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教育者に本当に必要な力

2021年も明日で折り返しに入るということで、これまで半年間のANOTHER TEACHERの活動を振り返りながら、

 

教育者に本当に必要なものが言語化出来てきたので、文字に起こしたいと思います。

 

ANOTHER TEACHERの前身となる日本総先生化プロジェクトを始動したのが2019年1月。

 

約二年半が経とうとしていますが、これまで本当に試行錯誤しながら教育活動を実施してきました。

 

2019年には地方高校に働く大人を派遣する為にクラウドファンディングを実施し、達成。

https://readyfor.jp/projects/27724
 

2020年にCOVID-19の影響でリアルの授業が難しくなってからも、5月の段階からすぐに学校向けに大人を派遣する事業を実施しました。

 

Facebookグループで700名以上の方々にご賛同を頂き、これまで30校以上の学校で延べ500人以上の大人を中学・高校に派遣してきました。

 

教育活動を通じて講演をさせて頂くことも多くなり、これまで30回近く様々な場で登壇させて頂き、2020年にはテレビ出演もさせて頂きました。

https://www.bsfuji.tv/yutorizumu/pub/index.html

 

当初から掲げている『中高生、学校の先生方、働く全ての大人の壁をなくす』というビジョンに従って突き進んで来ました。

 

そうやって掲げた目標に向かって直走る中で、何かが足りない。

 

様々な大人を教育現場に連れていく中で、一番提供したいものが出来ていない実感がありました。

 

未だ見ぬ未来を見据えて、将来の選択肢を広げたい子供たちがいる。

 

世の中には自分のこれまでに生きてきた中で学んだストーリーを語りたい沢山の大人がいる。

 

ただでさえ日々の業務に忙殺されている先生方が探究学習の義務化に伴って試行錯誤されている。

 

こういったそれぞれの思いはそれぞれの世代・組織の壁をANOTHER TEACHERが外すことで、自然に混ざり合うものだと思っていました。

 

でもその考えは甘かったんです。教育というのはそんなに甘いものではありませんでした。

 

教育の必要性を語る時に傾向としてよくあるのは、人が人生において感じる幸せ度合い、人生におけるチャンスの広がりを教育そのものという外側のせいにするアプローチが頻繁に取られています。

 

でもいくら目の前にチャンスが広がっていても、沢山の大人に出会えたとしても本人の意識が変わらなければ、そこから世界は変わりません。

 

でも本質的に大事なのは、どんな人であれその人自身の意識を変えることが最も教育活動において大事なことの一つだということが分かりました。

 

ANOTHER TEACHERという中高生と大人が壁を超えて混ざり合う活動を通じて、子供も大人も全く同じであるということを実感しました。

 

僕自身も活動がうまくいかない時にそれを外側のせいにしている時は、何をどうやっても物事が前に進まないことを痛感していました。

 

プロジェクトの代表をやっている自分自身の意識を変えずして、目の前の教育の世界を変えることはできません。

 

人は安易に自分の見えている不遇や都合が悪いこと、なんとなくうまくいかない状態を受け入れられず、自分の世界の外側のせいにしてしまう傾向があります。

 

それは中高生だろうと大人だろうと全く同じだと思います。僕も例外ではなく、その一人だったからこそ、『壁を取り除けば』どんな人も自然に混ざり合うと思っていました。

 

しかしながらそれは大きな勘違いでした。

 

沢山の中高生と大人が混ざり合うところを拝見する中で、『この大人はもう一度連れていきたい!!』『この人はまだその段階にはないな』。

 

そういう思いが明確に分かれていました。ならば、中高生が魅力的だと思う大人はどんな人なんか。

 

シンプルに言ってしまうと、もう一度『会いたい』と思う人かどうか、ということです。

 

この力を僕たちANOTHER TEACHERでは『AITAI力』と呼んでいます。

 

この言葉には沢山の意味が内包されています。

 

1.会いたい力
老若男女関わらず、この人を魅力的だなあと思う時、その理由を数多く並べれば並べるほどに陳腐化してしまいます。

ある異性を好きになった時にその人を好きな理由を何十も並べるよりも、『ただ愛してる』という方が伝わります。

尊敬するあの人に会いたいと思う時は、理由よりも先に直感が働いているはずです。

この『会いたい』という気持ちが恋愛以外の感情である時、人は自然にその人から何かを学びたいと思っているのではないかと思います。

その人が放つエネルギーに触れたい、一緒に話したい、この感情からもある種の学びというものがあり、

これはまさしく目の前にいる人を『せんせい』する意識ともつながり、教育基本法の第一条である『人格の完成』ともつながっていきます。

 

2.相対力(人と向き合う)
これまでANOTHER TEACHERで単発で大人を学校に送る中である種の力不足を感じたのはまさしくこの点です。

中高生は人の本質を見抜く天才です。中途半端な氣持ちで接すると中高生は一氣に心を傾けなくなります。

学校の先生が何故素晴らしい職業かというと、やはり日々生徒と向き合う人だからです。

ただ、生徒たちの自己肯定感を上げて、キャリアの選択肢を見せることだけが教育ではありません。

学校外の人間である我々が学校の教育活動に関わる時には、やはり生徒と一人の人間として真っ向から向き合うことは必要ではないかと思うのです。

時には生徒を叱る等、生徒が悩むことから真正面にぶつかっていく胆力が求められます。

 

3.相対力(自分と向き合う力)

中高生でも大人も関係なく、答えのある問題ばかりを解いてきた中で、自分という存在を直感的に感じて、

自分の弱さや強さや先天的に全ての人が持って生まれた才能(天才)に気付いている人は少ない印象があります。

いくら沢山の努力を積み上げてビジネスの世界で沢山の実績を残していても、偏差値の高い大学に入って、いい会社に入って、高級なブランド服に身を包んだとしても、

本質的な自分の存在というものを認めていない人は自分と向き合えていません。そういう人が提供する教育には少なからず押し付ける要素が入ってしまいます。

逆に自分自身と向き合っている人は、気持ちを押し付けることなく、自然体に背中で体現していきます。

必ずしも言葉を放たずとも不思議な魅力を放つものです。

 

これら全てを持っている、或いは持とうと努力しようとしている人は自然と会いたくなる魅力を放ちます。

そして会いたいという氣持ちは距離も世代も時間も、全ての壁を超えていきます。

学校と社会の壁があろうと、世代の壁があろうと、会いたいという氣持ちに人は突き動かされるのです。

 

ANOTHER TEACHERが起こすべきアクションは壁をなくすことだけではなく、この『AITIA力』を持つ大人たちを学校現場に送ることだったのです。

これに気付いた僕たちはこれまでの反省点を活かして、今年3月から東京都のある私立学校で長期的に探究学習の授業プログラムを持たせてもらっています。



まずは、僕たち自身がこの『AITAI力』を体現していくことが今僕たちに求められていることだと確信しています。

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