mado

日記

mado

日記

最近の記事

2022京都旅②

2日目 曇りのち雨 二度目の六角堂。 泊まったホテルが目の前だったのでお参りさせてもらう。 ここの幸福守りはほんと可愛いんだよなぁ。 境内の鳩はぷくぷくしてて全然逃げなくってどっしりしてて、なんか本当に「幸せの象徴っすね」て感じで頷ける。 その昔、親鸞の小説にはまったことがある。 浄土真宗の開祖親鸞は、自ら己を凡夫といい放ち、人間味に溢れ、貧しい庶民に寄り添った人。神とは程遠いその人柄をとても魅力的に感じた。 比叡から下山して六角堂に籠ったとされる親鸞聖人。ここで聖徳

    • 2022京都旅①

      結局のところ、毎回毎回京都はリベンジの旅になる。 選択肢が多いのだ。 日本の歴史がつまった神社仏閣はもはやスピリチュアル化している。 京の情緒や風情を噛み締めるよりも、願い事を叶えてくれる場所巡りに翻弄される。 食事時以外だろうが、並びに並ぶ“老舗”の料理屋さん。喫茶店。 京都の街並みと現代のリアルが混在した魅力的なカフェ。 年季の入った和菓子屋さん、鳩居堂やよーじやさえ、この京都然とした店の佇まいにもはや風格すら感じられる。 1日目 雨 降り立った京都駅は何年ぶり

      • 忘れもの

        子供の頃、忘れ物をたくさんした。 教科書はもちろん、習字道具、体操服、縦笛、家庭科で使う三角巾。みんなコンスタントに忘れていつも友達に借りるか休み時間に家まで走って取りに帰っていた。 今で言えばいわゆるADHDの類だったのかも…なんて都合良く解釈をしてみるのだが、案外似たような子はクラスに何人かはいたし、あの子より私のがマシ、みたいなよく分からない自己肯定感もあった。 しかし、意外とこの症状は長引いた。 中学生になっても高校生になっても、果ては短大で大人に差し掛かろうかとい

        • わたしたち

          あんまりだ。 あんまりじゃないか。 読んでいる最中も読んだあとも、そんな言葉がよぎった。 物語は淡々と進んでゆく。 「韓国の82年生まれの女性で最も多い名前」である“キム・ジヨン”がこの世に生をうけてから結婚し、出産して母となった今現在に至るまでの人生が淡々と綴られる。 人によっては、なんでもない普通の日々が描かれているだけじゃないかと首をかしげるだろう。 人によってはなんと男尊女卑な!と憤るんだろう。こんなものは誇張だ!男性差別だ!と声を荒げるだろう。 確かに言えるこ

        2022京都旅②

          女性たちの乾杯

          亡くなった母方の祖父は下戸だった。 その血を継ぐ、祖父よりも前に亡くなった母はやはりお酒を嗜むイメージがなく、350ml1缶のビールをまだ学生だった私と分け合って晩酌する程度だった。 やさしくて明るくて努力の人で病気ばかりして、なのに家族のことを一番に考える人で、誰より先に死なれるととてつもなくやっかいな人だった。 おかげで母の亡き後、うちの家族はわかりやすく機能不全に陥り、何十年と母の面影を追って生きていくこととなるのだ。 *** お酒が弱いと思っていた母とは違う一面

          女性たちの乾杯

          チップ

          コロナの影響で、身の回りの環境も微々たるものだけれど変化している。 最近では40年近くともに暮らしたアップライトピアノを手放した。 小学生から中学の終わりまでの多感な時期にお世話になり、いつもそこにあった黒々として重量感があってやたら存在感のあるその人は、今では布ですっぽり覆われ、部屋でやたら場所をとるお荷物になってしまった。リモートワークの昨今。机変わりとして使われたピアノの悲劇たるや。 当時は習い事全盛期。 一家に一台必ずといっていいほどピアノはあった。決して裕福ではな

          チップ

          『心に一人のナンシーを』

          今現在、国民の大多数がおうちにこもっているわけだからやることと言えば限られてくる。 我が汚部屋も年末のプレッシャーすらはねのけてきたのに、数年に一度、あるかないかの大掃除をやる気にさせてくれたのがこのコロナだというのだから皮肉なもので。 そして部屋の片づけから本棚の整理へ。数分後、売ろうとしてまとめた本タワーの中から読み漁るというやりがちな行為を私もやってしまっていた。 評伝ナンシー関「心に1人のナンシーを」        横田増生著/朝日新聞社 ナンシー関という人彼女が

          『心に一人のナンシーを』

          たたかう人々

          このご時世。うかつに外出も出来なくなってしまった。 ああ、飲みにゆきたい・・・・愛しのえいひれよ・・日本酒よ・・ 普段は風邪一つひかない健康自慢を吹聴していた自分が、運悪く花粉症の時期と重なり、数週間前には人ごとだったのが周囲でもリアルにざわつき始めたちょうど同時期に、大量のくしゃみと鼻水が勃発。今年にいたっては喉もやられ、仕事中も突然せき込む始末。ああゆう時って何も語らずとも人の思考が透けて見えるのはなぜなんだろう。微妙な空気。いつもとは違う微妙な人との距離感。こんなにも

          たたかう人々

          自由に

          昼休みになると、唐突に思い出すことがある。 30数年前通っていた小学校は、わりと街に近い場所であったにも関わらず、その一帯は戦後あまり復興が進まなかったせいか高い建物が少なく、四方遠くにそびえるなだらかな山々がよく見えた。 その手前に新幹線の高架橋が長く伸びる。ちょうど真正面に駅があるためか、遠くから走り寄る新幹線の動きはゆるやかに映る。 給食を食べ終わって廊下に出ると、窓越しに新幹線が駅に滑り込もうとする光景がよく目に入った。 そして昼休憩のとある時間、毎日遅れることなく

          自由に

          福岡へ

          新幹線はこだまで出かけた日帰り福岡は、久々の旅気分でした。 目的は、友人が行きたいと言ってた福岡市立美術館で開催中の「ギュスターヴ・モロー展」 美術に何の知識もありませんが、彼が描く1番有名な表題作〝サロメ〟の、ヨハネの首が空中浮遊してるやつは、さすがに観たことはありました。 聖書等の宗教画というのか、そういった抽象的な主題は予習が必要な気がして中々とっつきにくいのですが、このサロメという悪名高き女子⁉︎に関しては、昔からやけに思い入れがあります。 私的にざっくり要約す

          福岡へ

          メインテーマは?

          昨年、大好きな紀伊國屋書店でおすすめされていたのが、このアンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』(創元推理文庫/上・下巻) 最近では手に取ることのないジャンルだっただけに躊躇しました。上下巻。しかも文庫本なのに強気の値段設定。むかしは乱歩シリーズで馴染みがあったけれど、はて。こんなに高かったっけ。 クリスティーをまさかの卒論に持ってきた身としては、彼女へのオマージュ、ホームズにも通づるイギリス感、などなど、小説自体よりも己の好物感が先にきて手に取った作品でした。何より装

          メインテーマは?

          そういえば京都2

          京都に何度か行って、シーズンの行楽も寺巡りも買い物も、モーニングも湯豆腐も団子も喫茶店もひと段落した頃、思いたって比叡山に行くことにしました。 年々京都への欲望は高まり、あれもしなければこれも見なければ、という、当時何一つ記憶に残らなかった分刻みのスケジュール、修学旅行状態になっていたのです。 よくよく考えてみればせっかくの古都。 情緒や風情を楽しむはずが、寺や神社に行けば己の願いを叶えてくれ…と勝手にスピリチュアル化し、懇願しに行くものに変わり果てていました。 煩悩から

          そういえば京都2

          そういえば京都

          20代のころ、意識高い系女子にならって私も京都が大好きになりました。 それまで京都と言えば、中学の修学旅行程度。 あの団体旅行に何の感慨も残っていなかった私が京の都に染まれるのか?と、不安ではありましたが、当時訪れた平安神宮も金閣寺も清水寺も、大人になってから巡るそれらは全く別物でした。 まあ、修学旅行という分単位、しかも団体で行動しなければいけないという状況、そして多感な10代では、まだまだ京都の良さなど分かり得なかったことでしょう。記憶にあるのは、班行動で動くのが基本だ

          そういえば京都

          SONGS

          ASKAが事件を起こす前年、彼のソロコンサートへ1人で行った。 熱狂的ファンだった高校時代から20年以上経っており、当時チャゲアスとして人気が出、入手困難だったチケットも、ソロではあるけれど一般から回された当日券も出ていた。 それでも久しぶりに彼の姿と満席に近い会場を見た時は感慨深く、ファンと公言しつつ、いつしかメディアや世間と呼応するように離れていった自分が恥ずかしくなるほど素晴らしいコンサートだった。 当時観た、チャゲアスの大掛かりで華々しい舞台演出とは違う、マイクス

          おっさんたち

          思えば おっさんずラブ単発ドラマにはまり、祝連ドラ化!で周りに絶対オススメドラマ、として吹聴していた当時が懐かしい。 時が経ち、このドラマも俳優陣も、あれよあれよという間に社会現象となって映画化、続編と勢いが増すばかり。 ということで、おさらいしてみました。 そもそも田中圭のファンだったもので、数少ない主演にこちらも気合が入っておりました。 そして始まったおっさんたちのピュアな愛。 こわもて部長鋼太郎の、乙女なはるたん愛に爆笑し、時に涙し、男2人から告られてうろたえ悶えるは

          おっさんたち

          お酒とミステリー

          推理小説、もしくは探偵小説好きで、卒論はクリスティや乱歩という純文学から外れたテーマで、最終的に評価も外した記憶がある。 思えば小学生時分から、未来はきっとワクワクするような出来事があるはずだと、なんとなく期待していた。 映画はグーニーズやスタンドバイミーが好きだった。平凡な私も、きっとこの小さな主人公たちのようにいつか旅に出、大海原にでて、大きな冒険をするのだと疑っていなかった。 ドラマや小説の主人公のように、大事件の謎解きをするのだと信じていた。 そのようなアホな考え

          お酒とミステリー