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6/20 今さら炎上(銀座いせよし)

銀座いせよし?どこそれ?ってのが第一印象なんですが、また広告が炎上していると聴いて。しかも2016年に掲出したポスターですよ?やばくないですか?いまさら感満載ですよ。

広告を仕事とする立場からいうと、 正直そこまで目くじら立てないでよ、、という事例も多々ある。それがホンネではある。 Twitterが日本風にローカライズされ、上手く匿名社会に溶け込んでしまったおかげで、日々「炎上」を楽しんでいる層がいる。困った。

広告を作る過程で、倫理的に問題ないか?とか差別的な表現が無いか?誰かを傷つけたりしないか?ということを何重にもチェックするが、もはや「世間」とか「空気」としか言えないものは気まぐれ過ぎて誰も読めない。(まぁ空気読める人がトップクリエイターなんですがね)しかも数年前のモノまで持ちだされたらもうお手上げっすよ。

勝手な予想ですが、この広告はあまり人の目に触れないだろうと思ったんではなかろうか? 実際に見た覚えまったくないですし。店頭でしか掲示される予定はなくて、着物に興味があって買いにきた女性しか見ないかもとか、あるいは広告賞を取るためだけに駅とかに一時的に出す案件だったとか。このポスターも何種類かあって、普通のコピーもあるんですよ。グラデーションで攻めたコピーと置きに行ったコピーがあったとしか思えないよ。

ここには3つの視点があって、

1.広告として良い作品であるか(完全に作り手目線、広告村の評価)
2.世の中を動かしたか(消費者目線、売上上がったか、認知伸びたか)
3.炎上ネタになるか(ネット民目線、みんなで騒いでやろう)

まず1つめ、広告的には評価されたようである。TCCで新人賞を取ったようだし。次に2つめ、これで一気に認知度は上がった(今さらだし、悪名だけど)。「いいのよ、何でも。利用できるものは何でも利用するわ」という種類の女性がいて、その人に刺さったなら成功だ。1着数十万はするだろう着物が売れて、店側は儲かるだろう(短期的にね)。そして3つめ、ネット民大好物の炎上ネタとして見つかってしまった。メシウマでしょうきっと。

つまり、歪な三方良しの世界が形成されてしまっていることにお気づきだろうか?


一見誰も損してない気がするのである。そんなこと無いんだけどね。

TCCと博報堂のコピーライターの方がどう思ってるか分からないけど、世の中は「何であんな作品に賞をやったんだ」と批判してるし。正直手放しでは喜べないよね。

あと昔からよく分からないのが、東京カレンダーや女性ファッション誌。それらも度々炎上するけど、買う人がいるから廃刊せずに続いているし、ある意味決めたターゲットが認めて買ってくれさえすれば良いという割り切り型なんですよね。

変な言い方ですが、「しょうがねぇなぁネット民にエサでも撒いてやるか。どれどれ食いついてくるかなぁ、、、、早速きたぁぁぁぁ!!!やべぇぇぇぇ」なんてこと考えて仕事してる奴なんていませんよ。

だとすると、絶対にネットで炎上しない方法って無い訳で(何言ったって炎上させる天才的な人がいる)3つめの視点に縛られ過ぎると何も表現できなくなる恐れがある(だからって何言っても良いってことではないよ)

新人の頃、営業の先輩から「我々は120%完璧に仕事をしなければならない」と教わった。営業は方々から色々と文句を言われる、どこにも付け入る隙を与えてはいけないのである、そのためには100%ではダメで、120%やらないといけないと。代理店っぽいでしょ?

今回の銀座いせよしの件、「それでも買うわ」的な女性がいて短期的に売上が伸びたとしても、ネット民ではなく中立的な立場の女性の印象は下がったかもしれないし、トータルではブランドを毀損している可能性はあるし、120%の仕事をするのなら、もっと他にやり方あった気はする。

得してるのってネット民だけなんだよなぁ。何だかなぁぁぁ。


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