赤ちゃんは、基本的に見せてほしい。かわいいからだ。かわいいものは見たい。ただ、テレビに出ている人の中にはプライベートを明かすことを望まない人もいるだろう。それはそれでしょうがない。

というわけで、芸能人は子供が生まれた時にテレビで見せる派、見せない派に分かれる。が、よくわからないのは、ここから見せる派がさらに分かれるってことだ。「テレビで見せるけど顔は隠す派」というのが、確かに存在する。

最近遭遇したところでは、「徹子の部屋」でのアヤパンこと高島彩、「メレンゲの気持ち」「ダウンタウンDX」でのアンガールズ山根がそれに当たる。赤ちゃんの写真、映像は出す。が、顔は隠す。これがよくわからない。例えば、小中学生とか、もっと大きい子供ならまだわかる。一人でその辺歩いたり、なんなら独り立ちして一般社会で働いたりしてんだから。あと別にそんなに見たくもない。

で、赤ちゃんの場合、どうだろう。街で歩いてる赤ちゃんを見かけて「あ、アヤパンの子供だ！」ってならないだろう。街歩いてないだろう、まず。例えばおじいちゃんおばあちゃんとか、ベビーシッターさんが抱いて歩いてたとしても、「なんかあの赤ちゃん見覚えが…あっ！やぁ〜まぁ〜ねぇ〜！」…なんないと思う。

まあ、それでも「もしも」を考えてしまうのが親心ってやつなのか。津川雅彦の事件の例もある（あれは直接家から連れ去られたらしいけど）。いいじゃないか、人それぞれ安心できる範囲で見せてくれれば。そうだそうだ……そうなんだけど、ただもうひとつだけ気になるポイントがある。アヤパンも山根も、子供の顔をハートマークで隠してたのだ。なんだろう、あのハートマークは。

じゃあただのモザイクでいいのか。もしくは目のとこに黒線か。それじゃあ元ピッキング犯だ。赤ちゃんピッキング犯。ちょっとかわいい気もするけど、親としては嫌だろう。しかし、赤ちゃんの顔を隠す理由が「プライバシー」「個人情報」あたりだったとして、その動機と、実行手段たる「ハートマーク」は落差がきつい。

「子育て」が割と大きなネタになるという芸能人としての事情（それが悪いとは思わない）、しかしプライバシーは守りたいという親としての事情、その間を取り持つ折衷案として子供の顔面がハートマークで覆われるというのは、どうも気持ち悪い。特に誰も悪くないはずなのに「なめんな」と思ってしまう。生活保護の申請書類の記入の仕方を役所オリジナルのゆるキャラのマンガで解説されるような気分だ、たぶん。

そこ行くと、今日の「徹子の部屋」は気持ちよかった。最後のCM明けると、クワバタオハラはコンビ揃って笑顔で赤ちゃん抱いてた。抱かせてもらって徹子も大喜び。アヤパンに比べれば「脇の甘さ」ってことになるのかもしれないけど、見せるならこれくらいきっちり見せてほしい。せっかくかわいいんだし。