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profile

最近写真を撮ってもらう機会があったのと、なにかと友人、知り合いが増える機会が多かったのと年明けのディレクターズ・ワークショップに向けて書いた文章が手元にあったのでそれを加筆・修正してプロフィールをつくりました。(2018/1/26)

●松本一歩 Kazuho Matsumoto
1989年生まれ 愛知県出身
俳優・演出・劇団主宰・制作・ドラマトゥルク

●演劇に関わるこれまでのいきさつ
高校3年の文化祭でクラスでミュージカル『アラジン』を上演(ジャファー役)、俳優として出演。時期を同じくしてYou Tubeでラーメンズの動画に出会い「これは」と思い演劇を志し上京するも、大学の新歓でアメフト部の勧誘に負け、入部。半年過ごすも夏合宿を経て脱落。その頃すでに大学の演劇サークルの新人稽古期間が悉く終わっており、演劇研究会への入部のタイミングを逸する。

半ばふてくされて和食料理店でアルバイトを始めたところ調理補助に開眼、その後結局7年半勤務し調理師免許を取得。現在仕事、人生で大切にしていることのほとんどをこのお店で教わる。

その後在学中は演劇サークルには入らず、学部で演劇学を学ぶことに専念。専門はテクスト分析。卒業論文は地点・三浦基の作品について。図書館と教室とバイト先を往復し続ける。

大学2年の時、演劇コースに進級した年の春に教授から勧められたヤン・ファーブル演出の『寛容のオルギア』という作品の冒頭で男女の出演者が全員全裸でマスタベーションをし始めたのを見て「現代演劇とはこういうものだ」と強く思い込む。

2012年に神奈川芸術劇場での劇場運営のインターンに参加したのをきっかけにアートマネジメントへの興味を深める。制作助手として地点『トカトントンと』参加(字幕制作)。

大学卒業後、俳優として新劇団の演劇研究所へ入所し、研究生として実地で演劇を学びつつ、昨今の新劇の問題意識、俳優としての演技体を斜から批判し続けるなどして3年間過ごしたのち卒業。
その後零細芸能事務所に所属するも「これでいいのか」と思い詰め1年で退所。

2015年、研究所時代の同期を中心に平泳ぎ本店を立ち上げ。第1回公演『The Dishwashers』(新宿TheaterPoo)を行う。

2016年、制作助手として時間堂の公演に参加。(『ゾーヤ・ペーリツのアパート』『ローザ』)票券管理、劇団員ロングインタビューなどを務める。

同年10月平泳ぎ本店第2回公演『えのえを なれゐて』(早稲田小劇場どらま館)を行う。

2017年、(劇)ヤリナゲ第10回公演『預言者Q太郎の一生』にて”記者”としてロングインタビューを担当。

同年平泳ぎ本店として初めて演劇コンクールへ参加(第8回せんがわ劇場演劇コンクール)。

結果惨敗し、アフターパーティーでさる大御所から「君たちのは”演劇”の名前を借りた何かもっと程度の低い、何かだよ、おもしろくないよ」とのお言葉を頂戴し、半ば心が折れかけるも自身のその創作過程での数々の妥協に思い至り深く悔い、もっとおもしろいものがつくりたいと発奮。

2018年、年明けに”地獄”と名高い第6回ディレクターズワークショップ(花まる学習会王子小劇場)へ演出として参加。揉まれる。

現在に至る。

近年の出演作品に日本×フィンランド演劇プロジェクト『行こう!野ウサギ』(演出:ユハ・マケラ/黒澤世莉 早稲田小劇場どらま館)など。

(撮影:保坂萌)

●平泳ぎ本店 Hiraoyogi Honten
2015年、主宰の松本一歩を中心に結成。
メンバー全員が俳優であり、稽古場では俳優達自身が言葉と理屈と身体を徹底的に尽くした上で「言葉にできない!理屈じゃない!」というおもしろさを追求している俳優主体のカンパニー。
稽古場で生まれる様々なアイディアを俳優自身が揉み、新劇から現代口語、身体表現まで様々な演劇的手法を節操なく駆使しつつ、結果一人一人の想像を超えて凝ったシーンを造形していく創作方法に特徴がある。
「真剣に演劇について悩んで、真剣に演劇を愛する」演劇大好きカンパニー。
オリジナル作品での海外公演を当面の最大の目標とする。

●どういう演劇を愛しているのか(順不同 敬称略)
【影響を受けている作家、作品】
・地点、三浦基『おもしろければOKか?-現代演劇考』(五柳叢書 2010年)、地点『Kappa/或小説』(2011年 KAAT)
・チェルフィッチュ、岡田利規『ゾウガメのソニックライフ』(2010年 KAAT)『現在地』(2012年 KAAT)
・文学座→鵜澤秀行『女の一生』(作・森本薫)『美しきものの伝説』(作・宮本研)、坂口芳貞『胸騒ぎの放課後』
・時間堂 解散公演『ローザ』(作・演出 黒澤世莉 2016年 十色庵)
・鈴木忠志 SCOT 上演作品、演劇論各種 
・静岡芸術劇場 宮城 聰『マハーバーラタ』(2015年 KAAT)
・サンプル 松井周
・チェーホフ『桜の園』

練られた俳優によるタフな上演が好き。 
そしてそこかしこになんだか「分からないもの」があるもの。

シンプルなものとトゥーマッチなもの、”いわゆる”リアリズム、新劇的な演技体とポストドラマ的な演技体、あるいは様式的な美と生身の俳優の魅力と、一見相反する二つのものを両立させる舞台を志す。

「言葉でもって言葉を超える瞬間」や「言葉の芸術なのに『言葉に出来ない』感動」を得られる/与えられることが楽しくて演劇をやっています。

●結句私が演劇を通じて観たいものとは何か

「俳優がそこに存在していること」
そして舞台上に最初の一言から最後の一言までの「変化=時間経過」があること。

その結果訪れる演劇の奇跡みたいな瞬間を、信じています。

アプローチはいろいろあるにせよ、稽古場で過ごす時間を通じて、言葉で作品を耕して、俳優自身が気付くプロセスを尊く思います。
そのためならどれだけ一見無駄に見える時間を過ごしても構いません。

”True love waits”がモットーです。演劇が大好きです。

(撮影:保坂萌)

(せんがわ劇場演劇コンクール『コインランドリー』より。)
(撮影:北原美喜男 左側が筆者)




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