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8年越しでクラスメイトへお礼を言った話

母校 宝塚大学(元・宝塚造形芸術大学)の宝塚キャンパスが、
いよいよ今年の3月いっぱいでおしまいです。
母校がなくなる、というのは淋しいものですね。
本日イラストレーションコース(イラストレーション研究室)のプチ同窓会が開催されました。その名も「イラストレーション研究室の集い」
直前まで風邪っぴきでしたがなんとか快復したので出席。

そこで、卒業してからもずっと燻っていた
「あの時あの人にありがとうって言えばよかったな〜」という心残りを解消できたので記念にここへ綴っておきます。

私は大学4回生のとき、卒業制作の作品集を作る係になりました。
別に好きでなったわけではなく、任命されて断れなかっただけなんですが。

1:印刷所を探し、料金などを比較してよさそうな会社を選定
2:学生たちに適宜連絡メールを送り、作品のデータと印刷費用を徴収
3:巻末に掲載する顔写真(卒アルによくあるアレ)を全員ぶん撮影
4:諸々のデータをまとめて作品集として編集、入稿、配布

…というのを作品集係さんたちとスカイプで会議しつつ、自分の卒制や就活と並行して行う、なかなかにハードなお仕事でした。
このときのイラストコース学生は70人もいたしね。
分担作業してもしんどかった…
あと印刷所のミスで刷り直しするはめになったりもして…
入稿後も決して気を抜いてはいけないとここで学びました。

しかし特にしんどかったのは、

こちらがどんなに丁寧なメールを送っても、
受け取る側の何割かははちゃんと読まない。
指定の形式を守らない。
〆切を守らない。
返信をしない。
そもそも学校に来ない。


という地獄がね。あったんですよね。

一応ね、クラスメイトだからさ。友達もいるからさ。

事務的なだけの文章じゃ怖がられるかなとか、
デジタルに弱い子もいるからなるべくわかりやすくしないとなとか、
そうすると長文になっちゃうなちゃんと読んでくれるかなとか、
返信ない相手に催促する適切なタイミングはいつかなとか、
なんで返信してくれないのかなめんどくさいのかな忘れてるのかなそれともまだ準備中なのかなそもそもメール読んでくれてるのかなとか、

連絡メールの文章を考えるだけでなかなか胃が痛かったのですよ。
しかしそれへの返信は、まぁ大概が必要最低限の箇条書きで。
ろくにビジネスメールも打ったことない子供だからまぁ無理ないっちゃないし、返信してくれるだけまだマシなんですけど、それも抜けがあったり間違いがあったり…
別にそこまで複雑な要求してないだろ!?と頭を抱えたくなるものが多数。
自分自身は文章を書くのも読むのも好きな人間なので想像が及ばなかったのですが、本当に本当に「メールで必要な文章を作成する」のが出来ない層というのもいるんですよね…しかしそこをカバーするためのメソッドを教えてくれる人はいなかった…
そしてこういうことを周りの大人に愚痴ると、
「社会ってそういうものよ〜」「企業勤めしたらこんなもんじゃないよ〜」「そこをなんとかするのがあなたの仕事でしょ〜」
とたしなめられる…

うっせーばーか!!!!!!!


と、ここまで怨嗟の言葉を綴りましたが、
それでも素晴らしい対応をしてくれた子がひとりいました。

〆切を守り、形式を守り、必要なデータを全てきちんと提出し、丁寧で簡潔な文章で、
こちらへの「お疲れ様です」「ありがとうございました」という労いと感謝の言葉を添えてくれた完璧な子が!

もう本当にね、あなたが神かと。
そう思ったものです。

必要な情報のやりとりさえできれば、
挨拶や労いの言葉はなくてもいい…といえばいいんですが、そこはやっぱり人間。その一言があるとないとじゃモチベーションが大違い。
彼女のメールを読んで、ずいぶん救われました。
係のメンバー(ひとり30人くらいを担当していました)にこの話をすると、
「自分も同じことを思った!」
「私の担当もほとんどの人が必要最低限の記述しかないのに、ひとりだけお疲れ様って書いてくれる人がいてものすごく嬉しかった」
「たとえ社交辞令でも、この一言があるとこんなに嬉しいんだなって…」
「自分が社会人になったらこういうとこ気をつけようね」
「ね」

と盛り上がったものです。
あと「カスタマーサポートに電話する時は感謝と敬意を忘れずにいような」とも。中の人にも心があるんや。

我々の負のオーラが届いたのか、最後の方には彼女以外にもねぎらいの言葉を添えたメッセージをくれる子が複数いました。ありがとう。
ほんと最後は目が据わってたと思う。ごめんねあの頃余裕なくて。
作業量は多いのに特にバイト料が出るわけでもなく、プライベートの時間は奪われ、必要なデータが徴収できたら次はレイアウト作業やら何やらに追われ、自分の卒制は進まず、病んでいた…

しかし生徒さんも事情はそれぞれだし、「こっちがこれだけやってあげてるのに!」みたいな思考に流れがちだったのは我ながら危うかった。
フラストレーション溜めるくらいなら「もう知らん。 私は降りる」と投げ出してしまう選択肢も、まぁ、なくはなかったのに。
というかそもそも「作品集」なんて本当に必要だったのか、渡した翌日にはゴミとして捨てちゃう人だって絶対いるだろ、慣習として従ってるけどこれは本当にベストな選択だったのか、「こんな手間もお金もかかる慣習は廃止すべき!」と先生に直談判してみればよかったのでは?
なんてことも思ったり。たぶんやることは変わらなかったろうけど、心持ちは何かしら変わったかもしれない。
同窓会でこの作品集をめくりながら語らうのはそれなりに感慨深かったので、無駄ではなかったとは思いたいのですが…
それにしてもあの頃はちょっと疑わなすぎだったかもなぁという気にはなりました。何かもっといいやり方はなかったかなと。

とはいえ
この経験はとてもしんどかったし苦しかったしめんどくさかったけど、
その後のフリーランス活動にとってはいい勉強になったと思います。

・メールの返信はなるべく早く
・すぐに返信できない時は「読みました、後で連絡します」だけでも伝える
・文章はきちんと精読する
・不安なことがあったらちゃんと確認する
・相手への感謝と敬意を忘れない

・〆切は ちゃんと 守る
・守れそうになかったら早めに連絡・相談する
 (早めに相談してくれたら対応できる)

絵を描いている人って、内向的というか人見知りというか、こうしたコミュニケーションが苦手な人も多いとは思いますが…
だからこそ、こうしたことをきっちり意識して行動できる人は愛されるのだろうなと思います。

で、その子にはとっても感謝したのですが、もともと彼女とは同じクラスにいたという以外の接点がほぼなかったので、結局卒業するまで直接のお礼は言えずにいました。
その頃は授業もほとんどなく、会う機会もあまりなかったのですが…
私自身も人見知りで、その子に対して無駄にビビっていたのです。

当時の私から見て、彼女の印象は「ギャル系の綺麗なお姉さん」でした。
おしゃれにうとい私からはそう見えたというだけで実際は言うほどギャルでもなかったのかもしれませんが、メイクも服もかっこよく決めた彼女を私は敬遠してしまっていたのです。
漫画やドラマなどのフィクション作品で見る「ギャル」は「性格がキツくて怖い」印象が強かったから、その偏見もあったのでしょう。
それまでリアルでそういうタイプと接する機会は本当に皆無だったので、勝手な苦手意識を募らせていました。
今ふりかえるとひどい差別ですね。
たぶん、「彼女らと比べて自分はダサいから、蔑まれたりガッカリされたらイヤだ。失敗するくらいなら近寄らないほうがいい」みたいな心理だったのかな。

でも、彼女の絵は好きだった。
ほとんど話したことはないけど、色使いがオシャレで優しい印象の絵が、すごいなー素敵だなーと思っていたのです。
そう思って興味を持っていたくせに、話しかけるのは怖くてできなかったんですね。チキンチキン。
記憶にある限り、彼女の言動がキツかったり高飛車だったりしたことなんか全くなかったのにね。むしろメールと同じく丁寧で優しかったよね。
まぁなんたるチキン。

で、今日の同窓会にくだんの彼女が来ていたので、
会えるとは思ってなかったけど会えたのだ、もろもろ伝えるなら今では!?
と思って勇気を出して話しかけてみました。
そしたら。

めっちゃ普通に楽しくおしゃべりできました。

ねー…なんでこれが8年前にできなかったんでしょうね。
たぶん肩の力が抜けたり丸くなったりな30歳になったからこそできたことなんだろうと思いますが。
猛獣でもあるまいし、普通に話しかけりゃそれでよかったんじゃんね。話が合わなきゃそこでそっと離れりゃよかっただけのことじゃんね。

で、なんやかんや当時は言えなかったことを伝えて、お互いに
「芸大に入ったら、自然と画力が上がったり、自然と人脈が広がったりする勝手なイメージがあったけど、現実は全然そんなことなかったね。
何事も自分で行動しなけりゃ何も始まらなかったね。
あの頃にもっといろんな人と話していっぱい遊んどけばよかったね」

と笑ったりなんかして。
我ながら30歳っぽいこと言ってたな。
当時の自分に伝えても「それができりゃあ苦労しねぇ」と返されそうですが。でもほんと、そうなんだよね。
ファッションの趣味や価値観もまるで違うけど絵を描くのは好きって共通点のある同年代の人とリアルで友達になれる機会なんて、「学校」を卒業したらそうそう無い。得難い経験だったのだわ。

今日をきっかけに彼女と「友達」に…なったのかというとそこまでの行動力はないチキンな私は「SNSとかもいろいろやってるのでもしなんかあったら連絡してくれよな!」と伝えるに留まったのですが。
まぁ何もなければ無理に連絡してくれなくてもいいです。
ただ気まぐれにでも思い出したり見かけたりした時、「宮崎ひかり」というコンテンツを楽しんでくれたなら幸い。
ここも見てくれてるかどうかわからんけども、もし見てくれてたら、今日は楽しくおしゃべりさせてくださってありがとうございました!とだけ。
(勝手にネタにしてごめんね)

で、もしかしたらこれは全然関係ない人が読んでも何かの希望になる話かもしれないなーと思うので、苦情が来ない限りはここに置いておきます。
おそまつさまでした。

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感謝感激雨霰!!!
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宮崎ひかり

フリーランスのイラストレーター http://1zeroberry.tumblr.com/ ・ 書籍装画→ https://booklog.jp/users/1zeroberry ・ 得意ジャンル→メルヘン、ミステリー、ファンタジー、ホラーなど ・ イラストレーターズ通信会員

フリーランスあれそれ

FreelanceMurmur / フリーランスイラストレーターの日常よもやま話
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