見出し画像

絵がうまくなりたいなら写経しよう

はじめに

絵を描き始めたけどうまく描けない。うまく描けないから楽しめない。楽しめないから苦しい。絵がうまいとはなんだ?人生とは?ゲッターとは?
絵が上手い人は元々絵の才能がある人が絵をやってるだけなんだ。
絵は誰でも練習すれば描けるよなんて、描ける人の生存バイアスだ。
と苦しんでる人を散見する今日このごろ。
「楽しんで絵をかこう」という言葉すら自分を傷つける武器に見えてしまう、そういう人をすくいたい。
と、思っていろいろ思考を重ねつつ、自分も絵うまくなりてえもんなあと試していたらちょうど写経がいいんじゃないかと試してみたらめっちゃよかったのでシェアします。

薄墨の写経用般若心経を用意して(ググれば見つかります)、いつも使ってるお絵かきソフトに読み込ませましょう。解像度はでかいほうがいいです。使うツールはデフォルトの筆ペンでも、なんらかの好みの筆でもいいです。
始める前に目を閉じて深呼吸して合掌し、心を落ち着けます。
心が落ち着いたら静かにペンを持ち、始めます。

書き順がわからない漢字はその都度調べて、正しい書き順で書きましょう。
1書き順1ストロークです。うまく行かなかった線は塗り足しなどはしないでCtrl+Zで巻き戻し、納得行くまで書きましょう。
とめ、はね、はらい等のやり方も調べて、実際の筆のように動かしてみましょう。実際の筆ではないので仕様上うまくいかないこともありますが、ある程度妥協しましょう。特に右側のとめ点が妥協点です。
1ストローク1ストローク、筆を置くところから離すところまで集中しましょう。集中できなかった線はへにょるのでCtrl+Zの憂き目にあいます。

決して急がず、一本一本の線を正確にきれいに描くことを目的としてください。疲れたと感じたらペンを置き、目を閉じ深呼吸して合掌し、心を落ち着けましょう。落ち着いたと感じたらまた再開です。
あとは最後まで気を抜かずにやり遂げましょう。

短期的に:絵がうまいとは精神である

絵がうまいとは、自分が描ける絵のなかでもかなりいいものが描けるということです。
イライラしてるとき、疲れているとき、怒っているとき、心が乱れているときに書いた字はめちゃくちゃになりがちではありませんか?
集中しているとき、落ち着いているときに書いた字はきれいですよね。
なんならきれいな字を書く必要があるとき静かに集中する、という経験もあると思います。
そして我らが日本語で用いる漢字は象形文字、つまり絵です。
心を落ち着けて描く絵は、乱れた心で描くときよりうまくなります。
石森章太郎先生も著書の中で「萬画を描くときはまず座禅を組み、心が落ち着いたらペンを執る」と語っています。
無心に字をなぞりつづけ集中力を研ぎ澄まし精神統一することで、自分のうまい絵ポテンシャルの最大を引き出すことができます。
何より無心は「うまい」とか「うまくない」とか「楽しい」とか「楽しくない」とか、そういう心自体を外において絵を描く事だけに集中できます。
うまくいかないはずがない。

長期的に:絵がうまいとは筋肉である

絵がうまいとは、うまい絵と同じように線を引けることです。うまい絵とはあなたが「うまいなあ」と思っている絵のことです。あなたにとって絵がうまいとは「うまいなあ」と思っている絵を描けることです。
(このことについての是非はまた別の機会に)
あなたが「自分は絵がうまくないなあ」と思っているのは言い換えると「うまいなあと思っている絵をどうやっても描けない」と自覚しているいうことです。
模写はもちろん、トレスをしてもその絵が描けません。
なぜ線をなぞっても同じ絵がかけないのでしょうか?
それはペンを書いてあるとおり操作するための筋肉が足りないからです。
なにっ筋肉が足りない?
そう、筋肉が足りないのであれば、鍛えればいいんです。

薄墨で書かれた字を正確になぞり、ストロークを再現する。これでペンを使う筋肉を鍛えられます。薄墨の字を完璧に再現できるようになったとき、あなたの腕はムキムキになり、きっとうまいなあと思っている絵のストロークも再現できます。絵は回転させて描いてもいいのだから写経より楽なはずです。

つまり

写経は絵をうまく描く力のひとつ「ペンの操作力」を精神と肉体の両方から鍛えてくれます。精神的には短期的に、肉体的には長期的にペンの操作力を高めてくれるのでやり得です。

絵をうまく描く力には他にも「観察力」「想像力」「構成力」がありますが、それらはひたすら経験を積むことと、勉強することが求められます。経験はあやふやですし、勉強は大変です。しかしペンの操作力はほとんど筋力と操作技術なのでやれば身につきます。
でも絵のトレスは神絵師のストロークを再現しなければならないので難しいし、お手本通りにできないと無力感に苛まれてしまいます。そこでストロークが長い歴史のなかで統一されている字のトレスをする写経で量をこなすという寸法です。
これはお得。
御仏様に感謝。

さいごに

般若心経はおよそ270文字前後(解釈や流派によって違うらしいっすね)で写経はおよそ1時間から1時間半かかるらしいです。
私はだいたい1時間10分くらい。
ところでイラストを描くのが早いと言われるほうですが、4時間くらいかかります。マンガもだいたい1ページ5時間くらい。
もし般若心経の写経で疲れきってしまったなら、あなたに必要なのはPCの前に座りつづけるための筋肉かもしれません。ハムストリングと体幹を鍛えよう。スクワットとデッドリフトだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?