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バラたちの仕事 ~働くとはなにか~

私はある日の晩、夫に尋ねた。


【今の、仕事定年までやるつもりなの?】

ずっと、この質問がしたかったが、中々言えなかった。


今の私が生きて行くには、夫の収入がすべてである。

10年以上働いた美容師の仕事を辞め、今は短時間のパートと主婦業しかない私には何の肩書も取り柄もない だだの人。

子供もいないので、お気楽極楽な主婦である。

好きな時に寝て、好きな時に、起きる。
午前中にぱ~と家事を済ませてしまい、パートに出る一時間前に夕飯の支度をしておけば、後は自由な時間ばかり。

独身時代だったとは言え、フルタイムで働いていた頃とは比べ物にならないぐらい豊かな時間を頂いている。

うん?

では、フルタイムで働いていた頃は豊かな時間ではなかったのだろうか。

けして、そうではないと断言できる。

なぜなら、美容師になることは私の夢だったし大好きな仕事。

ただ、もう少しゆっくり寝たい、休みがもっと欲しい
早く帰りたいとは、毎日思っていた。

そう思うくせに

早く一人前のスタイリストになって、お客様を喜ばせたい。
自分のハサミを持って、腰にカッコよくシザーケースをぶら下げて、
指名が多い人気スタイリストを目指すんだ!


そう、思っていた。

最初はシャンプーすら出来なくて、いらっしゃいませー!と言ってホウキで元気よくセンパイが切った毛を掃くぐらいだった。

その、いらっしゃいませも何十回、何千回と練習させられ、笑顔と声出しだけの為に、合宿まで行かされる。

山に向かって、笑顔で声が枯れるまで声を出す。


毛を掃くタイミングもあり、タイミングがずれると、

「邪魔。」

と言われる。

セット面ごしに暗い表情が映ると

「やる気あるの?」

と裏で言われる。


このぐらい厳しい世界だということは覚悟していたし
少々の事では、負けないつもりであったが、、。
何度、職場で泣いたことがあるか。

涙を呑んで悔しさをバネにして何とかスタイリストに慣れたのは
大好きな仕事だったからだ。
目標があった、あこがれがあった。


夫は、今の仕事は凄く激務だ。
休みもほとんどない、拘束時間も長い。

しかし、愚痴を一遍も聞いたことがない。


「今の仕事が好きなんだね?」

と聞くと、

【好きじゃやっていけないよ】

と答えた。


そうだ、、。夫に訪ねていて、実は私の方が、未だに進路が迷子なのだ。

もう、40を目の前にしていて、進路希望調査のプリントを提出できないでいる。

果たして、自分は何者なんだろうか、、。



最後まで、読んでいただきありがとうございます(*‘ω‘ *)♡ これからも一緒にあなたと過ごしたいです。 癒しの時間をお届けいたします♬