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【草花】あんず(杏)(種子は生薬:杏仁[キョウニン])

Wikipedia> https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アンズ


 アンズ(杏子・杏、学名: Prunus armeniaca)は、バラ科サクラ属の落葉小高木である。アプリコットと英名で呼ばれることもある。別名、カラモモ(唐桃)。中国北部で形成された東洋系の品種群には、ウメとの交雑の痕跡がある。原産地は諸説あるものの、中国の山東省、河北省の山岳地帯から中国東北地方の南部とする説が有力とされる[8]。学名のPrunus armeniaca は、ヨーロッパにおいては近世にいたるまでアルメニア (Armenia) が原産地と考えられていたためつけられたもの。

【名称】和名アンズは、杏子の唐音とされている。古名は、カラモモである。中国植物名は杏(きょう)。
 中国大陸から日本への渡来は古く、日本最古の本草書『本草和名』(918年)には、漢字を「杏子」、和名「カラモモ」とある。標準和名アンズの読みは、江戸時代になってから、漢名の杏子を唐音読みでアンズとなったといわれている。

【特徴】
 アーモンドやウメ、スモモと近く、容易に交雑する。ただし、ウメの果実は完熟しても果肉に甘みを生じず、種と果肉が離れないのに対し、アンズは熟すと甘みが生じ、種と果肉が離れる(離核性)。またアーモンドの果肉は、薄いため食用にしない。耐寒性があり比較的涼しい地域で栽培されている。

【育て方】
 病害虫に注意する。防除体系(防除暦)に基づき適切な農薬使用を行う。 冷涼地、乾燥地では無農薬栽培が可能。
 一年生の植物と異なり、アンズなどの樹木に実る果実はその種を播いても同じ物は実らない。従って苗は接ぎ木によって増やされる。台木には、実生が用いられる。

【品種】
 大別すると、中央アジアからヨーロッパに広まった西洋系と、中国から日本へ渡った東洋系に分かれる。ヨーロッパ、中央アジアで発展したアプリコットは甘い品種が多く、東アジアで発展したアンズは酸味が強い品種が多い傾向がある。
・東洋系:平和、新潟大実、信州大実、広島大実、山形3号、八助、鏡台丸、信月、信山丸、さつき、昭和
・西洋系:ハーコット、ゴールドコット、プリン

【薬用】
 本種またはその他近縁植物の種子は杏仁(きょうにん)または杏子(きょうし)、果実は杏子または杏実(きょうじつ)と呼ばれる生薬であり、日本薬局方にも収録されている。鎮咳、去痰、嘔吐に用いるほか、麻黄湯、麻杏甘石湯、杏蘇散などの漢方処方に用いられる。キョウニンを水蒸気蒸留して精製したものがキョウニン水で、鎮咳に用いる。杏仁は熟した果実を採集して、核を除いて種子をとって天日乾燥して調製する。果実は生でも天日干しにしたもの、どちらも薬用にできる。
 民間療法では、咳、喘息、便秘に、生の果実を1日1 - 2個食べてもよく、種子(杏仁)は1日量2 - 5グラムを400 ccの水で煎じて、3回に分けて服用する用法が知られている。下痢しやすい人や、妊婦には服用禁忌とされる。 滋養保健、冷え性、低血圧の改善に、アンズ酒を就寝前に盃1杯ほど飲むのが良いといわれている。種子は、脂肪油を含み、脂肪油はのどの腫れや痰の排出に役立つとされる。
 しかし、アミグダリン(青酸配糖体)は酵素の働きで青酸を生じ、微量で呼吸や血管の中枢を興奮させ、大量でめまい、吐き気、動悸、息切れなどの中毒症状や麻痺がおこるので、生の果実の多量摂食や種子の多量服用は禁忌である。解毒するには、アンズの樹皮を煎じて飲むとよいといわれている。

【医学的知見】
 アンズの種子に含まれるアミグダリン(青酸配糖体)はサプリメントなどに配合され、俗に「がんに効く」などとわれているが、人を対象にした信頼性の高い研究でがんの治療や改善、延命に対して効果はなく、むしろ青酸中毒を引き起こす危険性があると報告されている。過去にアミグダリンをビタミンの一種とする主張があったが、生体の代謝に必須な栄養素ではなく欠乏することもないため、現在では否定されている。アメリカ食品医薬品局(FDA)は、治療に何の効果も示さない非常に毒性の高い製品であり、本来の医療を拒否したり開始が遅れることにより命が失われていると指摘し、アメリカでの販売を禁じている。
 古くから葉や種子は生薬として使用されてきたが、これはアミグダリンを薬効成分としてごく少量使い、その毒性を上手に薬として利用したものである。薬効を期待して利用する場合は必ず医療従事者に相談し、自己判断での摂取は避けるようにする。
 食薬区分においては、キョウニン(アンズ/クキョウニン(苦杏仁)/ホンアンズの種子)は「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料)」(医薬品)にあたり、食品、健康食品としての流通はできない。 カンキョウニン(甜杏仁)は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」(非医薬品)にあたり、食品、健康食品としての流通はできるが医薬品的な効能効果を表示することはできない。日本のアンズの仁はほとんどがアミグダリンを多量に含む苦杏仁である。

【安全性】
 アンズ、ウメ、モモ、スモモ、アーモンド、ビワなどのバラ科サクラ属植物の種子(種皮の内部にある胚と胚乳からなる仁)には、種を守るために青酸配糖体であるアミグダリンが多く含まれ、未熟な果実や葉、樹皮にも微量含まれる。
 アミグダリン自体は無毒であるが、経口摂取することで、同じく植物中に含まれる酵素エムルシンや、ヒトの腸内細菌がもつ酵素β-グルコシダーゼによって体内で分解され、シアン化水素(青酸)を発生させる[44][45]。 シアン化水素はごく少量であれば安全に分解されるが、ある程度摂取すれば嘔吐、顔面紅潮、下痢、頭痛等の中毒症状を生じ、多量に摂取すれば意識混濁、昏睡などを生じ、死に至ることもある。
 熟した果肉や加工品を通常量摂取する場合には、安全に食べることができる。 アミグダリンは果実の成熟に従い、植物中に含まれる酵素エムルシンによりシアン化水素(青酸)、ベンズアルデヒド(アーモンドや杏仁、ビワ酒に共通する芳香成分)、グルコースに分解されて消失する。この時に発生する青酸も揮散や分解で消失していく。また、加工によっても分解が促進される。
 しかし、種子のアミグダリンは果肉に比べて高濃度であるため、成熟や加工によるアミグダリンの分解も果肉より時間がかかる。種子がアミグダリンをもつのは自分自身を守るためにあると考えられ、外的ショックを受けてキズが入った種子には1000 - 2000ppmという高濃度のシアン化水素を含むものもある。生の種子を粉末にした食品の中には、小さじ1杯程度の摂取量で安全に食べられるシアン化水素の量を超えるものある。2017年に高濃度のシアン化合物(アミグダリンやプルナシン)が含まれたビワの種子の粉末が発見されたことにより、厚生労働省は天然にシアン化合物を含有する食品と加工品について、10ppmを超えたものは食品衛生法第6条の違反とすることを通知した。海外ではアンズの種子を食べたことによる死亡例が報告されている。欧州食品安全機関(EFSA)は、アミグダリンの急性参照用量(ARfD)(毎日摂取しても健康に悪影響を示さない量)を20μg/kg体重と設定した。その量は小さなアンズの仁で小児は半分、成人は1 - 3個程度である。急性中毒については小児で5個以上、成人で20個以上との報告がある。アミグダリンの最小致死量は50mg/kgであり、3gのサプリメント摂取による死亡報告がある。

 厚生労働省は、アンズやビワなどの種子を利用したレシピの掲載についても注意喚起を行っている。家庭で生のアンズやビワの仁から杏仁豆腐を作ると、調理実験により数分煮るだけではシアン化物が全て除去されないことが報告されている。場合によっては1 - 2食分の杏仁豆腐でシアン化物の急性参照用量(ARfD)を超えることが考えられる。

〜[上記Wikipediaより抜粋]


【熊本大学薬学部・薬草園】【植物データベース】
バラ科
Rosaceae
アンズ
Armeniaca vulgaris Lam. var. ansu (Maxim.) T.T.Yü et L.T.Lu
別名
カラモモ
URL> https://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/yakusodb/detail/003328.php


【英名】apricot
【中国名】野杏
【花期】3月
【生薬名】①杏仁(キョウニン)【局】
【薬用部位】①種子,② 果肉
【成分】①に青酸配糖体(amygdalin),ステロイド(estrone, estradiol)
【薬効と用途】種子(杏仁)は鎮咳,去痰薬として喘息,気管支炎などの様々な咳,呼吸困難に用いることができる.また,乾燥した便,体のむくみなどにもよい.漢方処方では,麻黄湯,麻杏甘石湯,五虎湯などに配合される.わきがには果肉とミョウバンを煎じて患部に塗布する.杏仁から搾った油(杏仁油)は,良質の軟膏基剤として,化粧品等に用いられる.
果実は生のまま食べられる.種子は杏仁豆腐の香り付けに用いられる.

〜[上記「植物データベース」より抜粋]



【東京生薬協会】【新常用和漢薬集】
キョウニン (杏仁)
URL> https://www.tokyo-shoyaku.com/wakan.php?id=57


【基原】ホンアンズPrunus armeniaca Linné,アンズPrunus armeniaca Linné var. ansu Maximowicz又はPrunus sibirica Linn?(Rosaceae バラ科)の種子
定量するとき,換算した乾燥物に対し,アミグダリン2.0%以上を含む.
【調製】夏の果実が成熟した頃,果実の中の堅い核を砕いて種子を取り出し,乾燥する.
【産地】中国(内蒙古自治区,山西,陝西,河北省など)
【性状】扁圧した左右やや不均等な卵形を呈し,長さ1.1 ~ 1.8 cm,幅0.8 ~ 1.3 cm,厚さ0.4 ~ 0.7 cmである.一端は鋭くとがり,他の一端は丸みを帯びてここに合点がある.種皮は褐色で,外面にはこすれて落ちやすい石細胞となった表皮細胞があって,粉をふいたようである.また,合点から多数の維管束が種皮全体に分枝しながら縦走し,その部分はややくぼんで縦じわとなっている.温水に入れて軟化するとき,種皮及び白色半透明の薄い胚乳は子葉からたやすく剥がれ,子葉は白色である.
ほとんどにおいがなく,味は苦く,油様である.
【成分】
・トリアシルグリセロール類(青酸配糖体): amygdalin(日局18確認,定量), neoamygdalin
・クマリン:scopoletin
・その他:脂肪油など
【選品】粒がそろって大きく厚みがあり,噛むと苦く,独特な芳香が強いものが良い.
【適応】鎮咳,去痰,便通の目的で漢方用薬に配合される.杏仁油・杏仁水の製造原料
【漢方処方例】
・麻黄湯(まおうとう),麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
構成生薬のうち,杏仁,麻黄の組み合わせにより感冒時の咳や痰,喘息を改善する.
・麻子仁丸(ましにんがん),潤腸湯(じゅんちょうとう)
構成生薬のうち,杏仁,麻子仁,大黄の組み合わせにより老人などの習慣性便秘に使用する.
【備考】 類似植物にマンシュウアンズP. mandshuricaがある.
また,漢方では苦杏仁(苦味が強い)を用い,食品には甜杏仁(てんきょうにん)(苦味がほとんどない)が用いられている.
杏仁は桃仁に比べamygdalin含量が高い.杏仁にはscopoletinが認められるが,桃仁には認められない.

〜[上記「新常用和漢薬集」より抜粋]

【福田龍株式会社】
キョウニン(杏仁)
【PDF資料】https://www.fukudaryu.co.jp/sozai2/kyouninHP.pdf

 〜
【主な薬効】鎮咳、去痰、鎮痛、抗炎症。
【代表的処方】漢方処方用薬であり、鎮咳去痰薬とみなされる処方及びその他の処方に配合されている。
【麻 子 仁 丸】マシニンガン 体力中等度以下で、ときに便が硬く塊状なものの次の諸症: 便秘、便秘に伴う頭重・のぼせ・湿疹・ 皮膚炎・ふきでもの(にきび)・食欲不振(食欲減退)・腹部膨満・腸内異常醗酵・痔などの症状の緩和 (処方内容) 麻子仁/芍薬/枳実/厚朴/大黄/杏仁/(甘草)

【麻 黄 湯】マオウトウ 体力充実して、かぜのひきはじめで、さむけがして発熱、頭痛があり、せきが出て身体のふしぶしが痛く 汗が出ていないものの次の諸症: 感冒、アレルギー性鼻炎、気管支炎、鼻づまり (処方内容) 麻黄/桂皮/杏仁/甘草

【清 肺 湯】セイハイトウ 体力中等度で、せきが続き、たんが多くて切れにくいものの次の諸症: たんの多く出るせき、気管支炎 (処方内容) 黄 今 /桔梗/桑白皮/杏仁/山梔子/天門冬/貝母/陳皮/大棗/竹 如 /茯苓/当帰/麦門冬/五味子/生姜/甘草

〜[上記「PDF資料」より抜粋]


【漢方薬のきぐすり.com】【漢方薬・生薬大辞典】【漢方を知る】
杏仁
きょうにん
URL> https://www.kigusuri.com/kampo/jiten/shouyaku/kyounin/


 キョウニン(杏仁)はバラ科のアンズなどの種子を乾燥したものです。
 漢方的には、止咳、平喘、去痰、通便の効能があり、咳嗽(せき)、喀痰(痰を出す)、便秘などに用いられます。
 また、アンズは品種により苦味のある苦杏仁と、甘味のある甜杏仁に分けられますが、薬用に用いられるのは苦杏仁です。なお、甜杏仁は杏仁豆腐などの食材として使用されます。

【この生薬が含まれる漢方薬】
・五虎湯
・小青竜湯加杏仁石膏
・杏蘇散


〜[上記「漢方薬のきぐすり.com」より抜粋]






【養命酒・元気通信】【生薬ものしり事典】
杏仁(キョウニン)
URL> https://www.yomeishu.co.jp/sp/genkigenki/crude/120228/index.html


 成分としてはアミグダリン(Amygdalin)を3%程度含みます。咳を鎮める効果があることから、漢方処方では麻杏甘石湯や麻黄湯・大青竜湯・桂枝加厚朴杏仁湯などに配剤される重要な生薬です。特に桂枝加厚朴杏仁湯では発汗・発散作用がある桂枝、鎮咳・去痰作用のある厚朴・杏仁、鎮痛作用のある芍薬、他に生姜・甘草・大棗などを配合した処方で、咳や痰を伴うかぜや気管支炎に用いられます。アミグダリンは青酸(シアン)配糖体ですので注意が必要です。採油後の杏仁を水蒸気蒸留して得られるキョウニン水は日本薬局方収載の医薬品で、咳止めに用いられますが過剰摂取に注意が必要で、医師の指導の下で用いるのが適当です。
 医薬として使われるアミグダリン含量の多い杏仁を苦杏仁(クキョウニン)と呼ぶのに対して、食品には杏仁(アンニン)、甜杏仁(テンキョウニン)または甘杏仁(カンキョウニン)と呼ばれるアミグダリン含量の少ないものを用いてきました。明治時代以降に南京・上海からの中国料理が庶民生活の中に浸透し一般化するにつれて、杏仁豆腐(アンニン豆腐)は中国デザートとして広く親しまれるようになりました。ベンズアルデヒドの香りが特徴で、今では中華料理に限らずポピュラーなデザートメニューとなっているのはご存知の通りです。もっとも、近縁種であるアーモンドやそのエッセンスを加えて作られた杏仁豆腐も多いようです。アンズの栽培は欧州に1世紀ごろ、北米には18世紀に広がったとされています。地中海沿岸、米国カリフォルニアが世界的な産地となっており、果肉を加工したさまざまな食品(ジャム、乾燥品、シロップ漬等)は私達を楽しませてくれています。

〜[上記「元気通信」より抜粋]




【わかさ生活】杏仁
URL> https://himitsu.wakasa.jp/contents/apricot/


 あんずとは、バラ科サクラ属の植物で実はジャムやドライフルーツとして食されます。あんずにはβ-カロテンが豊富に含まれており、体内ではビタミンAとして働くため目や皮膚の健康を保つ効果があります。また、ミネラル類やビタミン類、食物繊維も豊富に含まれているため、便秘解消や貧血予防にも効果的です。
【あんずの健康効果】
◎夜盲症の予防・改善効果
◎貧血を予防する効果
◎高血圧を予防する効果
◎便秘を解消する効果
◎疲労回復効果

●あんずに含まれる成分と性質
 あんずの果実にはβ-カロテンが非常に多く、生のあんずはピーマンよりも多く、干したあんずではほうれん草よりも多く含んでいるといわれています。
 β-カロテンは体内でビタミンAとして働くため、目や皮膚の健康を保つ他、消化器などの粘膜を丈夫にすることで、外部からの細菌類の侵入を防ぐ役割を持ちます。
 また、カリウムや鉄などのミネラル類も含んでおり、高血圧予防や貧血予防にも有効的です。
 また、ビタミン類に加えて食物繊維も豊富なため、便秘の解消や予防にも効果的です。
 また、種には青酸配糖体や脂肪油、ステロイド[※4]などを含んでおり、咳止めや風邪予防の生薬として用いられています。


〜[上記「わかさ生活」より抜粋]

【参考】
【米国農務省・USDA 食品成分】Apricots [生(raw)と乾燥(dried)]



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