見汐麻衣

singer,musician / writer ✍️. 初エッセイ集『もう一度 猫と…

見汐麻衣

singer,musician / writer ✍️. 初エッセイ集『もう一度 猫と暮らしたい』(Lemon House Inc. )発売中。 Lemonhouse https://lemonhouse.jp/artist/mishio-mai

マガジン

  • 寿司日乗または雑記

    日記。雑感。

  • おはよう、荒野。

    見汐麻衣による連載エッセイ。毎月、隔週土曜日の更新です。

  • NEWS

    新作、新譜リリース、ライブスケジュール等についてのお知らせなどになります。

  • 音楽

    音楽にまつわる雑文。 寿司日記に書いていたものをアーカイブしていこうと思います。

  • お茶のお供に

    ■毎日なんでもないことを繰り返す中で、発見と気付きの中間に佇む様な瞬間が度々訪れる。見てみぬふりをして通り過ぎたって構わない、忘れられる過去からの賜物。皆様の一服のお供に。 別のサイトにアップしていたエッセイをこちらにまとめました。

最近の記事

寿司日乗464〜470

2024年3月4日(月)晴れ 朝、起きるも気分が優れないので洗濯機を回してカカオチョコレートを食べる。夕刻まで作業に勤しむもどうも効率が悪いなとうすうす気付いているがやる。孤独にもグラデーションがあるのか、優劣があるのかなどと作業している時に考えるようになっており頭を左右に振るなどする。不意に自分の名前を何度も何度も紙に書いてゲシュタルト崩壊する瞬間に解放された気分になる。暗い。 夕方、Kと食事。台湾土産を渡し、酒など飲み2軒目は馴染みの店に移動しKが普段飲まない酒を飲ん

    • とまとおじさん 2

      「お母さんはさぁ、とまとおじさんのことどやん思っとる?」 「どやんもこやんもなかやろ。みんないいお客さんやんね。なんでそやんかこと聞くとね?」 「別に、ただお客さんの中でいちばん話しやすいけん」 「……麻衣よ、話しやすいけんがいいひとやと思わんこと。やさしいけん、親切やけん、話しやすいけんてそいはね、その人間の質とはなんも関係なかけん。気をつけにゃならんとよ」 店に向かう車中、母にそれとなく尋ねてみたものの諭されただけだった。 「あんたはどう思っとるかわからんばってん、お母さ

      有料
      100
      • 寿司日乗457〜463

        2024年2月26日(月)曇 朝起きてジャッキー・チェンの映画を観るでもなく観てホテルをチェックアウト。帰京は関西国際空港経由羽田(トランジット5時間!)ただ移動する1日。飛行機で「ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years」観る。インタビュアーがジョンに質問する。「ライブが素晴らしいね。熱量を維持する秘訣は?」23歳のジョン・レノンはこう言う。 「コツコツやるだけさ」素直な答えだと思う。本当にコツコツやるだけだ。 関空到着、搭

        • 見汐麻衣エッセイ『もう一度 猫と暮らしたい』発売イベントのお知らせ

          見汐麻衣初のエッセイ集 『もう一度 猫と暮らしたい』(Lemon House Inc.) 2023年5月発売からはや9ヶ月、引き続き好評頂いております。 ひとえに皆様のおかげです。 今回、東京と大阪にてトークショウ(大阪はライブもあります)開催します。東京は文筆家、僕のマリさんとご一緒させて頂きます。 大阪はトークゲストに「blackbird books」店主、吉川祥一郎さんをお迎えし色々なお話ができればと思っております。 ご来場、お待ちしております。 【東京】 三軒茶屋 

        寿司日乗464〜470

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        • もう一度猫と暮らしたい(エッセイ集より期間限定公開中)
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        記事

          とまとおじさん 1

           1989年、10歳だった私は週末の殆どを母の営むスナックで過ごしていた。学校と家の往来、近場の公園や友人の家、近所をうろつき回るだけの世界では味わえない社会の縮図のような、店に集まる普段あまり会うこともない大人達に場合によって子供として扱われ、態度や言葉が私に対するおべんちゃらだと察した途端に意気消沈、次の瞬間には腹が立つような子供だった。 子供は子供なりに大人に気を遣い、その気遣い方は物知らず故、大人のそれより鋭い割に表現は下手くそ。常に敏感になってしまうのだが大人ときた

          有料
          100

          とまとおじさん 1

          寿司日乗450〜456

          2024年2月19日(月)晴れ 朝、起きれないラジオもつけていない。締切のある諸々が停滞しているが気にしないようにして近所の食堂で昼飯。ここ数年通っていたのだが徐々に味が落ちていくことがつらい。今日初めてオカズを残してしまう。店主のおじいちゃんも多分引き際を考えているのかもしれない。せつない昼食。 タモリ本が面白いので読み終わりたくないが読む。のち夕刻まで作業。 夜は友達がレゲエマンデーという企画をやると知り阿佐ヶ谷の馴染みの店へ。音楽がいいと静かにうまい酒が飲めるし、話

          寿司日乗450〜456

          【note】隔週土曜日更新の『おはよう、荒野』ご購入頂いている皆様、2月24日(土)更新の回が遅れてましてごめんなさい。27日(火)に更新します。お待ちください🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️

          【note】隔週土曜日更新の『おはよう、荒野』ご購入頂いている皆様、2月24日(土)更新の回が遅れてましてごめんなさい。27日(火)に更新します。お待ちください🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️

          寿司日乗443〜449

          2024年2月12日(月)晴れ 昼、先週から続く鬱屈した気分と体調が漫画や映画をひたすら観続けることと毎日のルーティンによりなんとか持ち直してくる。 ヤマシタトモコ『違国日記』安藤ゆき『町田くんの世界』はいつ読んでも泣く。生きていくことで軋みが酷くなる心身に油をさすような漫画があることのありがたさ。 夕方、散歩にでて前を歩く人と同じテンポ、同じ歩き方を模写して歩く、をやる。時々そういうことをする。自分のそれとは全く異なる他者が備えた歩き方、テンポをただ真似ることで知らない

          寿司日乗443〜449

          寿司日乗436〜442

          2024年2月5日(月) 曇りのち雪 朝、起きるも具合が良くない。悪寒を身体中で受け止め朝飯だけは食べたが完璧な風邪。薬を飲んで終日棒になる。川の流れのような鼻水が雪を眺める窓の冷気にひやされ気持ち悪いのでエンドレスにかむ。 過去に赦してきたと思っていた細かな出来事が体調を崩すとぶり返す。悪い気持ちが一気に顔を出し赦した筈のアレコレに苛立ちは増幅し罵詈雑言を書き殴り(吐いて)寝る。自分の中に納めたと思っていた怒りや苛つきが成仏などしていないことを確認し、益々気分が悪くなる。

          寿司日乗436〜442

           「中華屋にて」 

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           「中華屋にて」 

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          Mikiki 八代亜紀追悼 寄稿コラム

          八代亜紀さん追悼コラムの依頼を受け、僭越ながらわたくし書いております。 少し長い文章ですがお時間許す際、ご一読頂けますと幸いです。 八代亜紀 追悼――大人達の心のささくれと日々を歌で優しく撫でていた

          Mikiki 八代亜紀追悼 寄稿コラム

          寿司日乗429〜435

          2024年1月29日(月) 晴れ 朝、起きてコーヒーを淹れる。 原稿仕事ひとつ終えて送るも、私は本当に何度も何度も何度も推敲する癖(これはもう本当に癖だと思う)があり、途中で書きたかったことが迷子になり訳がわからなくなることも多い。で、最近は色々な書き方を試しながらやっているのですが、やりながら思うのは音楽と同じで正解はなく完成させた時にもそれは本当の意味で完成ではないという思いが湧くようになり、幾ばくか癖は解決された。文章に上手さを求め過ぎてもよくないなと最近は思う。 美

          寿司日乗429〜435

          寿司日乗422〜428

          2024年1月22日(月) 晴れのち雨 朝、ラジオをつける。洗濯機を回して粥。 のち、1日作業。集中していると脳みそが高揚しているので晩飯をしっかり作る余力がある。晩飯をたべながら細野さんのラジオを聴く。シャッポがゲスト。細野さんの声がいつもよりリラックスしているのが伝わってくる。放送最後の3分辺り、何となしに話していた内容が至言。あー、本当にそうだよなと心に留める。 去年末、高城君に音くんを紹介してもらい話すと大変におもしろく、ブギーから元祖三人娘、フレッド・アステアま

          寿司日乗422〜428

          静と動

           本屋に行き読みたい本を買うという目的の為に本屋に入る場合、滞在時間は5分位なのだが、基本的に本屋にはフラと入ることが多い。特別欲しい本がある訳ではなくとも、背文字の並ぶ本棚をゆっくり時間をかけて眺めることがとても楽しい。平積みの表紙には情報過多な文言が多く(それを揶揄するつもりは毛頭ない)、「ごめんよ、今はいいんだ。こっちを見ないでくれすまないね、また」とやり過ごしひたすら背文字の並ぶ棚を目で泳ぐ。 ツアーや旅先で訪れる古くからその街で営んでいる古本屋を見つけると吸い込まれ

          有料
          100

          寿司日乗415〜421

          2024年1月15日(月) 晴れ 朝、ラジオをつける。生活は踊るを久々に聴くと、なんとなくジェーン・スー(敬称略)の声がいつもより低い。抜けが悪いというのか。インフルエンザで休んでいたと知る。声にはその人の情報が全部でるものだと常々思うのですが(エッセイにも書いていますが)、声を使う仕事は本当に、本当に大変だなと改めて思う。なんだ、わたしジェーン・スーのことめちゃ好きなんじゃないか。洗濯機を回して、洗い物をして昼食。 昨日購入したハン・ガンの本を読み進め、ビックリする程今

          寿司日乗415〜421

          寿司日乗408〜414

          2024年1月8日(月) 晴れ 朝、とてつもなく気分が良くない。 散歩に出て、そのままファミリーレストランに入り食事をとる。ひと席開けた左隣の女性はずっと家計簿をつけていた。「なぜ、ここで……?」家ではできない理由があるのだろう。 電卓を叩く音が徐々に大きくなる。そしてため息の後、天を仰ぎ微動だにしない。卓上に並んだドリンクバーのコップの数は滞在時間の長さを教えてくれる。 女性を横目で見つつ、日々自転車操業である私の未来はいずこ……私も同じ様に天を仰ぐ。未来、考えだすとお腹

          寿司日乗408〜414