浮きこぼれのセンス

優秀が過ぎてかえって学校教育からドロップアウトしそうな子を、落ちこぼれならぬ「浮きこぼれ」なんて言ったりするらしい。なんかこういう業界裏話みたいなことに言及するのは一般人として恥ずかしいから嫌なんだけど、元SMAPのここ数日のめまぐるしい動きを見ると、あまりに敏腕過ぎて話がこじれちゃったっていうそのマネージャーの人ってのは、ほんとに敏腕なんだなと思わずにはいられない。

ほら、ジャニーズってダサいじゃんか。いや、これ悪い意味で言ってんでもなくて、

「グループ名は“嵐”です!」

「あ、あらし…!?」

「“嵐”の頭文字はアルファベットでも“A”、五十音でも“あ”で、一番最初の文字だから…」

「え、何言ってんの…!?」

…みたいな記憶があるわけだ。しかもこれ、ハワイから生中継で言われたからな。それが今じゃ普通に「嵐の新曲、山下達郎かあ…」とか言っちゃってるっていう、このすごさじゃん。くそダセえのに気づいたら慣れてる。たま~に発作的に「あ、ダセえ!」ってぶり返す時あるけど。で、しかもそれを「ユニット名聞かされた時、意味わかんなかった」みたいな、相対化したトークで本人たちもネタにできちゃう(それはSMAPのおかげかもしれないけど)っていうさ。

で、元SMAP3人の「新しい地図」の動画のセンスよ。普通にかっけえ、という。「さあ、風通しよくいこう」とか「逃げよう。自分を縛り付けるものから」とか、不敵でありながら開放的で普遍的(特に今の日本では)なコピーとかさ。「私達はジャニーズが病的に忌避するネットも使ってかっちょいいことやるんで」って感じ。絶対に滑れないこの局面で、最善かつ最高に大胆で攻撃的な一手。と、我ら素人にも思わせてしまう説得力。

今、手元にある「映画秘宝」の今月号の表紙には、ワンダーウーマンに扮した元・能年玲奈、現・のんが載ってる。巻頭には、さらに「ワンダーウーマン」、「アニーよ銃をとれ」ときて、最後に植木等の無責任男、平均(たいらひとし)のコスプレまで。これがまた、現在ドラマ放送中の山本耕史版をなぜか上回ってるような気さえする謎の説得力。なんだこれは。

「能年玲奈」があのまま順調にブレイクしてCMに、ドラマに、番宣のバラエティに引っ張りだこだったら。SMAPがジャニーズとうまいこと元鞘に収まってたら。案外、今よりもつまんなかったのかもしれない。着実にそう思い始めている。元SMAPにも、バカ正直に期待してみるか。あと「この世界の片隅に」、オスカーノミネートとか…ないかな?こっちもブルーレイ見ながら密かに期待してる。

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