liverbird by satoshi yokosuka

intelligence小説や、警察小説が大好きで、自分が純粋にこういう作品が読みたい…

liverbird by satoshi yokosuka

intelligence小説や、警察小説が大好きで、自分が純粋にこういう作品が読みたいと思うものを書いて皆様に読んでもらいたいと思ってます。 よろしくお願いします❗

最近の記事

INTELLIGENCE episode Ⅰ

《都内某所に在る深沼邸》 「おはようございます、義明様。紅茶がはいりましたが、お加減は如何ですか?」 「うむ…。今日はだいぶ良いみたいだよアルフレッド。」 「それはようございました。奥様に内緒で今日は少しばかりラフロイグをたらしてございます。」 アルフレッドはそう言うと、白い口髭をたくわえた口角を軽く持ち上げ茶目っ気たっぷりに片目を瞑った。 「輝明様からたった今連絡がございまして…。」 「輝明は今何処にいるのかな?」 「富山でございます。」 「ロンドンから帰っ

    • INTELLIGENCE episode Ⅰ

      事件処理の要請を受けた富山県警の刑事達が到着するまでに、深沼はある人物に携帯電話で電話をかけた。 「深沼だ。画像は無理だと思うが、音声は録れてるな。」 「録れてるよ。」 「おそらく盗難車だと思うが、ナンバーをこの後すぐにメールしてくれ。」 「それとブリーフケースの中身は一見本物のレポートに見えるが、"K"が事前にすり替えておいたダミーだ。それと発信器、GPSどちらもOKだ。あと、Nの照会は県警にやらせる。おそらく何台か乗り替える筈だから、かからないかもしれないけどな。」

      • INTELLIGENCE episode Ⅰ

        2000年2月14日。前日からの大雪で真っ白に染まったJR富山駅前ロータリーに、一台の黒塗りのセダンがダークスーツに身を包んだ四人の男達を乗せて停車していた。 男達は日本語ではない何語かを話し数分後、運転席に一人を残して三人の男達が車から降りていった。白い息を吐きながら、観光客や富山駅周辺に勤務する通行人とすれ違う。 三人の男達は周囲に警戒の目を配りながら、予め決めてあったそれぞれの配置についた。 たった一人の日本人を拉致拘束し、その者が所持している筈のある機密文書を手に

        • INTELLIGENCE episode Ⅱ

          区役所通りを一本入った脇道で三人のチンピラがセンスの欠片も無いダサい柄シャツ姿で煙草をふかしていた。 「今夜、組長と兄貴がブルーローズで飲むらしいんだわ。お前、時間になったら車まわしとけよ。」 「前みてぇにナンパなんかしてたら、ぶっ殺すぞ。」 「すんません。」 「それにしてもうちの組長もホント頭キレるよなぁ。俺らはバカだからわかんねーけどよ、兄貴からちょっと聞いたんだけどよ、殺し屋に殺し屋殺させるなんて、考えつくか?普通。」 「俺にはわかんねぇっす。」 「だよなぁ。

        INTELLIGENCE episode Ⅰ

          INTELLIGENCE episode Ⅱ

          《送信者:外事一課=真庭 享 行確対象者=蔡俊傑(通名=高梁俊英)に関するレポート 受信者:外事一課=釘宮 圭一》 警備局外事一課に所属する釘宮圭一は、同じく外事一課に所属する真庭享によるある行確対象者に関するレポートを赤坂にあるホテルニューオータニのラウンジでコーヒーを飲みながら読んでいた。 まだまだ蒸し暑い気候はこの先も暫くは続きそうだが、ホテル内の空調は勿論のこと、ラウンジの巨大なガラス窓から眺めるニューオータニの美しい日本庭園が東京の現在の気候を少し忘れさ

          INTELLIGENCE episode Ⅱ

          INTELLIGENCE episode Ⅱ

          JR京都駅地下街Portaに於いて、趙嫩黄と外事二課のagentが初めて接触したその約二年前、東京の新宿の夏空は不思議なオレンジ色をしていて、仕事帰りのサラリーマンやOL、大学生や専門学校生、ホストにキャバ嬢、風俗嬢にポン引き、日本のヤクザに警察官、中国マフィアに台湾マフィア、そこに殺し屋、薬中、精神異常者、スパイ、外事警察、シックス、CIA、偵察総局などありとあらゆる人間を混ぜ合わせて、毎日変わることなくずっと飲み込んでいた。 台湾人の母と日本人の父とのハーフであり、殺し

          INTELLIGENCE episode Ⅱ

          INTELLIGENCE episode Ⅱ

          趙嫩黄は、京都タワーの出入口がある脇道に入ると歩速を緩め消えるように京都タワー内に入っていった。 地下一階と二階を数回往復しながら、時折土産物屋に入るなどして消毒作業を行うと、先ほどの出入口から京都タワーの脇道に出て、もう一本先にある道を曲がり、室外機の熱風を受けながら古びた雑居ビルの二階にある中華料理屋に入っていった。 時間は正午より少し前だが、狭い店内のテーブル席は既にうまっており、趙嫩黄は滑り込むように一番奥のカウンター席に着いた。 「タンメンと半炒飯のセット。」 ぶ

          INTELLIGENCE episode Ⅱ

          INTELLIGENCE episode Ⅱ

          1998年7月14日。長い梅雨がやっと明け、盆地特有の暑さが真夏に近づきつつあることを告げているJR京都駅前のバスロータリーを一人の男が歩いている。 男は歩く。歩く。歩く。 己の信念に基づき、己の使命を果たす為に。 男は趙嫩黄(チョ・ドンウォン)といって、京都の山科区に住む在日朝鮮人であり、朝鮮民主主義人民共和国の朝鮮人民軍偵察総局(北朝鮮のintelligence機関)が長い歳月をかけてリクルート及び教育した工作員であった。 趙嫩黄の幼き日の記憶の中で最も鮮烈なものが

          INTELLIGENCE episode Ⅱ