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歌詞「家」


石造りの古ぼけたリビング
何もかもが冷めて冷たくなってく
同じように冷えてしまったか資材のテーブルに二人向き合ってる
窓の外見りゃ、鬱蒼とした森が見える
ノルウェイの森みたいだって、君は言ったっけ

君は袖のない白いワンピースから、同じく白い肌をむき出しにしてる
端正な貌に長い黒髪、何より、俺を見る詰めた視線
絵画にすりゃ、ありふれた品になるだろ
画家や美大生が、遊びで描いた、『テーブルに座り、私を見る女』
とりあえずは、見返すよそのままの情景を

俺たちは、何で、いつも知ってしまうんだろ、人間には、乗り越えがたい課題があるって
俺たちは、何で、いつも知ってしまうんだろ、それを乗り越えるのが、尋常じゃなく過酷だって
ねぇ、どうしてだい。君は僕なんかほっといて、どこかへ逃げてってくれるのかい?

幽霊が見える、知ってる誰かが言ってた
自分で自分を冷たいなんて言う彼女を見て、俺嗤ったっけ
甘えてんだよお前、お前を慕うのは、尊敬じゃなくて
劣等感で、ベタベタになっちまって、哀れな信者なんだってね
何てこともないか、あの人は、俺なんかより、はるかに立派で、胸なんか晴れるひとで
でも、おあいにく様、俺は、胸なんか張ることに、寸分の興味もないよ

君は袖のない白いワンピースから、同じく白い肌をむき出しにしてる
端正な貌に長い黒髪、何より、俺を見る詰めた視線
恐らく彼女の視線はきっと、僕の中に悪を見出したんだろ
清く正しく、慈愛に満ちた、『テーブルに座り、私を見る女』
とりあえずは、見返すよ、君の正く清き眼を

俺たちは、何で、いつも知ってしまうんだろ、人間には、乗り越えがたい課題があるって
そんなこと、承知で俺は君についていった、最初は、信念に溢れた日々が待っていた
ねぇ、どうしてだい。
僕なんか君なんかほっといて、どこかへ逃げてっていいのかい?

愛なんて、さあ、もうどうだっていいんだよ、少なくとも僕は、そんなの何にも感じない年になっちゃったんだからさ
優しさだって、ツマラナイ衝突が嫌だ、ただそれだけだし、じゃあ、その先に気付き上げるべき人類の理想なんてないんだよ
ねぇ、どうして、君なんかに僕ついて行っちゃったんだろ、奇麗なものとか、そんなものにあこがれたのかな。
ねぇ、このまま、一緒にヨーイドンで、二人同時にこの場所からいなくないかい。
家なんか、どうでもいいから。

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