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横断「目的」2 「雇用の安定」「職業の安定」

多くの法律の目的条文では「安定」という語句が用いられています。

🔵雇用保険法
――条文――――――――――――――――――――――――――――――

雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合及び労働者が子を養育するための休業をした場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

🔵労働施策総合推進法
――条文――――――――――――――――――――――――――――――

この法律は、国が、少子高齢化による人口構造の変化等の経済社会情勢の変化に対応して、労働に関し、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずることにより、労働市場の機能が適切に発揮され、労働者の多様な事情に応じた雇用の安定及び職業生活の充実並びに労働生産性の向上を促進して、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、これを通じて、労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図るとともに、経済及び社会の発展並びに完全雇用の達成に資することを目的とする。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

職業安定関係の法律では、「雇用の安定」や「職業の安定」というように用いています。
これらの法律のほか、職業安定法、高年齢者雇用安定法、障害者雇用促進法では「職業の安定」を、労働者派遣法では「雇用の安定」を用いています。

「職業」と「雇用」について、「職業」(従事する仕事)のほうが「雇用」(雇われていること)より広い概念なので、雇用保険法では、失業等給付等に関連する部分は個々の労働者の問題なので「雇用の安定」として、雇用保険二事業に関する部分は労働者全体の問題なので「職業の安定」としています。
また、労働者派遣法では「職業の安定」ではなく「雇用の安定」を用いていますが、これは「派遣労働者の雇用の安定」というように用いていて、派遣という職業の中でのことだからです。


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