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絵が下手くそな営業がマークダウンを使うと絵が上手くなる(かもしれない)話

絵が下手くそな営業は技術者を困らせる

起業して間も無く、某大手メーカーさんの新規サービスデザイン案件を受けることになりました。その際、営業窓口である僕は先方の技術部長からサービス構想をヒアリングし、その内容をデザイナーに伝えるということをしており、言葉で説明し足りないところやイメージについては、絵で補完しようとしていました。

当時のことを思い出して書いた絵がこちらです。

何でしょうね。
血が出てますね。

一体何を解決するサービスの話をしていたのか全く見当がつきません。ちなみにこれは、海外で働いているワーカーが怪我した時にと言う設定で書いてる絵なのですが、ひどいものです。伝える力の欠如によって、僕がヒアリングして来た内容を、さらにデザイナーにヒアリング・抽出してもらうと言うコストを取らせてしまっていたのです。僕は営業なのに、クライアントとデザイナーのブリッジ役として伝える力が足りなすぎる、と当時とても落ち込んだことを覚えています。

ちなみにこれをキッカケに、僕は会社の中で「絵心0」のレッテルを貼られてしまいました。とにかく悩んでいても仕方ないので、まず「"伝える・伝わる"ために必要とされる知識」って一体何だろうと改めて考えてみることにしました。

情報を整理するための知識

当時、弊社エンジニアの時藤(現CTO)に、相談してみたところ、こんな返答が返って来ました。

「渡邊さんは伝えたい熱量は凄いんですけど、それと同時に情報量が多いですよね。補足説明とかノイズとかがチリツモで増えてるのかも。絵に情報を落とす前の情報整理ができてないから、絵の説得力も薄いっていう可能性ありませんか?」

確かに、僕は制作物とクライアントの要望に齟齬がない様、一言一句逃さず伝えようとする癖があるので、「ここさえおさえて伝えれば大丈夫」という情報の整理に対して意識が薄かったかもしれません。

自分の課題を自覚して、どうにかしなければと思っていた時CTOから「情報整理するなら、マークダウンで営業日報を書いてみれば良いのでは?」と助言を受けたことをキッカケに、その時弊社で試験的に使っていたQiitaでマークダウン記法を使い情報をストックし始めました。

少し説明しておくと、マークアップはHTMLやXML、SGMLなど「タグ」を使って意味づけを行い、文書を構造化する時に使う言語で、これを簡単にしたものがマークダウンです。

最初はうまく書けずにいましたが、CTOが毎回丁寧に編集をかけてくれて(本当に #ありがとう )、その差分を見ながらどこが整理として良くなかったのかを学んでいきました。初めは大量の情報を詰め込んで段落に捌くだけで精一杯でしたが、続けているうちに「これは必要」「これは不必要」と言う自分なりの「情報選別のボーダーライン」が作られていき、所謂要点となる部分だけを抽出できる様になっていくのが実感できました。その頃メディアで記事も書いていたのですが、1万字で語られている内容を添削し、2,000文字程にまとめて要点だけを伝えられる様になってきたのです。

僕にとってこのマークダウンは情報整理の技能のひとつであり、すなわち自分の課題解決に繋がる有効な知識となったのでした。

社内ゲーム大会の「絵心部門」で一位になる

それから一年後、新入社員が入ったことをキッカケに社内で歓迎会兼ゲーム大会が開かれました。その時に「絵を書いて、周りがそれを見て何を描いたのか当てる」というゲームがあり、僕にとってはこれが待ちに待ったリベンジ戦となりました。
ゲーム終了時に「一番、絵で伝えられた人」=絵心部門の結果発表があるのですが、そこで1位を取り、自信を取り戻すことができました。自分の絵を見せることに心理的安全性がなかったところから、僕の絵を見て欲しい!と言うところまで持っていくことができたわけです。そして、このお題を見て瞬時に絵に落とすと言う作業は、クライアントの課題をヒアリングしながらリアルタイムで絵に落とすのと似ていて、つまり特徴に対する瞬間的な分析能力が必要と言うことなのかなと思い至りました。

この体験をロジックにしてみると、下記の様になります。

マークダウンを使ってアウトプットし続ける

情報整理を繰り返し行う

要点の抽出がうまくなっていく

特徴を瞬間的に掴める様になる

端的かつ的確な表現ができる様になる

絵で伝えることがうまくなる↓結果、絵がうまくなる(かもしれない)

タイトルに「営業が」といれましたが、可能性としては営業でなくてもこのロジックを元に体験を重ねることで、絵で伝える力が付き、結果絵が上手くなるかもしれません。

最後に、これが今の僕の絵です

これは、弊社デザイナーの三宅が製作した「9 pannel scenario」という「会社の中で、社員が理想的な体験として望んでいるものを可視化する」フレームワークを、僕自身を被験者として実施した時に描いた絵です。これだけ見ても、かなり変わったことがわかると思います。

ナレッジシェアは課題解決に必須な技能

先程「最後に」と言いながらもう少し続けますけども、「絵で伝える力がない」という課題解決のキッカケとなったのは、技術者が持つ技能を社内でシェアしてくれたことでした。チームの中でまだ各自の技能がアウトプットされていない、もしくはされる文化がないのであればそれはとても勿体無いことだなと感じます。ナレッジシェアは言い換えれば知識のチームプレイなので、こういった活動が地盤にあるチームはやはり課題解決能力も高いのではないかなと予想できます。もしかしたら、気づいていないだけで、今抱えている課題を解決するキッカケを与えてくれる人たちはすぐそばにいるのかもしれませんね。

おわり。

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