焼け野原

待ってたら父が迎えに来る

そう思って食堂で待っている

食堂では美味しそうなすき焼き丼を盛り付けているのがカウンター越しにみえる

料理人が作ると運ぶ人がまずは2階へ持っていく

自分の注文したすき焼き丼が前に出された。

美味しい。

速く食べたら困ると思った
きっと父が迎えに来るのはまだ時間が掛かる

それならこの美味しいと感じている時間を
もう少し伸ばしていたい

しばらくすると
屋外から変な物音が聞こえた

店の中は異変に気づきながら食事を何となくすすめている

窓の向こうから赤い色が見え始めた

外へ出ると火が風と野原に煽られながら一帯が焼け野原になっている

急いで店の中の人に避難の声を掛ける

皆が避難している中、自分の荷物がまだ店の中だと気づいた

急いで全部は持ち運べない

手荷物の携帯に火が移っているが
これが無ければと思い

携帯だけ取り出して外へ避難した。

携帯は焦げ始めていた

電話には留守電が残っているようだ。

録音の音が少しだけ聞こえたが
多分母の声で内容が聞き取れなかった

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