真紀

どこかの大学の非常勤講師/専門は社会福祉学

真紀

どこかの大学の非常勤講師/専門は社会福祉学

最近の記事

息子へ。8月15日を前に。

今日は少し難しい話をしたいと思う。 パパのお爺さん(君から見たら、お爺さんのお父さんだ)は78年前に中国にいたんだ。 そこで長い、長い戦争を終えたと聞いた。 お爺さんがいた部隊の手記を読んでも、激しい戦いが何度も繰り広げられていたのが分かった。お爺さんは肩を鉄砲で撃たれて、その痕を見せてもらったことがある。皮膚は引き攣れて、貫通した跡は深く窪んでいた。 酔ったお爺さんは、ぼそっと「戦争だけはやっちゃいけない」と言っていた。それは今でも覚えているよ。 ここからが君に伝えた

    • 息子と帽子を買いに行った日

      今日は私にとって特別な日だった。1歳の息子との約束を果たし、帽子を買いに行くことができた素晴らしい一日だった。 大学での仕事を終え、3時間400キロの距離を新幹線で走りました。早く息子に会いたいと胸が高まります。 そして、夕方から別居している息子と一緒に帽子を買いに出かけました。お店に着くと、彼はキラキラした目で帽子を見つめ、手を伸ばしていました。選んでいる間、彼は一つ一つの帽子を触り、笑顔で楽しそうにしていました。 とうとう彼が気に入った帽子を見つけた時は、私も嬉しく

      • 久しぶりに子どもに会えた日

        今日は1歳の息子と久しぶりに会えた幸せな日でした。 仕事を終えて、待ちに待った再会がやってきました。会った瞬間に「あっこー」と抱っこをせがむ姿をみて涙が出てきました。その姿は「会いたかったよー」と言われているようで、心から込み上げてくるものがありました。 少し2人だけで買い出しに行く時間があったのですが、息子を抱っこしている中で「愛してるよ」と伝えると、彼は「きゃー!」と声をあげて喜んでくれました。その笑顔は私の心を温かく包んでくれました。ひとつひとつにキョロキョロとして

        • 子どもの一歳半健診の感動

          先日は子どもの一歳半健診に行ってきました。その成長ぶりに、心から感動しました。 子どもはまず身長と体重を測られました。身長を測るときには慣れない器具に立たされて泣き始めたり、体重を測るときには慣れない場で脱衣をして驚いていたりと、こうしたところにも戸惑いが出るんだと、その姿を見て驚きました。産まれた時からから比べると、身長がぐんぐん伸びているのです。まるで花が一気に開花したような感じです。 診察室に入ると、医師が優しく微笑みながら私たちを迎えてくれました。子どもは少し緊張

        息子へ。8月15日を前に。

          保険証から性別欄を削除しました。

          保険証の性別欄を裏面記載にした話 財団法人の退職にともない社会保険から、国民健康保険に切り替えました。 これを機に、性別欄の表記を表から削除しました。 これにも実はひと悶着あり・・・・。 平成24年に厚労省から出されている通知に基づいて申請したのですが、当初の窓口では「診断書か家庭裁判所の審判結果がないとできない」と断られました。 ただし、他区では「届出」だけでよく、また居住地のWebサイトでもそのように記載されています。窓口委託を受けているフジフィルムさんでは分か

          保険証から性別欄を削除しました。

          18歳成人は「親から逃げたい人」にとっては大きなメリット

          4月1日からは18歳で成人私が関わる「若者」には、20歳も半ばを過ぎた人たちも少なくありません。成人年齢を過ぎているので、法的行為に関しては自分たちで決定し、責任を取ることになる。誰も責任を取ってくれません。そうしたことが18歳以上にも4月1日から民法改正の施行によって適用されます。いわゆる「18歳の成人」です。18歳で成人となるということで、クレジットカードの契約も、賃貸契約も、結婚も自分自身で行えることになります。 消費者被害の心配がされる。未成熟な状態である18歳とい

          18歳成人は「親から逃げたい人」にとっては大きなメリット

          親の就労-若者を取り巻く環境-

          評価する/される私たちのような、非営利の活動実践をどう評価することが適切なのでしょうか。様々な視点があると思いますが、そこに関わる若者の数などといった目に見える数字が「評価指標」に使われて良いのかといった問い、開設日数がひとつの成果指標であるのかという問いなど、その指標を作るだけでも議論は終わりそうにないものです。 外部に活動を示す際には、数字、指標、根拠といったものが求められてきましたが、そういったもので評価をしていくとだんだんと「生活」というものが抜け落ちていくように感

          親の就労-若者を取り巻く環境-

          保護者も子も下着をどう選んでる?

          このコラムはNPO法人わっかの月次報告書で連載しているものです。 FemTechとは今回は「親の就労」とテーマ予告していましたが、ヒルズで行われたFemtechFes! 2021に触発されてテーマを変えてみました。フェムテックとは、「FemTech(フェムテック)とは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語。女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決できる商品(製品)やサービスのこと」*1です。  数年前からナプキンを使用しない生理用

          保護者も子も下着をどう選んでる?

          余裕がない生活

          朝の時間、駅で辻立ちをしていると高校生や大学生、そして若い社会人を仕事へと送る車の姿が目立つ。その運転している「祖父母」や「親」に感謝しなさいとは思わないけれど、その親自身も子どもを送った後に仕事があると、とても大変な日々を送っているんだなと想像する。 これは保育園の近くで辻立ちをした時もそうだ。 子どもを送り届けるときは、子どもの歩幅に合わせて歩いている保護者も送り終わったら走って車に戻り自分の仕事へと旅立っていく。 これって「親」ならやって「あたりまえ」じゃないんだよ

          余裕がない生活

          進路と親~振角大祐さんに聞く~

          【親も環境の一つ】若者を取り巻く課題についての第四回目の今回は「進路」。子どもや若者たちの進路と言っても、中学受験、高校受験、そして、その後の就職活動や大学、専門学校への進学など、様々な意味がそこには含まれてる。 今回はそんな「進路」について、子どもの環境の一つである「親」に登場してもらい話を聞いてみたい。登場してもらうのは、滋賀県米原市で子どもの居場所を作っている「NPO法人わっか」の前共同代表である振角大祐さん。1983年生まれの38歳だ。 子ども3人を育てる振角さん

          進路と親~振角大祐さんに聞く~

          性的少数者について

          この連載はNPO法人わっかの月次報告7月号に寄稿したものです。 性的少数者を表すことば 第三回の今回は「性的少数者」がテーマ。当事者としての私がどこまで客観視して書けるだろうか。  みなさんは、ゲイやレズビアンといった言葉を聞いたことはあるでしょうか。聞いたことがある人もいるかもしれません。では、バイセクシャルや、トランスジェンダー、アセクシャル(またはエーセクシャル)、エックスジェンダー、ノンバイナリー、LGBT、SOGIといった言葉は聞いたことがあるでしょうか。これら

          性的少数者について

          学校の「制服」について

          この連載はNPO法人わっかの月次報告6月号に掲載されたものです。 制服を着て登校する意義?第二回の今回は「制服」がテーマ。ここ最近では、女性(身体的)制服に従来のスカートだけでなく、スラックスが導入される動きも出てきています。また、通信制高校はサポート校を含めて337校(文科省/学校基本調査/2019年度)あり、通信制高校数だけ見ても、2005の175校から2019年の253校と大きく増加し、在籍者数は20万人を超えました。対して全日制・定時制の生徒数は1990年をピークに

          学校の「制服」について

          「子ども」「若者」とは、いかなる存在なのでしょうか

          ※本寄稿はNPO法人わっかの月次報告5月号に掲載されたものです。 この連載を始めるにあたって第一回目の今回は若者たち、子どもたちがおかれた環境の変化を見ていきたいと思います。そのまえに「子ども」「若者」とは、奥が深くて、とても浅学の私では語り切れないし、心理学的立場で見るのか、教育学の立場で見るのか、社会学の立場なのか、それとも私が関わる福祉の立場で見るのかでも大きく異なっているものです。 さらに福祉の中でも子ども家庭福祉と言われながら、その中でもさらに少年非行、社会的養

          「子ども」「若者」とは、いかなる存在なのでしょうか

          高校中退×1、大学中退×2の37歳が高卒で大学院を修了した話

          【わたしについて】 私は15歳のときに高校を中退、16歳で通信制高校へ入学し、19歳で高校を卒業。その後は、大学を3年で中退。間をあけて進学した次の大学も5年間在籍し中退しており、高卒の立場でした。 2020年に高卒で専門職大学院へと進学し、修士(専門職)の学位を得ています。ざっくり時系列にすると ※つまり、大学の学部で得られる「学士」は持っておらず、大学院で得られる修士(専門職)のみです。 【大学を出ていなくても大学院っていける】 よくある質問に「大学4年間を出ていな

          高校中退×1、大学中退×2の37歳が高卒で大学院を修了した話

          幸せを祈りあうこと

          最近、18年ぶりに会い話した人がいる。正確には、10年前にも顔を合わせていたけれど、その時はしっかりと話すことなく、挨拶で終わった人。その人とは、とても親しい間柄にあって、お互いの幸せを望んでいたけれど、別々の人生を歩んできた人。 ただ、若かったという一言で済ませるのは簡単なことだと思う。けれども、そんな簡単な言葉で済ませたくはない。それは、とても複雑な感情を伴い、心の奥底をじわっと満たし、同時にぞわっとさせるものだからだ。 会うかもしれないと分かったときは、ざわざわし、

          幸せを祈りあうこと

          眠れない夜に

          昼の賑わいから離れて、夜にひとりでいる時間。しんとした時間は深く自分を見つめる時間でもある。ただ、それは時につらくなる時間でもある。そして、寂しい時間でもある。 ここ2週間、深夜の時間帯に「夜眠れない人が立ち寄って、ぽそぽそ話して立ち去る部屋」というオンラインルームを開いている。毎日23時から翌3時頃まで開けているこの部屋には、1日あたり5~9名が立ち寄ってくれ、この間だけで70人近い人とお話をした。 年齢層も性別もさまざまだし、そこで聞かせてくれることも多岐にわたる。例

          眠れない夜に