#0083【ノアの箱舟(キリスト教旧約聖書、創世記)】
1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。
旧約聖書の物語、いよいよノアの箱舟、大洪水の記述です。
(前回:No.082【アダムの系図(キリスト教旧約聖書、創世記)】)
<>括弧内は聖書からの引用を基にしています。
<地上に人が増え始めたのですが、地上に人の悪が増して常に悪いことばかりを心に図っていることをご覧になって主は心を痛めました。
地上に人を作ったことを後悔しました。そして地上から人も家畜も這うものも空の鳥もぬぐい去ろうと決意します。
しかし、ノアは主の好意を得たため、主からゴフェルの木の箱舟を造ることを命じられ、三階建てにして内側には小部屋を設けて、寸法など細かい点の指示も与えました。
ノアが600歳のときに、彼は家族と雄・雌ひとつがいの生物たちを引き連れて箱舟に乗った後、地上は大洪水に覆われ、全ての生物は息絶えました。
箱舟は漂流しますが、徐々に水が減り、アララト山に辿り着いて、その上に止まります。
ノアは鳩を放って、地上の様子を確かめると鳩がオリーブの葉を加えて戻ってきたことから地上から水が引いたことを知ります。
その後、ノア601歳のときに地上の水は乾き、神の指示を受けて地上へと降り立ちました。
神はノアに対して祝福と契約を行い、再度、人間に対して地上を委ねると言います。そして、二度と地上を洪水によって滅ぼさないことを契約しました。>
ノアと息子たちは繁栄を謳歌します。
ノアの息子セムは、セム族となってユダヤ人となり、同じくハムはカナン人となってパレスチナ人となっていき、最後にヤフェトはインド・ヨーロッパ語族の祖となったとの聖書の記述が続きます。
神の天地創造以後、神による地上への大規模直接介入はこの「ノアの洪水」だけです。これ以降バベルの塔の破壊やソドムとゴモラの破壊、預言者の派遣など局所的・間接的な介入行為はありましたが、地上の再編にまで及んだ行為はこれ以降ありません。
ノアと「もう洪水起こして再編なんてしないから」と契約(約束)していますしね。
ちなみに進化論に対する反対論者には、このノアの大洪水でリセットして新しく世界を作り直されたことを根拠としている人がいます。
進化論の証明のネックになっているものとして、進化が枝分かれした分岐が見つかっていない(ミッシングリングといいます)ことがあります。
洪水でリセットされているという考えは、ミッシングリングが見つからないことに対する一応の説明にはなります。
進化論については、
過去に進化が起きたその瞬間の証拠がない。
現在、進化が自然発生的に起きていない。
将来、進化が起きるかどうか分からない。
という弱点があります。地層発掘や化石の年代測定等の状況証拠と遺伝子研究を進めた結果、状況証拠としては進化論が創造説(グランドデザイン論等)よりも圧倒的に優勢であることは間違いありませんが、決定打が実はないということもまた事実です。
時々、アメリカで「進化論だけでなく、創造説も学校で教える必要がある」とキリスト教原理主義の人が叫ぶのはこういった背景があるからです。
以上、本日の歴史小話でした!
(続き:No.084【バベルの塔(キリスト教旧約聖書、創世記)】)
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https://note.mu/1minute_history/m/m814f305c3ae2
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