に重要なのが目線を揃えることです。この目線を揃える。というのは単に共通点を探る。という話ではなく、これから話をすることに関して相手との認識を合わせるためのものです。ただ、目線合わせするために相手が理解していないことを説明する。というよりは、「自分が相手の目線に立った際、自分の話を理解できるのか?認識できるのか?」といった観点で考え話をすることです。
 聞く人からすると話されている内容に興味がなければ理解や認識はしてくれません。
子供の様に途中で飽きてしまうでしょう。かといって、難しい言葉をいちいち解説していても、内容そのものの理解は進まず単語を覚える程度にしか認識できません。

 「とはいえ、大人相手に話すなら自分でこちらの意図を理解してくれるのでは?」
 と思うかもしれませんが、自分の知らないことを簡単に理解してくれる人というのは非常に稀です。
 ですから、必ず相手の目線に自分の話や資料を合わせる必要があります。
 ただ、単に目線を合わせただけでは「話した内容を理解できる」だけで、相手を動かすことはできません。
 当然相手に話をする。ということは「理解しました。」で終わらせることはありません。当然、何かして欲しいからプレゼンテーションや商談、交渉などを行うわけです。
 この相手にアクションをさせる。というポイントをしっかりと話に盛り込まなければ意味がありません。ではどういう内容を盛り込めば良いのでしょう。

揃えた目線から落とす

 相手目線で相手に理解のできる話をする。これがプレゼンの基本です。
 アクションについては「買って欲しい」「手伝って欲しい」「行動してほしい」という様々な取り組みを進めてもらうことです。
 ただ、相手が今この商品は買いたい。今手伝いたい。今行動したい。と思っていることは稀です。

 うまくハマれば話をしただけでアクションしてもらえますが、そういう機会はなかなかありません。そういうときに必要なのが「揃えて落とす」ことです。
 相手が認識しているものと同様であることを同意しながら話を進め、最後に落とすのです。
 実際にこの揃えてから落とす例を皆様は普段目にしているはずです。

通販番組が好例

 その例が通販番組です。通販番組は当然ながら商品を買いたい。と思って見ている人は稀です。でも、最後には商品を買ってしまいます。なぜアクションにつながっているのでしょうか?それは、ちゃんと「揃えて」から「落とす」からです。
 通販番組は大抵、皆様の「普段の行動」を例に語られます。

 運動会シーズンの経験、大掃除の経験、朝の身だしなみ、お風呂での経験・・・

 様々な経験をシーンとして振り返って紹介します。
 この部分が目線をそろえている部分です。
 自分目線で、普段の行動を事例として例えられると人は自分の記憶の中からその事例にあう過去の事象を思い出します。

 ああ、あの時大変だったんだよね。困ったんだよね。・・・そんな記憶がよみがえってきます。

 通販番組ではその経験を解決する商品のご紹介をしているわけです。
 ですから、その商品があればあの時の記憶で困ったことを解決できるのではないか?と思えるわけです。

 ただ、その商品が自分の想定している価格であれば「アクション」には繋がりません。

 ですから、値段提示の際、皆様が想定している金額をあえて最初に匂わせつつも、最後に「落とす」つまり、想像していた価格よりも安い金額を提示します。
 目線を揃えている際には元々そういう価格だよね。と思っていたものが、想定よりもお買い得になるのです。
 ちょっと有っても良いかも?と思った人は電話をかけてしまう訳です。

XiaomiのEVカーSU7の発表会も好例

 先日行われたXiaomi初のEVカーの発表会でも同じようなことが行われました。

 非常に高性能な電気自動車でポルシェ並なスペックを持っているSU7は紹介の際に同等のグレードの車種を常に比較しつつ紹介が行われました。当然、ポルシェと同等のスペックやデザイン。となると聞いている聴講者はみんなポルシェ自体を頭のなかに描きながら話を聞き入ります。その中で頻繁にポルシェの価格が言葉として発せられました。当然ながら今、話を聞いている車はポルシェの競合で同じような価格帯の商品である。と印象づけられる訳ですが、最後の価格発表で、ポルシェの4割程度の値段を提示しました。聞いていた人からすると2倍以上が妥当と思っていたものがいきなりのディスカウント価格に感じられた筈です。

 実際に申し込み開始から27分で5万台が売れる結果になりました。

「揃えてオトす」をうまく活用する

 これらの例は相手の認識している価格を大きく下回ることで買いたくない人たちに買わせる手法ですが、アクションした方がお得である。旨みがある。と思わせることが「オトす」ことなのです。

 最後にその人にとって有益な材料を使ってオトすことで、人を動かすことができるのです。

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