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1日1分歴史小話(無料メルマガ)

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2017年7月の記事一覧

#0088【エンリケ航海王子(ポルトガル、15世紀前半)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 エンリケ航海王子は、大航海時代を切り開いたポルトガルの王子です。 大航海時代に、世界に新しい航路が切り開かれました。これはイスラム教徒によって地中海が封鎖されたことに伴い、イスラム商人を介さずには中東・インド・東南アジアとの交易が出来ない状況に追い込まれたキリスト教・ヨーロッパ世界で起こった一大事業です。 西洋人によるアメリカ大陸の発見、アフリカ西岸を南下してのインド到達、太平洋横断を経た世界一周など数々の大事業が成功しま

#0087【上杉謙信(日本、16世紀中盤)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 今週最後は越後(新潟県)の龍と呼ばれる上杉謙信を取り上げます。 上杉謙信は武田信玄のライバルとして有名であり、戦国最強の一人です。信玄は三方が原の戦いで徳川家康を撃破したのち、病死してしまいました。織田信長とは直接対決をしていません。 一方、謙信は信長軍と手取川の戦いで激突し圧勝しました。また謙信は、信玄と違って戦での手酷い敗北がありませんでした。 しかし、彼は義に厚すぎるがゆえに自縄自縛に陥ってしまうことがありました。 戦

#0086【武田信玄(日本、16世紀中盤)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 今日は、武田信玄です。武田信玄といえばライバル上杉謙信とともに「戦国最強」の一人に数えられる武将です。 実際、信長が激賞した徳川家康が率いる三河兵(愛知県東部)を三方が原の戦いで粉砕します。 尾籠な話ですが、この戦いに敗北して逃げ帰る途中で家康は恐怖のあまり脱糞します。 これは、信玄の巧みな誘導に若い家康がハマってしまって大敗を喫したものでしたが、この失敗を忘れないために逃げ帰った家康はすぐさま絵師に自分の肖像画を描かせまし

#0085【斎藤道三(日本、16世紀前半)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 戦国時代のメジャーどころを今週は紹介したいと思います。 最初は、織田信長のお舅さんとしても有名な「美濃のマムシ」斎藤道三です。 斎藤道三は、司馬遼太郎の傑作小説「国盗り物語」の主人公であり、一代で油売りの商人から美濃(岐阜県南部)の大名へと成り上がった下剋上のシンボルとして描かれています。 しかし、近年の研究により油売りの商人だったのは道三の父親であり、父が作った足がかりをベースに道三が美濃の大名へとなったと考えられていま

#0084【バベルの塔(キリスト教旧約聖書、創世記)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 今週の旧約聖書の物語は「バベルの塔」で締めます。<>括弧内が聖書からの引用です。 (前回:No.083【ノアの箱舟(キリスト教旧約聖書、創世記)】) <大洪水のあと、ノアの一族は繁栄し再び地上は人間で溢れていきます。 このとき、世界中は同じ言葉を使って、同じように話していました。東の方から移動してきた人々がシンアルの地に平野を見つけたので、そこに住み着きます。石の代わりにレンガを、しっくいの代わりにアスファルトを用いて

#0083【ノアの箱舟(キリスト教旧約聖書、創世記)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 旧約聖書の物語、いよいよノアの箱舟、大洪水の記述です。 (前回:No.082【アダムの系図(キリスト教旧約聖書、創世記)】) <>括弧内は聖書からの引用を基にしています。 <地上に人が増え始めたのですが、地上に人の悪が増して常に悪いことばかりを心に図っていることをご覧になって主は心を痛めました。 地上に人を作ったことを後悔しました。そして地上から人も家畜も這うものも空の鳥もぬぐい去ろうと決意します。 しかし、ノアは主の

#0082【アダムの系図(キリスト教旧約聖書、創世記)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 今週は、旧約聖書の物語シリーズをお送りします。 【0057:最初の殺人】の続きです。<>内は旧約聖書からの引用を基に記述しています。 <最初の人間アダムの息子である兄カインが弟アベルを殺害し、カインはアダムの元を離れてしまいました。カインの子孫たちは都市を建設し都市住民となっていきます。 残されたアダムは再び妻を知り、セトと名付けられた子を授かりました。その名前の由来は、カインがアベルを殺したので、神が彼に代わる子を授け(

#0081【春日局(日本、17世紀前半)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 女性権力者特集最後は、日本から春日局(かすがのつぼね)をご紹介します。彼女は、戦国時代末期から江戸時代初期に生きた女性です。本名は「福」と伝わっていますが、本稿では春日局で統一して記述します。 父は、本能寺の変を起こした明智光秀の家老を務めていました。本能寺の変後、中国地方から引き返してきた秀吉の軍勢によって、明智光秀軍は敗れてしまいます。春日局の父も殺害されました。 彼女は親戚筋に引き取られて育てられて、稲葉家に後妻とし

#0080【テオドラ(ビザンツ、6世紀)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 女性権力者特集、本日はローマ帝国が東西分裂後に東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の最大領域を達成したユスティニアヌス帝の妻テオドラをご紹介します。 このテオドラという女性は、女優・踊り子出身と伝えられており、身分は決して高くありませんでした。むしろ、当時としては低い身分に属しており、皇族との結婚は認められておりませんでした。 ユスティニアヌスの前の皇帝は実子に恵まれなかったため、優秀だった甥を養子として皇太子にしました。この皇太

#0079【漢の呂后(中国、BC2世紀前半)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 今週は世界の女性権力者特集です。 まずは中国史上最初に絶対権力を握った漢の呂后(りょこう)を紹介します。 彼女は秦の始皇帝の後の争乱の時代を経て、天下を取った漢の高祖(本名:劉邦りゅうほう)の正妻でした。 高祖は若い頃は無頼の徒であり、畑仕事もせずに遊び呆けていました。その割に人徳があり、彼が酒屋に来ると人々が集まってきて大いに繁盛したといいます。高祖はその集客力を買われ、いつもタダメシ・タダ酒にありついてました。 ある

#0078【承和の変と応天門の変(日本、9世紀中盤)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 藤原氏内部抗争は藤原北家の勝利となりました。 藤原冬嗣の息子、藤原良房は他氏排斥に動きだし、人臣初の生前での太政大臣就任、人臣初の摂政就任まで果たします。 太政大臣はあくまでも「臣」です。天皇の部下であり、皇族ではない身分です。しかし摂政とは「天皇代行」です。臣下の身分で初めて藤原良房が摂政となったことは非常に重要な意味を持っています。 藤原氏の内部抗争の終焉は良房の父の代でようやく勝利を収めたばかりです。そこからたった

#0077【薬子の変(日本、9世紀前半)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 平安京を築いた桓武天皇の死後、皇太子だった桓武天皇の長男が即位します。平城(へいぜい)天皇と言います。 ここで、一度、藤原氏内部の勢力争いを整理しておきます。 そもそも藤原氏は、大化の改新で功績のあった鎌足が始祖です。その鎌足には四人の息子がいました。 それぞれ、家を立てて、藤原北家・式家・南家・京家となりました。京家は鎌足の孫の代で失脚して早々に勢力争いから脱落し、南家は藤原仲麻呂が聖武天皇死後に光明皇后に可愛がられた

#0076【最澄と空海 平安新仏教(日本、9世紀前半)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 7月に入りました。月初ですので日本史通史シリーズです。 【0066:蝦夷との争いと征夷大将軍】からの続きとして平安新仏教を取り扱います。平安新仏教は二人の天才僧侶によって隆盛しました。 一人目の名前を最澄(さいちょう)といい、もう一人を空海といいます。 二人とも804年に平安時代最初の遣唐使船で中国に渡ります。 最澄は短期留学僧として空海は長期留学僧として派遣されました。 最澄は法華経(ほけきょう)を最高の経典と位置付け