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かっこいい

2017年11月10日金曜日

その日、私はお台場のライブハウスで呆然と立ち竦んでいた。

まるで雷に打たれたようだった。全身に衝撃が走る。27歳と2日目にして、生まれて初めて味わう感覚だった。

それから、suchmosに虜になった。


HONDAのCMで流れている曲に心惹かれた。洋楽かと思っていたら、邦楽だった。Spotifyでプレイリストを検索した、目当ての曲以外も好みだった。たまたまライブがあることを知った。抽選に当選した、整理番号が20番代、スタンディングで中央前から2列目だった。

こんな世界があるなんて知らなかった。手を伸ばしたら届く距離にいる彼らは、信じられないくらいにかっこよかった。

それから、可能な限りライブには足を運んだ。神奈川出身の彼らはずっと言っていた、「絶対に横浜スタジアムでライブをやる」と。


2019年9月8日日曜日

台風が迫る中、横浜スタジアムでのワンマンライブが決行された。

念願のステージに立つ彼らは、いつも通り自然体で、観客に媚びなくて、でも今までで一番楽しそうだった。嬉しそうだった。

KCEEが言う、「夢は叶わないから夢というんだと思っていた」。



私がsuchmosに惹かれる理由は、彼らの強烈な自我にある。

作家の平野啓一郎氏が著書『「カッコいい」とは何か』で、「「カッコいい」について考えることは、自らの「生き方」を考えることである」と書いていた。

昔から人付き合いが苦手で、そのくせに相手からどう思われるか気にしてしまう、そんな矛盾を持つ自分に葛藤していた。人目を気にして自我を貫き通せない自分に、コンプレックスすら感じることもあった。

初めてのライブでボーカルのYONCEが言った、「ノリ方は自由、自分が楽しかったらそれで良い」。

「自分が楽しかったらそれで良い」。なんだ、そんな簡単なことなんだとすっと腹に落ちた。ステージの上の彼らは自分達がカッコいいと思うことを一切の抵抗なく全力でやりきっている。

一切、そう一切観客に媚びない。事あるごとに八方美人だと言われてきた私にはそんな彼らの姿があまりにもカッコよく映る。


その日もアンコールを迎えた彼らは歌う。

「信じることが真実さ 誰のためでもなく自分のために生きよう」


#suchmos #音楽 #とは









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