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銃社会

※これは以前FBに投稿したシリーズ第7弾です。昨日は米国選挙について紹介しましたが、その中で外せないのが、銃問題。今回はその銃社会について考察したものです。

2016/2/23【銃社会】
銃社会とは日常生活には必要とされないはずの、また簡単に人命を失わせかねない危険な銃器が、社会の至る所に存在し、その治安維持に役立っている反面、治安を悪化させる要因ともなっている状態を指す。この状態にある社会では、銃は所持する人の生命と財産を守る道具として扱われ、犯罪や暴力に対する抑止力となっている。しかし銃が、たった一瞬の低コストで他人の命を奪いかねない危険な器具であることから、その扱いには厳重に注意しなければならないのだが、それが携帯することが可能で、また誰にでも入手可能であるため、害意を持った人間の手にある銃器は、その害意を増幅・増長させる結果を発生させる。日本では明治時代に上流階級の一部や職業によっては銃を所持することが多く見られたが、第二次世界大戦終結以降に銃刀法などにより社会の銃所持が厳しく規制されていることもあり、密輸入ルートを持つ一部非合法組織を除けば、銃を携行できるのは狩猟を行う猟師、競技射撃の選手、国防を担う自衛官や国内治安を維持する警察官、それに類する司法警察職員などに限定されていた。1990年代に入ると、交通・物流の活性化や国際的な人的交流の拡大等のあらゆる面での国際化や、暴力団対策法施行による警察による暴力団取締り強化という変化があった。この変化は、外国から流入する拳銃へのアクセスを容易とし、新たな形の拳銃密輸ルート構築や警察の取り締まり強化によって従来の資金源を断たれた暴力団末端構成員が上位組織への上納金捻出のために大量の拳銃を密売するなどして、日本での拳銃流通量が増加して一般人が拳銃を入手しやすくなったり、外国人流入によって従来の日本暴力団と異なる性格を持つマフィア化した外国人犯罪組織が増加したりしたことで、一般人への拳銃使用に躊躇しない犯罪が発生するようになり、日本で新たな形態の銃犯罪として大きな注目を集めた。上記の社会の変化は警察に配備された銃器では対応できない事件やテロの発生が懸念されたため、警察機構では従来では殺傷力が強く、被害が広範囲に出やすいと採用を見送っていた機関けん銃等の強力な銃器を配備する傾向も出ているほか、警察官を襲撃して拳銃を強奪するケースもある。米国では銃による凶悪犯罪(強盗・殺人など)の問題もあり、銃規制法案がたびたび提出されるなど規制の方向で進んでいるが、規制法案が提出されるたびに政治的発言力のある全米ライフル協会の反対により法案の成立が阻止され、実効力の見られる規制法が成立したのは1993年のブレイディ法(2004年に失効)である。大多数の日本人の感覚としては「銃犯罪が問題となるのであれば銃規制をすればよいではないか」と日本の事情を元に考えがちであるが、米国人の考え方・感じ方は日本人とは根本的に異なる面が存在する。米国は全世界から移民が流入して誕生した国家であり、建国当時の「自分の身は自分で守る」という精神が現在でも多くの米国民の中に根強く残っており、憲法にも明記されている。そのため、多くの米国人は銃を手放すことを恐れる。こうした米国民の潜在的な銃に対する意識に加え、NRAの発言力は、その資金力(莫大な政治献金)ゆえに非常に強大であり、同時多発テロ以降、政府でも銃規制についての議論自体がタブー同然とされている。

アメリカ合衆国憲法修正第2条(人民の武装権)
"規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない。(A well regulated militia being necessary to the security of a free state, the right of the people to keep and bear arms shall not be infringed.)"

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