10/17 自分の立ち位置

以前こんな記事を書きました。

そしてこの本を読みました。

同書に「『日本型新自由主義』の挫折:SMAP解散がしめすもの」という章があり、その中に以下のような一節がありました。

そのシンボルとなったのが、「キムタク」の愛称で知られた木村拓哉さんでした。ピアニストから検察官まで、さまざまな職業を演じて高い視聴率をとりましたが、その役柄はいつも一匹狼で、ふてくされた表情で、周囲にこびない。「組織のルールとおれの美学は、ちがうんだ」とほのめかすニヒルなスタンスが、彼の魅力でした。

そして以下のように展開していきます。

(平成の時代に)ベストセラーになった本の多くは、いわば現実の職場におけるキムタクのような人が書いています。一流大学から有名企業に入って、第一線でバリバリ活躍するも、もっと自分のやり方で働きたくなって独立。マスコミでも特集されて、一躍、時代の寵児に。そんな感じです。
※括弧は筆者追記。

最近でいえば、showroomの前田さん、コルクの佐渡島さん、幻冬舎の箕輪さんなど、まさにそんな感じの人たちで溢れている(ように見える)と思います。

しかし、次のようにも同書には書いてありました。

木村さんが演じる役柄も、いつも不満気な顔をしているとはいえ、職場をやめてしまうことはそこまでなかったように思います。所属する組織をまったくもたず、ほんとうの一匹狼となってわたり歩くヤクザを演じた高倉健さんに、昭和の全共闘世代のドロップアウト組が熱狂したのとは、ちがうところです。

そうなんです。キムタクが演じる主人公は、破天荒を装ってはいるけれど組織の中に納まった存在。仮に大きく失敗しても上司が上手く収めてくれるとても運の良い存在であった訳です。現実でも、キムタクはジャニーズ事務所を辞めずに残っていますしね。

理想と現実のギャップ

それは何も我々一般人だけに留まらず、キムタクのような芸能人だって悩むテーマだとは思います。しかし、我々一般人は時に自分の立ち位置というのが分からなくなって、「俺ってスゴイのかも」と錯覚することがあると思います。

実際には「意識高い系」に向けた本ばかりが出版されているのではなく、

そこまで自信がもてない層には「自分の分をわきまえる、いまいる場所に感謝しろ」といった、守旧派道徳的は精神論をとく本が売られてゆきます。

私が記事のベースにした「僕たちはガンダムのジムである(常見陽平著)」もそういった本だった気がします。

明確な答えが無いのがツライところですが、上を見ても、下を見ても、結局何にもならないし、自分の為にもならないということは心に留めないといけないと思っています。



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