7月11日 毎年恒例

年に一回、本多劇場での立川志の輔の「牡丹燈籠」を観るために下北沢駅に降り立って「ここどこ?」って思う恒例行事。目的はあくまでも落語の当日券だけど、図らずも下北沢駅前の再開発の定点観測になってる。

今までは、その時々の工事の都合で毎年のように変わる出口を探しては何とか外に出て本多劇場へ向かうって感じだったが、今回はついに工事が全部終了したっぽい駅から外へ出て、これはこれで「ここどこ?」って思った。もう完全に違う駅だ。

落語の方は基本的には相変わらずで。タイトル通りの牡丹型の灯籠を提げて幽霊がやってくる有名な場面が実は全体のごく一部で、実際には多くの登場人物が複雑に絡み合う怪談「牡丹燈籠」。落語中興の祖・三遊亭円朝が一日二時間で十五日、計三十時間かけて語ったストーリーを、パネルを使った漫談形式の前半と、後半の落語、まさかの休憩込み二時間半(正確には結局三時間かかる)で何とかしようっていう試みに懲りもせずに挑む。

鑑賞するのは今年で何度目かはもうちょっとわかんない。たぶん五回目か六回目だとは思う。最初の数回は、その複雑に入り組んだストーリーを一年の内にほぼゼロまで忘れて新鮮な気持ちで臨めてたが、そろそろあらすじくらいは頭に入った状態で観られるようになってきてる。余裕を持って聴けてると言ってもいい。

そうすると、ちょっとずつ変化があるのもわかる。今パッと思いつくのが、前半の解説パネルを「ためしてガッテン」のスタッフが作ってくれたっていう鉄板のくだりがなかったな、ってことくらいなのは我ながら残念だけども。

一週間から二週間、同じ場所で同じことをやり続ける。それを足掛け十年以上続けてる。そしてそれは、元はと言えば明治時代に作られたものが無数に再現されてきた中の一つに過ぎない。でも、今回はガッテンについては触れなかった。いや、もっと色々あったはずだけど。数年間連続で鑑賞して、これもなかなか贅沢な楽しみになりつつあるなと思いながら、見違えるような下北沢駅に向かって歩いた。駅は出来上がったっぽいけど、周りはまた来年にも劇的に変わってそうだ。

ちなみに、公演は月曜までやってるはずだから、是非観に行ってほしい。当日券でも入れるはずだ。今まで一回も正規のチケット買ったことないし。

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