取り急ぎスパイダーバース

先行公開やってたもんで、一足先に「スパイダーマン: スパイダーバース」を観てきた。フィル・ロードとクリストファー・ミラーのコンビが製作と脚本に関わってるのと、身近でもかなりいい評判を聞いてたのとでハードル上がりすぎてちょっと不安だったんだけど、全然最高だったな。

「君たちみんながヒーローだ!」的なのは、ヒーローものじゃかなりありがちなメッセージで、大抵は「うるせえよ」で済む話だ。こちとら宇宙人でも突然変異でもない、天才的頭脳も持ち合わせてないし、大富豪でもないし、実はすごい人の息子とかでもない、凡庸な出自をひっくり返すほどの熱い正義感も持ち合わせてない。できるだけ寝てたい。東京さ行がねぇ吉幾三である。

ただ、スパイダーマンに関して言えば、ヒーローが目覚めるきっかけは「特殊なクモに噛まれる」であり、偶然クモに噛まれる事自体が才能である、選ばれし者の宿命である、とも言えるにしても、一応誰にでも可能性があったはずでもある。最悪、寝ててもある。ヤバいダニとかに噛まれて死ぬ可能性のほうが高いだろうけど、(あの世界においては)ゼロではないのは確かだ。

正式には公開前だし、あんまり突っ込んだことは書けないが、スパイダーバースはその可能性を具体的に、超バカバカしい形で見せてくる。吉幾三すらあり得るのだと。荒唐無稽なギャグの皮を被って、くらくらするようなポップな映像で「君たちみんながヒーローだ!」を実は具現化してるとしたら、これすごくねえかと。

どうも日本では予告編からして「PSYCHO-PASS サイコパス」とか「東京喰種トーキョーグール」あたりのシリアスな日本アニメの雰囲気を打ち出そうとしてる節があんだけど、もし予告編に乗れなくてもちょっと待ってほしい。全然違うから。凛として時雨の曲も流れなかったし(字幕版)。ヒップホップが流れるコメディだから。「どっちも乗れねえよ」って思ったとしても、特許取っちゃったくらいの斬新なアニメーション映像をできるだけいい環境で体験しておいて損はないはず。とにかく、ヒットしてほしい。

追伸。最後に何だけど、実は3回も実写シリーズ化してたスパイダーマンの映画、一本も観たことなかった。まさかのノータッチ、スパイダーバージン。よく語ったな、それで。まあ邪道かもしれないけど、最高の初体験だったとは思ってる。とは言え過去作ちゃんと見よう。

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