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戦った後のようなボロボロの車に乗る理由

私が乗っているのは、このボロボロのロードスター。年式は2003年のNBってやつ。塗装が剥がれ、ドアには無数の大きな凹みと傷。まさに戦った後の車!

なんでこんな車に乗ってるのか!?それでも女子か!?恥ずかしくないのか!?と色々と質問を受けますが、そんな質問に一つずつ答えるよりちゃんと文章にしておいた方が思い出になると思ったのでこれまでの3年間のことを書いていこうとおいます。

◾️車のことを知らないと何もはじまらないと思った1年目

私は車メーカーの総合職として就職、その後カスタマイズパーツやナビなど、車を買った後にお客さんがつけるアイテムの商品企画、販売を行なっている所に配属され、そこでそれらのアイテムを必要な人にどうやって届けるか、どうやって魅力を伝えるか戦略を考えて、企画を作って、実行するという部門の一員になった。

そもそも、車メーカーを選んだ理由は、「人が移動することで生まれる価値」は人生を豊かにすると思ったからに他ならず、体に不自由があっても目が見えなくても自由に人が移動して、新しいことに出会ったり経験したりする世の中は素敵だと思ったからで、決してプロダクトとしての四輪自動車に興味があったからではなかった。

でもだ、そんなヌルいことは言ってられなかった。なんせ目の前にいるお客さんは「車好き」であるし、少なくとも「乗れればなんでもいい」という人ではないのは明らかだったし、実業務で、ラジエーター液がどうのとかボディコートがうんちゃらとか、ブレーキメンテナンスキットがなんとかとか、サスペンションの性能がどうのとか、その商品は一体何をするためのものでそもそもそれはなんだというところからはじまって、このままではいけないという気持ちしかなかった。

ということで、まず車に興味をもつということを目的に行動を起こしていった1年目がはじまった。

◾️車好きが集まる所に行けばきっと車好きになるという楽観的な考えで「モータースポーツ部」に入部

昔から、好きな人がやってることに対して興味を持ちやすい性格だったので、人を辿っていけばきっと興味を持てるはずだという謎の自信から、とりあえず、会社の自己啓発活動でやってるクラブ活動の門を叩いてみた。
みんな心よく、無知な私を迎え入れてくれたしとにかく優しく色々と教えてくれた。
きっと、ここがモータースポーツガチ勢だったら辞めてただろうから本当によくしてくれて感謝しかありません。

◾️ペーパードライバーだけどサーキットデビュー!?

その年の夏、配属されてから半年といったところだろうか・・・
「イチフジさんも夏のレース出るよね!?」と先輩から電話がかかってきた。呑気に、「お手伝いしますよ〜」と返したら、
「いや、ドライバーで出るよね?」
待て待て、、、私は1年前に真冬の山形で合宿免許で免許をとってペーパードライバーだし、何よりAT限定・・・部活の車はMT・・・。
と色々と状況を説明したけど、10分後には、自動車学校の限定解除のコースを予約されてたし、仕事帰りに先輩が教習所まで送ってくれたり、試験に落ちないように駐車場の練習をセッティングしてくれたり、もうなんかほんと、いい人たちに恵まれて、レース本番の1ヶ月前にAT限定を晴れて解除。

◾️公道を走る前にとりあえずサーキットを走ってみよう!

教習所を卒業する前に、なぜかサーキットで練習をすることになった。平日のサーキットは人がほとんどいないので貸切状態に近い・・・。


「俺と電話で話す余裕を持ちながら走ってみて!」
「回転数が5000になったらシフトアップね!コーナーの前で減速したらシフトダウンね!」という指示。今振り返っても無茶苦茶な荒療治


理解はできるが、そんなにすぐ体は追いつかない。言われたことの1割もできないまま、とりあえず事故を起こさないように走りきり、
「伸びしろしかないです」と開き直って帰宅。

めげるとか、凹むとか、落ち込むっていう感情って、ある程度その物事に対して期待してたりとか、努力したりしたことがあるからなんだとこの時悟りました。「そりゃできないに決まってるわ!」って開き直ると前しか向けないので、前になかなか進めない時は、そのマインドで。

◾️公道での猛練習の末ついに!ドライブが楽しい!

ようやく晴れて公道を走れるようになり、まずはペーパードライバーを脱出するため先輩に付き合っていただきながら、毎日のように仕事帰り都内まで首都高でいくというミッションをこなしていくうちに、だんだん車の運転が楽しくなってきた!
走る・止まる・曲がるって丁寧に気持ちよくやると、意外と楽しい。
乗っていた車がスポーツカーということもあり、風を感じながら街を走る感じは本当に気持ちいい。
湾岸線は今でも好きな道で今くらいの季節、オープンにして夕方くらいからドライブするの最高です。

◾️車を知るには車のオーナーになることが近道かもしれない

けど、人の車を借りるのってめちゃめちゃ怖いし、保険も高いし、何より車を持ってる人が考えてることをもう少し知りたいと思い、とりあえず安くていいからぶつけても心のダメージが少ない車を探すことに。
そしたら、先輩が「俺のロードスターボロボロだけど、今生活に困ってて車を一台手放したいんだ・・・。23万でどうかな」と言ってくれました。
まぁ正直言って、23万の価値があるか怪しかったけどそこは目を瞑り購入!
そんな金額で買えるのかと驚く人が多いですがそんなもんです。

ということで、外装の塗装が劣化で剥がれてたり、どこでぶつけたかわからないくらい凹んでいたりする「戦った後のようなボロボロのロードスター」が私の物になった。

◾️で、なんで乗り続けてるの?

この後、税金と保険料が軽自動車を持つことと比較してめちゃめちゃ高いことだったり、名義変更のやりとりで注意しないと無駄足を踏んだり、ガソリン代も地味に高いしと、色々車を持つことで今まで知らなかったことを沢山知れてて、若者が車を持つことって全く合理的じゃないと感じたりもして、この先どういうビジネスが考えられるのかなと妄想が膨らみます。

あとやっぱりトラブルも多くてめげそうになることたくさんあって、けど全て解決しないといけなくて、メンタルが強くなりました。笑

そんなことはあるけど、私の行動範囲が電車じゃいけない所まで広がったし、見れない景色だって見れるようになって間違えなく豊かにしてくれてると感じてます。

私がこんな側から見て「なんで」と思う車に乗ってるのは、知る楽しさがあるからに他ならないのです。
知る楽しさって、きっと関わる楽しさです。ボロボロでトラブルが多いけどその分新車よりも関わる所が多いです。そんな車との関係を言葉にしていけたらいいな。

次回は、「ボロボロのロードスター再生編#1」をお届けします!!



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