カンボジアのサッカークラブがキャズムを超えた3つのポイント


こんにちは。加藤です。

経営しているカンボジアのアンコールタイガーFCのホームゲームが終わり、
もう一つのクラブを経営しているナイジェリアに来年日本に連れてくるナイジェリア選抜U12のセレクションに向けて、移動中です(今、ドバイ)

先日のアンコールタイガーFCのホームゲームで自ら持つ、
カンボジアリーグ観客数レコードを塗り替えて4377人の観戦者が来場しました。
Jリーグと比較すると大したことありませんが、カンボジアリーグの平均観客数は300人程度で多いクラブでも1000人程度なので、飛びぬけた状況です。

今回は、4年前にカンボジアの首都プノンペンのサッカークラブを買収して、どのようにキャズムを超えて人気クラブになったのか。

ベーシックな部分で汎用性があるので、3つのポイントをシェアしたいと思います。

① ターゲットを絞る
~火を灯す種火を作る~

② 「No.1、First ever」を作る
~灯した火を大きくする~

③ 「IではなくWe」で呼びかける
~みんなで薪をくべる~

① ターゲットを絞る
買って2年目で金・歴史・ファンもいない状態からのスタートで強く・歴史のあるチームと戦っていくのは難しい、という判断からターゲットエリアをシェムリアップに絞り、移転しました。↓その背景記事はこちら(読んでも読まなくてもよし)

シェムリに来てまずやったことは、ターゲット層の絞込です。
企業でこの話をすると必ず不安になる方がいますが、これはその層以外狙わない、ではなく、どこから火を灯すかという意味合いです。

タイガーは予算や人のリソースが限られており、かつ当時人気がある訳でもないので、ランチェスター戦略の通り、全方位にアプローチするのは非常に効率が悪いです。

ターゲティングは下記観点で決めました。
「獲得魅力度」・・・獲得の魅力度は、該当層のボリューム、消費ポテンシャル、影響波及についての現在と未来の変化
「獲得可能性」・・・クラブ・商材との相性、アプローチ難易度

その中で選んだのは高校生・大学生です。
(日系なのでまずは日本人を、なんてことはほんの少しも頭をよぎることはありません。在住日本人に怒られそうですが、もちろん嫌われたい訳では全くありません笑)

高校・大学生は獲得魅力度の観点からすると、確かに消費ポテンシャルという意味では現状は低いですが、国民の平均年齢24歳のカンボジアで、人口ボリューム、そして何よりもスマホ世代の彼らは消費やトレンドに関するインプット・アウトプットが圧倒的に高く、影響波及が強い層です。

一人当たりのGDP1000ドル強のこの国でファンからの課金は現状考えていません。
伸びるしかない経済の中心となる彼らとともに、クラブも成長していければと考えています。


そして、獲得可能性です。


カンボジア人はSNS上では色々なものに興味を示しますが、実際に行動に移すかというと、そうはならず、リアルな接点・パーソナルなやり取りが非常に重要になります。
学生はまさに学校という生簀の中に大量にいるので、直接のリアルアプローチが可能になります。

上記のターゲット仮説があったため、シェムリ移転時にまだアマチュアではありましたが、8人ほどシェムリアップ出身の選手を獲得しました。もちろん彼らのポテンシャルを見て獲得しましたが、マーケティング上の狙いもありました。
見事に成長してくれて、レギュラーやサブメンバー、そして現在代表選手に選ばれた選手もいます。

もちろん施策はそれだけではなく、街の高校・大学を洗い出し、スタッフ総出で泥臭くビラ配りを徹底的に行いました。
ブランディングとかきれいな言葉じゃなく、リアル接点・パーソナル接点が重要なので、このゲリラ戦が何より大事です。
高校生の時に学校の前で予備校のスタッフが塾のビラを配ってるあの感じです。(僕たちは許可を取って学校内で配りまくりましたが、、、笑)

それが功を奏して、完全移転して数試合後にスタジアム調査で3回以上の来場者が90%。NPSという指標=周囲の知人にお勧めしたいかという10段階の設問で9か10を付けた人が80%という驚異的な数字でした。

イノベーター理論でいう、イノベーター・アーリーアダプターが形成された状態です。

② 「No.1、First ever」を作る
コアファンが形成され、学生やサッカー好きの間で、シェムリアップでアンコールタイガーFCというサッカークラブが来たらしい、という話が少しずつ拡がり始めました。
次は大事なフォロワー層です。この方々は単純にサッカー訴求をしても来場してくれません。
なぜならば特段サッカーに興味がないからです。
日本でもワールドカップの時は観に行くけど、Jリーグは観に行かない、というあの感じです。

しかし、ここを大事にしないと、ただのマニアックなクラブになります。
特に注意しなければならないことはコア層が排他的になってなり、フォロワー層が入ってこないことが良くあります。(Jリーグのクラブではよくある気がします)

ここで重要なことは、話題性です。
周囲として話題として話せること。カンボジアはエンタメが少なく友達とのおしゃべりが大きなエンタメコンテンツです。
そこにコンテンツを提供するのです。
そういう意味ではメディアが非常に重要です。(特にサッカーメディア以外)

注目を集める、メディアに取り上げてもらう、ということで僕たちの合言葉はNo.1とFirst ever(●●初)です。これは組織マネジメントの方に入りますが、シンプルでメッセージ性のある口癖や共通の合言葉は超大事です。

企画や施策を立てる時に「それって何かの領域でNo.1になれるの?」「それってカンボジアorリーグ初なの?」を自問自答します。
ここについては、カンボジアリーグのほぼすべてのクラブはあまりマーケティングをちゃんとやっていないので、ここは比較的容易でした。「毎年ボールを5000個配る」「チケット料全額小児病院へ寄付」「ハーフタイムでのスター歌手Live」「シェムリアップ出身選手クラブ保有No.1」「ユニホーム販売No.1」などなど。
モノによっては達成できなくても構いません。それを目指していること自体が話題になります。

これの積み重ねでファンもメディアも「タイガーは次、何をやるのか?何を目指すのか」と期待が高まり、それが連鎖して多くのフォロワーが来場してくれるようになりました。結果として、「観客動員数No.1クラブ」や「リーグレコード」を打ち破り、No.1やFirst everが積み上がるという好循環になりました。

③ 「IではなくWe」で呼びかける
ここまで来るとフォロワーも話題性のある企画の時に試合を観にきますが、単発だと途中でスリープ顧客になってしまいます。そこでみんなで薪をくべ続けること状態を作ることが大事です。クラブだけが薪をくべ続けると火は大きくなりません。
その中のキーワードは「IではなくWe」です。
タイガーはNo.1になった。
タイガーは優勝を目指す。
タイガーは壁を打ち破らなくてはいけない。

ではなく、ファンも含めた「私たちは」です。
実は今季のホーム開幕戦、ホーム開幕2戦目はBreaks5000プロジェクトとして、観戦者5,000人を打ち出しました。
その際も「5000にを目指す!」じゃなくて、「5,000人で相手に勝とう」
「5,000人という新しい歴史を一緒に作ろう」
「5000人の壁を一緒に乗り越えよう」

というメッセージを発信し続けました。
結果として、3090人、4377人とどちらも行きませんでした。しかし、私の下記の投稿に対しての1番上のファンのコメントです。

すでにクラブと一体化してくれてます。
実際に彼らは自分たちのページのポストでも、「5000人でスタジアムに来て、歴史を作ろう」と呼びかけてくれてます。

この声援が後押しで、この日は今まで勝利したことがない強豪に勝利しました。

試合中沢山の悲鳴や歓喜の声が上がります。
僕もですが、なかなか日々の生活で悲鳴あげたり、歓喜をあげたりとかありませんよね。あったら少しヤバめですよね笑。

これがスポーツの力なんだな、人の心に潤いを与える。そう思いました。

私たちのミッションは、
カンボジアの夢と希望と勇気の象徴として、日々の生活の潤いになる

です。

ビジョンは、ASEANNo.1 です。

タイやベトナムを中心にかなりハードルは高いでしょう。でも、だからこそ、そこに立ち向かう夢と希望と勇気が生まれる。

そう思ってるし、カンボジアのみんなにそう伝わるように頑張ります。


今回は、株式会社フォワードが大手企業に提供しているブランディングのベーシックなことですが、恐らく私たちはアンコールワットしか観光資源がないと言われている、シェムリアップの街を変えていくでしょう。

今、私たちはキャズムを超えて、サッカークラブを超えたサッカークラブになろうとしています。

ぜひ、Jリーグとは違った熱さを観にカンボジアにお越しください。

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加藤明拓(あきひろ)

メッシ超え、バルサ超えを目指してます。 今は株式会社フォワードの代表、カンボジアとナイジェリアのサッカークラブのオーナーをしています。
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