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魔法瓶

温暖化の影響で、今年の冬は暖冬と言われてた。

私が住んでいる地域は例年、ある程度の雪が降る。今年は最高で30センチほどの雪が積もり、雪かきも10回ほどしただろうか。

雪はそれなりに降ったが、気温は全体的にやはり暖かかったのかもしれない。今日などは20度近くまで上昇し、ここ1週間で雪は全部消えてしまった。

そうは言ってもやはり冬。水道から出てくる水は冷たい。毎朝、車のフロントガラスは凍っている。暖気をして車を暖め、フロントガラスの凍結も溶かすのがいいのだが、ガソリンをかなり消費してしまうので暖めるのは少し我慢して、エンジンをかける直前に熱いお湯をかけて溶かしてから出発する。しかしやはり冬、放っておくとまたまたすぐ凍ってしまうのだが。

蛇口をひねれば、灯油給湯器から温かいお湯が出てくる。しかし、灯油をその都度消費してしまうし、水が温まるまでしばらく時間がかかる。最初は冷たい水が蛇口から出てきて、十数秒後にようやく温かいお湯が出てくる。出てくるお湯もせいぜい50度程度だろうか。

我が家はガスコンロではなく、IHクッキングヒーターだ。電気ポットもあるが、保温していても電気代がかかるので、最近はほこりを被っている。

そこで前日の夜か朝起きてから、IHでお湯を沸かす。そのお湯を昔懐かしい魔法瓶に入れておく。昔と違い、現代風らしい落ち着いた色の魔法瓶だ。中国製。メーカーは言わずと知れた象印。

そのお湯を朝、凍った車のフロントガラスを溶かすために使う。それだけでなく、歯磨きで口の中をゆすぐ時はそのお湯を使う。

真冬に蛇口から出てくる冷たい水で、口の中をゆすぐのは結構辛い。しかし、わずかでも温かければ随分違う。80度のお湯は飲むにはぬるいが、口をゆすぐには熱すぎる。30~40度程度のお湯でいい。前日の夜に沸騰させたお湯は朝でもまだかなり温かい。口をゆすぐにはそのままでは少し熱いので水を入れて温度を下げるが、フロントガラスの凍結を溶かすには十分だ。

沸騰させてから丸一日経った夜になると、お湯は口をゆすぐにはちょうどよい温さになる。そして、沸騰させて覚ましたお湯は「白湯」として飲むこともできる。一石三鳥以上だ。

昭和レトロとは言わないが、昔の家電製品には味があった。

魔法瓶、扇風機、炊飯ジャー、トースター、掃除機、ドライヤー、アイロンetc。挙げたらキリがないが、今から考えるとアナログ的なもののほうがノスタルジックで味わいがあった。

以前、「いまこそアナログ」というタイトルで記事を書いたことを思い出したが、デジタルになって便利な一方、アナログでよかったのにと思うこともしばしばだ。先日テレビで、新潟県上越市のある中学校の冷房は、天然の雪を溶かした自然のクーラーで生徒が体によさそうと言っていたのを見たが、飲み物にしろ薬にしろ食べ物にしろ、最近のものは何かと怪しい雰囲気がしてならない。

やはり、いまこそアナログだ。


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