見出し画像

キリン「晴れ風」

最近のテレビのつまらなさは究極に近い。現代において、テレビは公共の電波として設置されているわけではなく、企業の広告塔であるから、何かを売るための広告媒体にしか過ぎない。

昔の番組はいかに視聴率が高い番組をつくり、そこにいかにスポンサーがついてもらえるか、というものだったと思うが、最近の番組はスポンサーが先にあり、スポンサーの意向に沿った番組がつくられる。下手をすれば、スポンサーの商品を宣伝するため「だけ」の番組であったりする。

ジョブチューンではコンビニや寿司チェーン店の対決的な構成にしているが、完全に両企業の新商品の宣伝番組である。コロナのワクチンを打てとわめくモーニングショーのスポンサーは製薬会社のファイザー、モデルナであったりする。

さてそんなつまらないテレビのCMで、最近よく聞くのがキリンビールの「晴れ風」である。17年ぶりのスタンダードビールの新ブランドだというが、季節ものとは違い、一年中売り出すということなのだろう。キリンラガーや一番搾りに並ぶキリンの自信作とサイトには書いてある。有名タレントを使ってCMをガンガン流しているので、かなり自信があるというか、勝負をかけているのであろう。

実は私は晩酌をしない。自宅の外での会合など以外は、基本的には自らの意志で飲みに行くことは少ない。しかし、あまりに晴れ風をうるさく言うので、ちょっと飲んでみるかと買ってきてしまった。

この私の購買意欲に加担しているのは、「知っているモノ」という心理である。

「人はいいモノを買うんじゃない。知っているモノを買うんだ。」という有名な言葉があるが、まさにその行動そのものだ。

コンビニやスーパーなどに行ってその商品を買う判断材料は、一つに「価格」、そしてその商品を知っているか否かが大半を占める。販売している段階で売るためのさまざまな法的要因はクリアしている前提であるので、人は知っているものを買うという行動にでるというわけだ。

世の中のすべての商品を食べ比べてみておいしいものを選択する時間があるならばよいが、そんなことはできるわけがないし、食べ比べる間にまずいものに直面するかもしれないので、誰かがおいしいと言っているもの、あの企業のものならハズレはないだろうという深層心理により、知っているものを買うということになる。

選挙でも、結局どんな政策を公約に掲げているかということよりも、どの政党に入っているか、その人自身の人間性と、周りの人がその人を知っているか否かで判断する。だから、選挙戦の最後は、結局名前の連呼で終わる。

話を晴れ風に戻すと、これからビールを毎日飲むために買ったわけではない。逆に、知っているから買ったのではなく、本当にラガーや一番搾りに負けないおいしさなのかを確かめてみようかと思ったからという動機のほうが大きいかもしれない。

しかし、私はビール通でも何でもないし、ビールと発泡酒の違いも飲んだだけではたぶんわからない。晴れ風だけ飲んでも本当においしいのかわからないので、一番搾りも一緒に買ってきて、飲み比べしてみることにした。

多分結論は、「わからない」になると今は思っている。ビールもそうだが、一番おいしいのは喉がカラカラに渇いている一口目だ。その状態であれば、発泡酒でもコーラでも、麦茶でも冷水でもうまいものはうまい。腹が減っているときは塩おむすびでも十分にうまいのと同じだ。

一応飲み比べてみようとは思うが、それをこのnoteに書いて感想記を書くかはわからない。アルコール素人、ビール素人の私にとって、その微妙な違いはきっとわからないからだ。毎日ランニングをして汗をかいても、ビールではなくコーラや炭酸、牛乳、麦茶がうまいと言って飲んでいる私ごときに、ビールの良さと違いはわからないと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?