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1日1分歴史小話(無料メルマガ)

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2017年11月の記事一覧

#0140【クレオパトラとアントニウス(古代ローマ、BC1世紀)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 悲劇の美女特集第二回は古代ローマの覇権からプトレマイオス朝エジプトの女王クレオパトラを取り上げます。 世界三大美女にも挙げられ、「人間は考える葦である」と喝破した17世紀の数学者であり哲学者であるパスカルは、「もし、クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、この世界は変わっていたであろう」と述べています。 クレオパトラは、BC69年にエジプト、アレキサンドリアに誕生します。彼女の祖先はアレキサンダー大王の部下だったプトレマイオ

#0139【楊貴妃と玄宗(中国、8世紀前半)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 今週は悲劇の美女特集です。 初回の本日は、白楽天の漢詩『長恨歌』でも有名な「楊貴妃(ようきひ)と玄宗(げんそう)」のラブロマンスを取り上げます。 まず、長恨歌の一節を。 「回眸一笑百媚生:眸(ひとみ)を回(めぐ)らし一笑すれば百媚(ひゃくび)生じ 」(現代語訳:流し目に微笑みが加われば、いくつもの麗しい表情が生まれ) 「六宮粉黛無顏色:六宮(りくきゅう)の粉黛(ふんたい)顔色(がんしょく)無し」 (現代語訳:化粧を施した宮殿

#0138【寛容な帝国、アケメネス朝ペルシア(BC6世紀後半、古代オリエント)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 バビロンの階級対立に乗じて、他の三王国がその富を狙って蠢動しますが、バビロンも手を打ちます。 三王国で最も勢力が強かったメディア(現イラン)内部にあったペルシア王国をけしかけて独立させます。 ペルシア王をキュロス二世といい、メディア王の孫でした。 キュロス二世はバビロンと同盟を結び、メディアを滅ぼします。BC550年のことです。 この時成立したペルシアのことを他の時代のペルシアと区別するためにアケメネス朝ペルシア王国(帝国

#0137【古代オリエントの権力闘争、4王国分立時代(BC6世紀)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 月曜日の続きです。 強大な軍事力にのみ頼ったアッシリア帝国は各地の反乱を押さえきれずに滅亡してしまいます。 その後、オリエント世界はエジプト、新バビロニア(現イラク)、リディア(現トルコ西部・中部)、メディア(現イラン)の4つの王国に分かれました。 その中で最も強い勢力を誇ったのが、新バビロニアです。アッシリア同様に東西の交易路を押さえた経済力が基盤でした。 最盛期はBC604~BC562年に在位していたネブカドネザル王

#0136【鉄と図書館。最初の帝国アッシリア(BC7世紀、古代オリエント)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 先週は聖書の物語、神話の世界でした。今週は古代オリエント(現中東地域)の歴史を振り返りたいと思います。 No.75「ヒッタイト王国」の続きだとお考えください。 現トルコからイスラエル、エジプトの近くにまで勢力をはったヒッタイト王国は、鉄器という新技術をもって君臨していました。 しかし「海の民」と呼ばれる謎の民族の侵入により滅んでしまいます。 ヒッタイト滅亡後の古代オリエントを支配し、最初の複数民族を傘下に収める「帝国」を

#0135【善悪二元論では語れない(旧約聖書:ソドムの滅亡)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 前回のNo.134【神と救済条件を交渉するアブラハム(旧約聖書:ソドムのための執り成し)】の続きです。 神は10人でも(少しでも)正しい者がいるのであれば、ソドムとゴモラを滅ぼさないとアブラハムに約束をしました。 いずれにしろ、ソドムとゴモラの行状が乱れているとの訴えに基づき、ソドムとゴモラの状況を確認することにします。 <>内は旧約聖書からの引用を基に記述しています。 <二人の御使い(筆者注:おそらく天使か)が夕方ソ

#0134【神と救済条件を交渉するアブラハム(旧約聖書:ソドムのための執り成し)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 今回と次回は「ソドム」にまつわる叙述をします。 なお、歴史小話の叙述順序では先に前回のイサクにまつわる話を進めました。 創世記では、今回のNo.134と次回のNo.135は、前回のNo.133【不合理の果てに(旧約聖書:イサクの献納)】の前に記載されています。 <>内は旧約聖書からの引用を基に記述しています。 <アブラハムは、客人(筆者注:神)を見送りにソドムという都市を見下ろす所まで来ました。 そこで、神はこう言いました

#0133【不合理の果てに(旧約聖書:イサクの献納)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 今週は、旧約聖書の物語シリーズをお送りします。 【0114:イサクの誕生予告】の続きからになります。 前回の「旧約聖書の物語」では、イサクを巡って神がアブラハムに対し難題を突き付けられるとの予告で終わりました。 <>内は旧約聖書からの引用を基に記述しています。 <神は約束どおり、年老いたアブラハムとサラとの間に男の子を授けました。 男の子はイサク(笑い)と名付けられ、育っていきました。 アブラハムには他にハガルとの間に

#0132【源頼朝と鎌倉幕府の成立②(日本史通史シリーズ)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 平家滅亡にあたって功績のあった源義経と、鎌倉で総指揮を執っていた兄の頼朝の間に不穏な空気が流れます。 時代の寵児となり、京都で華やかな名声に包まれていた義経は、頼朝の許可を受けずして官位を後白河法皇から受け取ります。 組織を動かす上での要点の一つに人事権があります。頼朝は武士に対する人事権を掌握するため、官位の申請は全て自分を通すように求めました。 しかし、それを公然と弟の義経が違反したのでした。「自分には功績がある。これ

#0131【源頼朝と鎌倉幕府の成立①(日本史通史シリーズ)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 あっけなく滅んでしまった平家から政治の中心は鎌倉に移っていきます。 鎌倉で総指揮を執っていた源頼朝の政治目的は、武士の悲願である「土地所有権の確保」でした。 天皇家・大貴族からの武士の独立闘争と言っていいでしょう。 そのため、平家との戦いにあたって頼朝は、弟義経に対して「三種の神器」を取り戻すことを厳命します。 三種の神器とは、日本の歴代天皇が継承してきた三種の宝物をさし、 「八咫鏡(やたのかがみ)・八尺瓊勾玉(やさかにの

#0130【源義経と源氏の大勝利(日本史通史シリーズ)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 月初の日本史通史シリーズです。 前回の同シリーズNo.117では平家政権に対する不満が巻き起こったところまで取り上げました。 前回はこちらから 今週は武士が天皇家・貴族の枠組みから外れて武家政治を始めていく過程を追っていきます。 平家政権は、史上初の武士による政治でしたが、その中身は平家の藤原氏化という貴族路線の延長でした。 従来の政治形態に則していたため、これまでの貴族のポジションに平家が収まっただけであり、地方の一般

#0129【名参謀の意外な行動力(張良)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 今週は古代中国から「高祖劉邦の三英傑」を紹介していますが、トリは張良(ちょうりょう)です。 張良は高祖が天下を取るにあたっての参謀役を務めました。 知恵者として数々の献策を行いました。企業でいえば経営戦略部や企画部担当役員といったところでしょうか。 天下統一後は、第一線を外れて隠退して仙人修行に励みます。これも現代に置き換えるとベンチャー企業を起業してIPO(株式公開)後にアーリーリタイアメントを実践したような感じでしょう

#0128【後顧の憂いなし、後方支援の重要さ(蕭何)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 今週は古代中国から「高祖劉邦の三英傑」を紹介しています。 二回目の今日は蕭何(しょうか)を取り上げます。 No.127の韓信は「武」の人であり、戦場で功績を挙げた人物でした。蕭何は、後方にいて補給や根拠地の内政問題に全力を挙げていました。 彼は高祖劉邦と同郷の人物であり、高祖の若い頃から知り合いであり信頼が厚かったです。 高祖が秦を滅ぼし首都咸陽で入城したときに高祖やその部下たちは豪壮な宮殿や宝物庫にクラクラします。