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1日1分歴史小話(無料メルマガ)

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2018年2月の記事一覧

#0173【相争う「剛」の兄と「智」の弟(旧約聖書、エサウとヤコブ①)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 前回【0172:イマも紡がれゆく系譜(旧約聖書、イシュマエルとイサクの系図)】の続きです。 <>内は旧約聖書からの引用を基に記述。 <イサクとリベカの間に生まれた双子の長男エサウと次男ヤコブは成長していきました。 エサウは巧みな狩人で野の人となりました。ヤコブは穏やかな人で天幕で働く人となりました。 イサクはエサウを愛しました。彼が狩ってくる獲物が好物だったのです。 ある日のことです。ヤコブが煮物をしていると野原から疲

#0172【イマも紡がれゆく系譜(旧約聖書、イシュマエルとイサクの系図)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 今週は、旧約聖書の物語シリーズをお送りします。 前回の【0150:決断と信仰の生涯(旧約聖書、アブラハムの死と埋葬)】の続きとなります。アブラハムには正妻サラとの間にイサクがいて、妾ハガルとの間にイシュマエルがいました。 <>内は旧約聖書からの引用を基に記述。 <サラの女奴隷であったエジプト人ハガルが産んだ息子イシュマエルは、137年の生涯を終えます。 その間、12人の息子が生まれ、彼らはそれぞれの部族の首長となりました

#0171【黄門様も若い頃はヤンチャでした(徳川光圀)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。江戸時代初期の名君特集、最後は水戸黄門として有名な徳川光圀(みつくに)を紹介します。 徳川光圀は、徳川御三家(名古屋・和歌山・水戸)の一つ水戸藩の藩祖徳川頼房(家康の十一男)の三男に生まれます。 正妻を迎える前に頼房は、若くして次々と子どもを儲けました。 光圀の二人の兄のうち、一人は幼児でなくなっていました。もう一人の兄は庶子(家督相続権のない子ども)として届け出がされる一方、光圀に対しては、妊娠発覚時になんと、「堕胎せよ」

#0170【江戸時代の財政再建と教育改革(池田光政)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。江戸時代の名君特集。第二回は池田光政を紹介します。 池田光政は1609年に生まれ、1682年に死去する江戸時代初期を駆け抜けた人物です。 光政の祖父は、池田輝政といい姫路城を現代に残る形に大規模改築しました。また、池田輝政の後妻は徳川家康の実娘だったことから、徳川幕府からも池田家は一目を置かれていました。 光政の父は、輝政の前妻の息子であったため、徳川家康と血の繋がりはありません。また、光政の母は徳川秀忠(家康の息子、二代将

#0169【見栄を張らずに(保科正之)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。今週は江戸時代の名君特集です。 江戸時代は、日本の歴史上屈指の平和な時代でした。日本国内での戦争はなく、海外からもパックス・トクガワーナと称賛される時代でした。 江戸時代の地方政治は、「藩(はん)」という地方を治める組織と徳川幕府の直轄地(大坂や佐渡金山、日光など)に分かれていました。 藩は、大名ともよばれる藩主とその家臣たちによって統治され、幕府(中央政府)から派遣された代官(武士)によって統治されていました。 今回紹介

#0167【ガラスの天井を破壊する(マリア・テレジア①)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 今週は西欧の女帝特集です。 今回と次回を使って、オーストリアのマリア・テレジアを取り上げます。 彼女は、前回のエカテリーナ二世とほぼ同時代を生きますが、女帝としての即位は 1740年と彼女よりも20年程早く政治の表舞台に立ちます。 マリア・テレジアは生粋のオーストリア皇族ハプスブルク家に1717年に誕生します。 父は、神聖ローマ帝国(現ドイツ・オーストリア・ハンガリーの欧州中心部を領域としていた国家)の皇帝カール6世です。

#0166【失意の結婚、決意の治世(エカテリーナ二世)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。今週は西欧の女帝特集です。 まずロシアのエカテリーナ二世を紹介します。実はエカテリーナ二世は、ロシアの女帝として君臨するのですが、生粋のロシア人ではありません。 彼女はドイツ語を母語とした北ドイツ(現ポーランド領)の貴族の娘として生まれゾフィーという名前でした。ところが彼女が14歳のときにロシア皇太子ピョートルのお妃となることが決まりました 家柄的にも決して高くない身分でしたが、ゾフィーの伯父で早世したカール・アウグストが、

#0165【貴族と武士の土地争い(日本史通史シリーズ)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 今週は月初の日本史通史シリーズです。 前回、鎌倉新仏教を取り上げました。新しい思想が生まれた背景には、権力の中枢が京都の貴族たちから鎌倉を中心とした武士たちに移行していたことが挙げられます。 当時の日本の富の源泉は、開墾された土地(荘園)という生産設備から生まれる農作物です。これらを元に経済が成り立っていました。 武士たちの悲願は、貴族たちにしか認められていなかった土地の私有、「所有権」の確保だったことは過去のメルマガで述

#0164【鎌倉新仏教の興隆(日本史通史シリーズ)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 今週は月初の日本史通史シリーズです。 鎌倉に幕府が出来ましたが、日本史においてこの意味は非常に大きいです。権力の中心が京都の貴族たちから、鎌倉の武士たちへと移行したためです。 この権力の移行に伴い、社会変革が起きるとともに新しい思想が求められるようになり、ダイレクトに影響をうけたものが仏教でした。仏教は過去にも、日本に公式に伝わったとき、奈良時代、平安時代と、時代の節目節目で大きな変容を遂げています。 鎌倉時代に鎌倉新仏教

#0163【北条時頼と得宗体制(日本史通史シリーズ)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 今週は月初の日本史通史シリーズです。 前回:No.144【北条泰時と御成敗式目】 (1月第一週目は今年の大河ドラマにちなんだ特集を行いました。昨年12月以来の配信です。) さて、源頼朝が1192年に征夷大将軍となり、名目ともに成立した鎌倉幕府ですが、源氏将軍は三代で滅んでしまいました。 それ以降、幕府の実権は有力武士である「御家人(ごけにん)」たちによって動かされていきますが、その中で最も勢力が強かったのが頼朝の妻北条政子

#0162【革命の大天使(サン・ジュスト、フランス革命)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 前回はジャコバン派のロベスピエールを紹介しました。 ジャコバン派の首魁ともいえる人物がロベスピエールですが、彼には一人の懐刀・右腕がいました。 懐刀の名は、サン・ジュスト。 「革命の大天使」と呼ばれるほど、若く美男子でありながら冷酷なまでに革命に人生を捧げた人物といえます。 彼が一躍有名になったのは、ルイ16世の裁判のときの演説です。 それは議会での初演説でした。時に25歳。 紅顔の美青年の演説には、老壮年の年配議員