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モンゴル旅行記3

5日目

午前中は1時間弱くらい馬に乗り、近所(?)の遊牧民のおうちを訪問。突然現れた訳の分からない日本人観光客を快く受け入れてくれて、ヤギの毛を刈る様子を見せてくれた。
ナーダム期間中なのもあって都心部から親族が集合しているらしく、ギャルっぽい若い女の子とかもいて不思議な光景だった。

通訳さんによると人がたくさん来てるからゲルの中を見るのは厳しい、とのことだった。しかしどうしても見せて欲しかったので、モンゴル語と日本語と英語を混ぜつつ一人で果敢に喋りかけに行ったら、撮影までOKしてもらえた上に子供達に遊ぼうよと誘われ、しばらくバレーボールに入れてもらった。中はファンシーで可愛かった。


こんな小さい子も働いていた。たくましいなあ

帰ってきた後は、馬頭琴を教えてもらった。馬頭琴の弦は2本で、馬の毛で出来ている。弦を抑えるのが指の腹ではなく背なのが面白かった。バイオリン経験者とギタリストも体験させてもらっていたが、弾く感覚としてはチェロに一番近いかもしれないと話していた。教えてくれた彼は音楽のコースの高校に通っていて、次はバイオリンも習いたいと思っているらしい。めちゃくちゃいい子だった。

昼ごはんを食べ、草原を後にしてウランバートルへ。めちゃくちゃ名残惜しかった。
アンジェラアキのTODAYという曲の中に、
『別れ際に「またね」と手を振る二人は
 「また」が二度と来ない事を知っている』
という歌詞があって凄く好きだったんだけど、現地の皆とハグしながら耳元で呟かれた「See you later」は、定形文にはしたくないなあと本気で思った。絶対また行きたい。

都市部に到着すると、チベット仏教のお寺へ。ウランバートルの学生は高校を卒業するときに必ずここを訪れるらしい。建物の中には25mくらいの巨大な仏像があったんだけど、日本みたいに座っているのではなく立っているのが面白かった。

大火災で唯一焼け残ったとされる木の穴は神様の耳みたいなもので、願いを呟いて3周すると、その願いが叶うらしい。チベット仏教の偉い方、日本語分かってくれたかな。

その後買い物、夕食を食べ、一部の人々は日本へ帰った。残った人で後2日間の都市探索。めちゃくちゃ綺麗なマンションの1室をお借りし、今朝草原で目を覚ましたとは思えないほどのアーバンライフがスタートした。


6日目

朝ごはんを食べ、午前中はゲルメーカーの見学へ、ちょうどウランバートル郊外でゲルの納品をしている様子を見せてもらえることになった。そこは親子向けのリゾート地的なものを目指しているようで、ゲルっぽい建物だった。壁の構造とかも違っていたし、なんと床は床暖房を入れるらしい!実際に草原のど真ん中でゲルを組み立てた私たちからすれば、「ゲルみ」の薄いものであった。笑

小高い丘になっていたのでウランバートル全域を見渡すことが出来た。凄まじい建物の密集具合。一つのところにこんなに人間が密集しているのって、不自然で気持ち悪いよなあ、とまじまじと思ったところで「普段の私たちはもっと酷いところで暮らしている」という事実を思い出し、もっと帰りたくなくなった。

雨が降ったとき、雨雲が近づいてくるのが物凄く良く分かって面白かった。10m先は降っているけれど自分がいるところは降っていない、って感じだった。

お昼を食べた後は、現代美術のグループ展へ。
美術館とかにも課題でない限りほぼ行かないし、展覧会に行って「絵を買う」という行為が普通に存在することもピンときてなかったので、『買うならこれっていうのを選んで皆にプレゼンし、全員終わった後で誰が一番高かったか聞いてみよう』という絵の見方が新鮮で凄く面白かった。自分が好きなものはどういうものなのか、現代社会を反映していて今後価値が上がりそうなものはどういうものなのか、全く分からないながらも色々考えながら絵を眺めるのは初めての経験でとても楽しかった。

夕飯は火鍋。美味しかったけどやっぱり草原で食べる羊肉には劣るな。また食べたいなあ

そういえばこの1日は人数に対して車の座席数が足りず、何人かトランクスペースに荷物として乗って移動した。見つかったら怒られるけど、平然と座っていれば外から見ても3列シートみたいに見えるんじゃない?という判断だったが、めちゃくちゃ楽しくてワクワクしっぱなしだった。


7日目

午前中は知り合いだという絵描きのアトリエへ。その人は男性だったけど、奥さんも画家で、モンゴルNo,1らしい。ドクメンタにも呼ばれているとか(いまいちこれの凄さが分かっていないが)。社会主義から民主主義へ移行し、いまだに国家情勢が不安定な中で描かれる絵画はそういう時代の空気感みたいなものを表現していて、それらを作者本人に解説してもらいながら質問したりした。物凄く貴重な機会だった。そしてここで2人が絵を購入!うち一人は絵を買うこと自体も初めてで、旅先で異国の新進気鋭の画家の絵を初めて買うって、なんか凄い素敵だと思った。

お昼はウクライナ料理を食べ(社会主義時代の名残で東欧地域との関係は結構深いらしい)、チベット医療の病院へ。薬局でお茶を買わせてもらったが、建物全体が薬草のいい香りがした。併設されていたお寺でお坊さんが占いをしていた。モンゴルの占いは、安易なことを言わないらしく、例えば転職した方がいいか聞いたときには『転職先もどうせしんどいからそのままの方がいい』みたいなアドバイスをくれるらしい。リアル...!

そして昨日訪れたグループ展の作品がやっぱり欲しい!と決断した人がいたので、再度展覧会へ。本来は展示が終わるまで持って帰れないはずだったが、作者の一人が実際にやってきてくれて、その場で解体し持って帰れることに。ここでも本人に作品の解説をしてもらえて、興味深かった。

カシミヤ専門店でお土産を買い、街を散歩しながらデパートで買い物をした。
高1の時だったか、JICAのイベントに参加したときになんかの景品で「多分これ遊牧民の時計だよ」と言われてもらった飾りがあったんだけど、なんと全く同じものがデパートのお土産売り場で売られていた。当時は渡してくれた職員さん自身もどこの国のものなのかよく分かっていなくて「じゃあモンゴルのものだと信じて持ってますね」と言って受け取っていたが、まさか5年越しに真実だと分かるとは...!感動してまた買ってしまった。リビングに1個、自室に1個飾る。

そして夕飯へ。到着した時点でだいぶ時間がやばく、パッと食べてさっさと空港へ行こう、という話だったんだけどなかなか食べ物が出てこない。「もうテイクアウトでいいんで」と言って店を出て空港へ向かうも、次はとんでもない渋滞に巻き込まれる。なかなか動けず、空港へ着いたのは出発時刻の約30分前。急いでお土産をスーツケースにぶち込んでチェックインに向かうも、なんともう搭乗手続きは出来ないと断られてしまう。現地スタッフの方が「マジかよ」と連呼しているのがなんか妙に面白くて笑ってしまった。この企画は10年以上行われているが、こんな風に乗り損ねるのは初の事態らしい。


8日目

結局深夜に仁川へ向かう便があったのでその搭乗券を買い直して予定通り日本へ帰って来れたけど、最後まで印象的な出来事が連続しすぎて、記憶のメモリーが足りなくなった。もっと色々あったはずなんだけど、「飛行機乗り損ねる」のインパクトが強すぎてだいぶ飛んで行ってしまった。

日本に帰ってきて、蒸し暑さにぐったりし、髪を洗っても数十秒草原を走り回ればすぐに乾いたモンゴルの湿度の低さが恋しくなっている。日中の気温は30度くらいだったけど、風が吹いているのと湿度が低いのとで、そんなに暑さは気にならなかった。夜は一気に気温が下がって、布団必須だし。この国、こんなに平地が少なくて蒸し暑いのになんで1億人もいるんだ?

自分の目で見て、聞いて、肌で感じたこと以外にも、話を聞いて考えたこと、まだ消化しきれていないことが沢山ある。連絡先交換した現地の子達とやりとりしていて、また来てくれる?なんて聞かれ、今すぐにでも空港へ行きたくなった。絶対また行く。

モンゴルでは計30人くらいの人々と関わりお世話になったが、本当にみんな恰好よかった。草原で生きる人は、なんでも自分で出来る。大人も子供も、みんな強くて優しくてたくましい。都市の人は政治への当事者意識が高くて、様々な問題に関心がありつつも、モンゴル人は遊牧民であるという誇りを忘れていない。都市部散策中にアル中のおっさんに絡まれたことを考えると、もちろんみんながみんないい人だという訳ではないだろうが笑、それにしたってこんなに恰好いい人たちに沢山出会った事はなかった。本当に良いところだった。

日本側の参加者も本当に色々な人がいた。ただでさえ就活スタートしたばかりであらゆることに絶賛悩み中の身には刺激的すぎて、自分が何をしたいのか、どうなりたいのか、全く分からなくなってしまった。幸い、試験とレポートを片付けたら夏休みなので、今後についてよく考えようと思う。最近、将来のこととか部活のこととか家のこととかで雁字搦めになっていたので、全てから解放されたところで1週間生きられたのは、本当に幸せだった。

ちなみにマジで迷走しているので、成田について電波が繋がって、真っ先に休学の仕方について検索してしまった笑


最高に楽しかった。

伊藤さん、バギーさん、アギーさん、モンゴルの皆さん、日本の皆さん、本当にありがとうございました!!!

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