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モンゴル旅行記2

3日目

昨日夜更かしした人から月は2時くらいに沈むと聞き、2時半に目覚ましをかけて外へ出た。目を疑うような星空だった。平地なので地平から反対の地平まで、まさに本当に満天の星だった。星の数が多すぎて、特に天の川のあたりなんかは、もしかして目に入ったゴミなのでは?なんて思ってしまった。こんだけ星が多かったら、線でつないで星座作りたくなる気持ちもわかるわ。

動いている小さな点があったので、おおこれがISSか!と思ったら他にも動いているものをいくつか見つけた。宇宙ステーション的なものって、そんなに数あるんだっけ?今まで宇宙人とかUFOとか信じてなかったけど、なんかいるかもなあ。

結構寒かったので一回ゲル戻って全身着込み、1時間くらいひっくり返って空を見上げていた。特に流星群の時期でも何でも無かったけど、流れ星を沢山みた。
しばらく大の字で寝っ転がっていたら遠くから足音が近づいてくるのが聞こえた。誰か他の人も起きてきたのかな、なんて思い目を凝らすと、馬だった。結構近かったのでドキドキした。

とにかく凄い星だった。
日本に帰ってきてみて空を見上げたら全然見えなかった。実はあんなに星が輝いているのかと思うと、救われるような全て投げ出したくなるような複雑な気持ちになった。とにかくもう私は満天の星空を知ってしまったので、そこらの山奥で見る星には全く心動かされなくなってしまった。けど草原で見る星は、冬はもっと綺麗らしい。やっぱ次は冬行くか〜

興奮でしばらく眠れず、朝はちょっと寝坊した。朝ごはんでは「内臓ゆでたけど食べる?」と言って、内臓を塩茹でしたものを追加で持ってきてくれた。昨日ホーショールに入ってたものは食べられたけど、そのままは厳しいかな…と恐る恐る食べたら、結構いけた。特に肺が美味しかった!もっちりしていて臭みはゼロ。胃に血を詰めたソーセージっぽいやつも美味しかった。

午前の乗馬は最初から一人で乗せてもらった。
突然走り出した馬から落馬してしまった人がいて、腰を打ち付けていてしんどそうだった。
周りの馬に蹴られたり、ビニール袋が飛んできたり等びっくりすると、馬は突然駆け出して落馬してしまう。一度人間を振り落として興奮状態になった馬が全力でどこかへ駆けて行ってしまうのを、同じく全力で追いかけ、捕まえて連れ戻してくる遊牧民達がめちゃくちゃ恰好よかった。大人たちに混じって15才の少年もすぐに追いかけていて、感心した。

昼ごはんの干し肉のスープ、美味しかったなあ。毎食毎食、とにかく羊が美味しい。今まで羊肉はジンギスカン食べ放題に行ったときくらいしか食べなかったけど、比べものにならないくらい全部美味しかった。

お昼ご飯を食べながら、モンゴルの都市問題について聞いた。国民の半数が都市部に集中することで、深刻な渋滞・大気汚染問題が起きているらしい。特に大気汚染は北京よりも酷いと認定されていて、あまりの寒さにタイヤとかまで燃やしてしまうことや車の過密、そして山に囲まれた盆地地形のため空気が流れて行かないことによって深刻化しているそう。昔NHKのドキュメンタリーかなんかで特集組まれていたのを見たことがあったんだけど、まさにそんな感じだと話してくれた。健康被害も出ていて、子供の発ガン率が高まっているらしい。

午後は2時間くらい走って白樺の林があるところへ。今まで体験したmaxスピードはトコトコ駆け足までだったけど、この移動時間ではトットコまでスピードを上げた。(上手く説明できない。完全な滞空時間が長い、いわゆる馬が速く駆ける感じ)めっっちゃくちゃ速かった。振り落とされるんじゃないかっていう不安と、同じかそれ以上の快感。風の音しか聞こえなくて、最高に気持ちよかった。移動中の景色も素晴らしかった。本当にうつくしいものは、カメラには収められないんだなあ。

林があるところに到着し、教えてもらいながら皆んなでゲルを組み立てた。自分たちで一から組み立ててみて改めて、ゲルの機能美を感じた。円形だからこそ力が分散していて、柱を必要としないのに広いスペースを確保することができる。考えた人ほんと天才だなあ、しかもこれが持ち運び可能なんだもんな。ちなみに日本の法律だとゲルは建造物ではなく「置いている」と扱われるとかなんとか。

ゲルを組み立ておわると、バレーボールしたり相撲したり。他には現地のゲームをいくつか教えてもらったんだけど、全部全力ダッシュ系のハードなもので、乗馬で既に疲弊&標高が高いから息が上がりやすい日本人勢はヘトヘトだった。

円になって目をつぶり、ゲームマスターが投げた白骨(その辺に落ちてたやつ)が落ちる音を聞いて場所を特定し、取りに行ってゲーマスの元まで戻す、というゲームではかつてない集中力と新たな才能を発揮し、「現地民並みに耳がいい」と褒められた。日モがごちゃごちゃになり、大人たちがガチで走って一本の骨をめぐりほぼラグビー状態になるの、なんか凄く素敵だと思った。久しぶりにこんなに全力で遊んだ。楽しかった。みんな本気すぎてそこら中に生傷作っていた笑
ちなみにモンゴルでは日が沈むのが遅いので、下の写真はなんと夜9時過ぎ。

そういえば他にも、草笛を吹けるようになった。

日が落ちると火を焚いて周りを踊ったり歌を歌ったり。モンゴルの人々は皆んな歌うのが好きでかつとても上手くて、特に気に入った歌をお願いして教えてもらった。

持ってきた寝袋でゲルの中で寝た。凄まじい人口密度だった。

4日目

朝日が見たくて5時過ぎに起きるも、雲が厚くて見られず。せっかくなので近くの山に登った。頂上には石が積まれていた。なんか神聖な場所だったのか。

雄大な景色を眺めながら、ただただぼーっとしていた。気がつくと時計が一周半していた。普段生活していてこんなにも無心でぼーっと出来る機会はそんなにないので、凄く貴重だった。気持ちよかったなあ

ゲルへ戻って二度寝し、朝ごはんは羊の尾脂で揚げた揚げパンみたいなやつを作って食べた。これも凄く美味しかった。

その後ゲルを解体。
近くに住んでる遊牧民たちの羊がやってきた。すごい数だった。

キャンプ地へ戻る途中、突然暴走した馬から振り落とされてしまった女の子がいて、めちゃくちゃ痛そうだった。馬は遥か彼方まで駆けて行ってしまい、滞在中に起きた落馬案件の中で1番再捕獲に時間がかかっていた。それにしても全力疾走する馬の横を並走しながら両手離して手綱をどうにか掴んで捕獲するの、繰り返しになるけどほんと恰好よかった。

戻るとすぐに、ボウズという正月に食べる小籠包のようなものを皆で作った。現地の皆さんはこれを大晦日に千個以上つくり、ゲルの上に置いて冷凍するらしい。すご。すぐに蒸してもらって食べたが、めちゃくちゃ美味しかった。何回目だよって感じだけど、本当に羊肉が美味しい。

昼ごはんを食べおわると、羊の解体見学。ほんとは羊を捕まえるところも見たかったんだけど、私たちが昼ごはん食べている間に出発してしまった。残念がっていたら「その辺のやつ捕まえてみてもいいよ」と言われ、一人で山羊と羊を追いかけ走り回っていた。途中から参加者が増え、最終的にはなんとか3人で山羊一頭を捕獲。ただ走り回るだけだと上手くいかないし、難しかった。

そして羊の解体。
遊牧民の男は18歳くらいから一人で行うようになる。伝統的に女性は死ぬ瞬間を見てはいけなくて、その後は手伝いとかはしても良い。でも基本的には男性が一人で行うのが通例らしい。
血を一滴も無駄にしないのが特徴で、やってくれた遊牧民男性がとても上手だったこともあり、殺す瞬間もとても静かだった。普通のフローリングみたいなところでやったけど、ほんとに全く汚れなかった。

つい数分前まで「かわいいねー」なんて触っていた羊が解体されていく様子は、ショッキングだったけど一切の無駄がなくて物凄く美しかった。

その後は近くに住んでる人たちが集まってくれて、ミニナーダム(革命記念日を祝うお祭り)を開催してくれた。種目は競馬、相撲、弓矢。
競馬は主にちびっ子たちが出場していたんだけど、鞍も鎧も無しで裸馬に乗ってる子もいて、ほんとにすごいと思った。たくましいなあ

相撲は大迫力だった。日本男性陣も参加していたが主催の伊藤さんはここで肋骨を痛めたらしく、日本に着いた時に「やっぱ肋骨ヒビ入ってるかもしれない」とつぶやいていた。大丈夫だったんでしょうか?

弓矢は私たちも参加させてもらった。楽しかった!

夕飯には先ほど解体した羊を食べた。
今までのご飯も全部美味しかったけど、この時食べた羊肉は格別だった。解体した羊は4歳くらいだから、肉質としては硬くて臭みがあるといわれる「マトン」扱いだが、硬さとは?臭みとは?って感じだった。とんでもねえ美味しさだった。お代わりして大量に食べた。解体前は「屠殺現場みたら羊肉食べられなくなるかな…」なんて話してたけど、そんなことなかった。ますます美味しくなるだけだった。ああまた食べたい…

夕食後は現地の皆さんによるミニコンサート。シャーマンの踊りや伝統の歌も素晴らしかったが、何より少年たちによる馬頭琴の演奏が最高だった。君たちは本当に何でも出来るんだな。
想像していたよりも強く響く美しい音色だった。草原を駆ける馬を感じた。物凄く素敵だった。帰国してから何度も録画したものを聴いてしんみりしている。

その後夜中の2時くらいまでカラオケ。
少年たちとはだいぶ仲良くなり、インスタとかFacebook交換したりした。

朝から晩まで、特に濃い一日だった。

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