七草粥と尻の穴

紅白始まると大晦日を実感するとか、餅食うと正月を実感するとかっていう流れで、正月が明けたことを実感する何かってのもあるだろう。スーパーで七草のセット売ってるとか。で、気づいたんだが、どうやら自分は年明けの「メイドインJAPAN」のシャワートイレのくだりを見るとそれを感じるようになってる。

我ながらどうかと思う。大体、正月明けにだけやってる番組でもない。改編期のたびにやってるイメージだ。もう何回目になるのか。書くのも。毎回めんどくさいから手短に説明すると、日本在住の外国人が日本の家電とかを持って里帰りして、その家族たちがめちゃくちゃ日本を褒めてくれる番組である。毎度「ニッポンを誇れるSP!」と身も蓋もなく銘打ってる。何回タイピングしても恥ずかしいなこれ。

中でもシャワートイレは定番中の定番。今回もトップバッター、切り込み隊長だったが、これが何回観てもすごい。今回里帰りする女性は、「家族が太平洋戦争で日本人に殺された」って理由で日本人との結婚に猛反対したアメリカ中部の超保守的な実家のお母さんと未だに確執があり、数年前に辛い不妊治療の末49歳にして双子の女の子を出産して一度は里帰りを果たしたものの、「日本で育てる」宣言で再び物別れってなシチュエーションである。

小さな孫たちの存在と、茶道の野点(外でやるやつ)、おせち料理などの、娘が魅せられた日本の文化によって母の心は徐々に揺さぶられ、ついには娘に内緒で日本に行ったこと、日本人の親切心に心打たれたことなどを告白するに至る。スタジオでは宮本亜門と田中律子とIKKOが涙を流す。この間、アメリカの片田舎にある実家のトイレでは、シャワートイレの設置作業が進んでいる。

家族ドラマの大団円が「はじめてアナルに水流を受ける外国人」であるという、クラクラするくらいの歪な構造が最大の特徴だが、そこに至る動機はとても単純だ。労力ゼロで褒められたい、ついでに泣きたい、尻の穴にはじめて水喰らってる外人面白い。その身も蓋もない、俗で下品な欲望に触れることで、年末年始からまた日常へと引き戻されているのかもしれない。これが定期的に放送される程度には好評を博す、そんな状況から今年も始まった。明けましておめでとうございます。

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