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表紙イラスト『incu・be vol.44』-メイキング

若手研究者のための研究キャリア発見マガジン
『incu・be vol.44』(2019年春号)
刊:リバネス出版
発行日:2019/03/01
デザイン: KIYO DESIGN

前号に引き続き、表紙イラストを担当させていただきました。


1:イメージのすり合わせ

今回のオーダーはこんなかんじ↓

仮タイトル:
 「なぜ研究し続けるのか?」
研究キャリアを考え出した読者が、「どうして自分は研究しているのか」という原点に立ち戻り、これからの研究キャリアを作り出していってもらえるような特集を組みたいと考えております。
なぜ研究するのか、そして、なぜ研究し続けるのかということを、組織や立場などの括りなしに考えるコーナーです。

 ↓インタビューイ↓
・小学生からロボットの研究開発を続けてきている中学生(打診中)
・数学の考え方による形状づくりで機能をデザインしたいという大学院博士から会社を立ち上げた起業家
・アマチュアサイエンティストと自称する生物の高校教員

さらに具体的なオーダーと、先方さんのイメージ図がこちら↓

・色味は、若葉色、若竹色、薄浅葱色…のような緑色系トーン
「研究し始めたきっかけ」に近い始まりの時期
  →紆余曲折している時期
  →乗り越え明るい未来を目指している時期

  という道のりを灰色のくねくねした曲線で示す
 (メビウスの輪的に、表が裏になりまた表になり、という帯状で)
・それぞれのポイントに、
 「研究し始めで怖いもの知らずなワクワク顔」
 「始めてみるといろいろ難しいことも出てきて悩む顔」
 「でもやっぱり楽しくて、目指す先まで続けていくぞというワクワク顔」

・2ポイント目までは上半身だけでもよい(不自然でないように)
 最後は全身で勢いを感じられるように…というイメージ
・背景に研究的要素のプチイラスト(ロボット?試験管にスポイト?グラフ?σ、∬、√、みたいな数式記号?)が散らばるといいかな?

これらを踏まえ、ラフに入る前に疑問点を確認↓

Q:3工程の人物は、同一人物?
 その場合、年齢の移り変わり(小学生→中高生→大人など)は表現する?
A:同一人物。そこまで年齢差はつけなくても大丈夫

Q:性別や容姿の指定は?
A:指定無し。中性的が理想だけど、女性でも大丈夫

Q:背景の色分けはグラデーションでなく、クッキリがいい?
A:描きやすい方でOK

Q:画面真ん中に文字を置くスペースを空けたい?
A:考慮してもらうとありがたいけどイラスト重視でOK

Q:イメージが分散して印象が弱いかんじなので
 一番上の人物を大きく描いてメリハリをつけたい
A:「やっぱり楽しくて目指す先まで続けていくぞ」がメインになればOK

Q:構図に強いこだわりがなければ、コンセプトを踏まえた上で
 強めにアレンジを加えたものもつくっても?
A:アレンジしたもので提案、大歓迎!

イメージ図があるとそれに引きずられて思考が狭まる場合もありますが、
「こういう点を重視しているんだろうな、ならああいうアプローチをしてみようかな」という思考展開もできるので助かります。

2:ラフスケッチ

螺旋を描いて上昇する帯の中心にメインとなる人物を据え、周りにそれぞれの時期を表現した人物を配置。

左:研究対象のモチーフとして、ロケット(スペースシャトル)を選択
上昇志向というか、「理想に向かって己を高めていく」イメージが視覚的にわかりやすいかな…と思ったのですが
「スペースシャトルはすでに退役している過去技術なのでNGかなと」
というデザイナーさんのツッコミから、

右:「空飛ぶロボット」に変更
こういうところで日頃の不勉強が露呈しますね…

・年齢の移り変わりはあまり考えなくてもいいとのことでしたが、
 自分としてはこれくらいのメリハリをつけたほうがやりやすかったです
・右上に人物を小さくひとり追加
 文字を入れるなら削除した方がいいかもですが、イラスト主体だとこれがバランスよいかと(邪魔なら消します)
・ミントグリーンっぽいかんじ、グラデーションで上部を明るく。
 希望の未来といったイメージで…
 スペースシャトルやロボットは反対色の赤系で華やかな印象に
・「メビウスの輪のような帯」まがりくねった山道のようでもあり
・背景は研究書類が舞っているイメージ


3:フィードバック

具体的なロボなどは避けたいので、
左上の手の先に、未来の開発などを光のイメージで見せたいとのこと。
(前号のように、キラキラする光イメージだけ)
右下のロケットはNGで、こちらにロボットやアイボ(ロボット犬)などに
しましょうとのことです。
メインの部分が差し替えになってしまうので大変ですが、もう一度、ラフで確認してもらおうと思います。


4:修正ラフ

フィードバックでは手前の子供が持っているものをロボに変更…とありましたが、いろんな分野のインタビューを取り上げるからか、そもそも具体的なモノを描くのはあまりよくなさそう。
デザイナーさんとメールでやりとりをしているうちに
「最初にいただいたイメージ図のように、人物のみで構成したものを作ってみよう」と思いました。

迷いながら描いてるとロボデザインなどで何度も修正を重ねて時間を食いそうな気がしたので、先にこれを提出してみて、それから急いでロボverも作ろう…と考えていましたが
これを提出した時点でデザイナーさんが
「ロボット無くてもいい気がします。クライアントチェック回しますね」と仰ったのでそのまま進行。
そしてこのラフからメインの星の放射線を消して本制作ということで落ち着きました。

一応、背景に理系っぽい記号をちりばめたverも作ってありましたがこちらはちょっとごちゃごちゃしすぎたみたいですね。
迷いが見て取れる…

5:完成

細かいところをブラッシュアップして完成。
中央の人物以外は主線を消して、ほんのり差別化をしています。
今回はテクスチャを入れたりもせず、スッキリ爽やかにまとめたかんじ。
(印刷物になると微妙なテクスチャは綺麗に反映されないし、ミントグリーン系は濁らせないほうがいいだろうなと思ったので)
いろんな表情が描けて楽しかったです。
迷ったり悩んだりしながら坂道を登って行くのは、どの分野でも同じですね。

今回は勝手に余計なものを描きすぎて迷走してしまった感があります…
あらためて振り返ると、やっぱりスッキリシンプルなほうが見やすいし使いやすいですね。
少し前にTVで「小さい頃に見たロボットアニメの影響でロボット研究者になり、巨大ロボットを作っている人」のドキュメンタリーを見て、それがとても印象的だったのでロボットやロケットといったモチーフが描きたくなったのでした。しかし知識不足は否めない…
このお仕事をきっかけに、ちょっとずつ、今まで触れていなかった分野も覗いてみるようにしています。

また、前号もそうでしたが、incu・beで求められる人物は基本的に「中性的」なんだな〜(性別による固定観念を生まないように)、
中性的、男性的、女性的ってなんだろうなぁ。と考えます。
こういうとき自分の頭に反射的に思い浮かぶ「中性的な人物像」は「短髪にズボン」で、「男性装の女性」が基本になってるんだなぁと気付いたり。
今回はシャツ+ズボン+体型の隠れる白衣(周囲の人物もはっきりとは体型がわからないポージングにしています)+長めの短髪という表現。
パッと見のわかりやすさとか、伝えたいものの優先順位でこうなったかんじです。次はどんなアプローチをしようかな。

incu・beは1年間で4回の契約なので、次号でひとくぎりとなります。
どうぞよろしくお願いいたします。



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宮崎ひかり

フリーランスのイラストレーター http://1zeroberry.tumblr.com/ ・ 書籍装画→ https://booklog.jp/users/1zeroberry ・ 得意ジャンル→メルヘン、ミステリー、ファンタジー、ホラーなど ・ イラストレーターズ通信会員

お仕事絵

ClientWorks / お仕事で描いた絵+メイキングなど。 書籍→ https://booklog.jp/users/1zeroberry
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