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令和5年-健保法・問5-D「被保険者資格の喪失」

今回は、令和5年-健保法・問5-D「被保険者資格の喪失」です。

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任意継続被保険者が任意の資格喪失の申出をしたが、申出のあった日が保険料納付期日の10日より前であり、当該月の保険料をまだ納付していなかった場合、健康保険法第38条第3号の規定に基づき、当該月の保険料の納付期日の翌日から資格を喪失する。

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「被保険者資格の喪失」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H7-10-B 】
任意継続被保険者が保険料の納付期日までに納付しなかった場合、保険料の納付の遅延について、保険者において正当な事由があると認めるときを除き、保険料の納付期日の翌日にその資格を喪失する。

【 H9-3-B[改題]】
任意継続被保険者が納付期日までに保険料を納付できなかった場合において、遅延につき保険者が正当な理由があると認めた場合は、被保険者の資格は喪失しない。
※ 編集の都合上、問題文を一部修正しています。
 
【 H12-1-B 】
任意継続被保険者は、正当な理由なく納付期限までに保険料を納めなかった場合、被保険者資格を喪失する。
 
【 H29-2-E 】
任意継続被保険者に関する保険料の納付期日は、初めて納付すべき保険料を除いてはその月の10日とされている。任意継続被保険者が初めて納付すべき保険料を除き、保険料を納付期日までに納めなかった場合は、納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときを除き、その翌日に任意継続被保険者の資格を喪失する。

【 H27-5-E 】
任意継続被保険者が、保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を納付期日までに納付しなかったときは、納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めた場合を除き、督促状により指定する期限の翌日にその資格を喪失する。

【 H10-3-B 】
特例退職被保険者は、保険料を納付期日までに納付しない場合、その資格を喪失する。

【 H14-1-B 】
特例退職被保険者が保険料を納付期日までに納付しなかった場合は、被保険者資格を喪失する。

【 H21-9-B 】
特例退職被保険者が保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を、正当な理由がなく、納付期日までに納付しなかったときは、被保険者資格を喪失する。

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【 H7-10-B 】から【 H29-2-E 】までの4問は、保険料の滞納により、任意継続被保険者の資格を喪失するか否かを問う問題です。
 
任意継続被保険者の保険料の納付期日は、一般の被保険者と異なり、その月の10日(初めて納付すべき保険料については保険者の指定する日)とされています。
そして、その納付期日までに保険料(初めて納付すべき保険料を除きます)を納付しないときは、督促されることなく、原則としてその翌日に任意継続被保険者の資格を喪失します
 
ただし、正当な理由があるのであれば、資格は喪失しません。
したがって、4問いずれも正しいです。

この資格喪失について、その次の【 H27-5-E 】では、「督促状により指定する期限の翌日にその資格を喪失する」とありますが、任意継続被保険者が、保険料(初めて納付すべき保険料を除きます)を納付期日までに納付しなかった場合、前述のとおり、保険料の納付について督促されることはありません。
つまり、直ちに資格を喪失するので、誤りです。

ちなみに、保険料を滞納した場合、任意的に加入している被保険者はその資格を喪失するのが一般的です。厚生年金保険、国民年金などでも個人で任意的に加入する者の場合、そのような取扱いをします。ただ、督促がされるか否かという点は違っているので、この違いは注意しておきましょう。

それと、【 R5-5-D 】では、「任意の資格喪失の申出をした」とありますが、任意の資格喪失の申出による資格喪失の時期より先に他の資格喪失事由(保険料の滞納等)が生じたのであれば、その時点で資格を喪失することになります。【 R5-5-D 】は正しいです。

ところで、特例退職被保険者、この資格も任意的なものですが、その資格のベースは国民健康保険の退職被保険者です。国民健康保険では、保険料の滞納による資格の喪失という規定はありません。
そのため、この考え方に合わせ、もともと、特例退職被保険者が保険料を滞納しても資格を喪失しませんでした。
ところが、平成18年改正により、任意継続被保険者と同様に扱うことになりました。
つまり、保険料を滞納すると資格を喪失することになったのです。
そのため、【 H10-3-B 】 【 H14-1-B 】は、出題当時、誤りでしたが、現在は正しい内容となっています。

【 H21-9-B 】も、正しいです。
この問題では「初めて納付すべき保険料を除く」としていますが、この場合、被保険者とならなかったとみなされます。この点、任意継続被保険者についても同様なのですが・・・・
他の問題では記述がないものがありますよね!
ですので、厳密にいえば、そのような問題は、正しいと判断するのは、微妙なところで・・・・・
直接の論点ではないときは、とりあえず、記述がなくても正しいと判断し、他の肢との比較で、最終的に正誤を判断したほうがよいでしょう。


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