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タラの芽の生命力

私の家の庭に、タラの木が数本ある。

昔、親が山に行って採ってきたらしい。タラの木は毎年、春先になると「タラの芽」を芽吹くが、山菜の王様と呼ばれている。

このタラの芽は、タラの木1本に1つの芽しか出さない。木の一番てっぺんに芽をつけ、葉を広げ、夏に花をつけ、木を伸ばして翌年またその先に芽吹く。毎年成長していく節にあたる部分に芽があるが、てっぺんの芽に最大の生きる力を注ぎこむため、てっぺん以下の芽が芽吹くことはない。逆にてっぺんの芽を採ってしまうと、2番芽以降の下の芽が、生き延びなければ!ということで芽を出してくるのだ。

この生命力の強さを利用して、タラの木を節の芽がある部分でカットすると、その節毎に芽を出してくる。タラの木は大きくなると3~4mにもなり下の方は固くなってしまっているが、1本の木から10本くらいの芽の部分を取り分けることができる。これを基にして、タラの芽の水耕栽培が可能なのだ。

時期は春先、地域によって異なるが3~4月くらいの時期にタラの木を伐採して行うと、きちんと芽吹く。今年、興味本位でやってみた。

3月上旬、3本ほどの木を伐採し、節毎に切り分けて水につける。てっぺんは芽を伸ばすのは当然だが、2週間ほど経つと2番芽以降の米粒のような芽が緑色に芽をつけ、葉を伸ばしてきたではないか!

左がタラの芽のてっぺん、右3つは節から切ったもの

なんという生命力だ。話には聞いていたが、実際に見て私は感動した。毎日毎日成長する様子が楽しくて、1日置きどころか1日に数回もどれだけ成長したかその様子を観察している。

最終的には芽を採って天ぷらなどにして食べてしまうのだが、採ってしまうのがもったいないというか、かわいそうな気になってきている。1番芽は採って食べても翌年以降、また芽をつけるが、その後つけた芽を何回も採ってしまうと、翌年以降に芽をつけずに枯れてしまうとネットにでていた。

タラの木は、水耕栽培はできるが、株を増やすには根から採取して土の中に埋めておかないと増えていかないという。つまり、水耕栽培は、あくまでその年だけの食用もしくは観賞用ということになる。翌年以降も栽培したいなら、根から増やしていかないといけない。

タラの芽を栽培して食す楽しみとは別に、タラの芽の生命力は、いまの私に大きな力を与えてくれている。どんなにもがれても、切られても、芽を伸ばす。そんな自分になりたい。

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