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内閣府の離婚と子育てに関する世論調査について

先日内閣府が令和3年10月に行った「離婚と子育てに関する世論調査」が公表されました。

これについてNHKニュースと毎日新聞が報道しています。


同じ世論調査を基としたニュースですが、NHKニュースは主に養育費と面会交流について事前の取決めをと言う点について、毎日新聞は離婚した父母の双方が未成年の子の養育に関わることや、離婚した父母双方が子の養育について共同で決める共同親権制度が仮に導入された場合、何を対象にすべきかについて触れています。

この世論調査について私自身が気になったところを取り上げたいと思います。

以下、「内閣府令和3年度 離婚と子育てに関する世論調査」から引用

3.親権に対する考え方
(1) 親権についての認識
 民法では、「親権」に関する規定があるが、「親権」とは、未成年の子を監督・保護することや、教育すること、その財産を管理することを内容とする。「親権」について知っているか聞いたところ、「知っている」とする者の割合が96.7%(「内容も含めて知っている」47.9%+「言葉だけは知っている」48.7%)、「知らない」と答えた者の割合が1.8%となっている。

(2) 婚姻中の親権についての認識
 父母が結婚している間は、双方が親権者となるという現行の制度について知っているか聞いたところ、「知っている」と答えた者の割合が77.4%、「知らない」と答えた者の割合が21.2%となっている。

3) 離婚後の親権についての認識
 父母が離婚した後は、いずれか一方のみが親権者となるという現行の制度について知っているか聞いたところ、「知っている」と答えた者の割合が89.4%、「知らない」と答えた者の割合が9.3%となっている。

(4) 離婚後の父母双方による養育への関与の考え方
 父母の双方が、離婚後も子の進路などの未成年の子の養育に関する事項の決定に関わることは、子にとって望ましいと思うか聞いたところ、「どのような場合でも、望ましい」と答えた者の割合が11.1%、「望ましい場合が多い」と答えた者の割合が38.8%、「特定の条件がある場合には、望ましい」と答えた者の割合が41.6%、「どのような場合でも、望ましくない」と答えた者の割合が5.7%となっている。

ア 離婚後の父母双方の関与が望ましくない場合
 父母の双方が、離婚後も未成年の子の養育に関する事項の決定に関わることは、子にとって「望ましい場合が多い」、「特定の条件がある場合には、望ましい」と答えた者(2,226人)に、どのような場合に、父母の離婚後も双方が未成年の子の養育に関する事項を共同で決めることが、子にとって望ましくないと思うか聞いたところ、「別居親から子への虐待がある場合」を挙げた者の割合が80.8%と最も高く、以下、「父母の不仲や争いが深刻である場合」(66.1%)、「離婚した父母の一方が他方から、暴力を受けている場合」(65.7%)、「子が、父母の双方が共同で決めることを望んでいない場合」(60.9%)、「別居親の子を育てる能力に問題がある場合」(59.0%)などの順となっている。(複数回答、上位5項目)

(5) 離婚後も父母双方が関与すべき事項
 父母の離婚後も、未成年の子の養育に関する事項について、父母の双方が共同で決めることができる制度を導入した場合に、どのような事項について共同で決めるべきだと思うか聞いたところ、「子が大きな病気をしたときの治療方針」を挙げた者の割合が58.5%と最も高く、以下、「子の進路などを含む教育」(53.3%)、「子が住む場所」(32.4%)などの順となっている。なお、「父母が二人で決めるべき事項はない」と答えた者の割合が18.6%となっている。

4.面会交流に対する考え方
(1) 面会交流に対する意識
 別居親が離婚後も未成年の子と会うことが、子にとって望ましいと思うか聞いたところ、「どのような場合でも、望ましい」と答えた者の割合が10.4%、「望ましい場合が多い」と答えた者の割合が37.6%、「特定の条件がある場合には、望ましい」と答えた者の割合が47.1%、「どのような場合でも、望ましくない」と答えた者の割合が2.6%となっている。

ア 子にとって望ましくない場合
 別居親が離婚後も未成年の子と会うことが、子にとって「望ましい場合が多い」、「特定の条件がある場合には、望ましい」と答えた者(2,347人)に、どのような場合に、別居親が離婚後も未成年の子と会うことが、子にとって望ましくないと思うか聞いたところ、「別居親から子への虐待がある場合」を挙げた者の割合が83.2%、「子が別居親と会うことを嫌がっている場合」を挙げた者の割合が80.3%と高く、以下、「離婚した父母の一方が他方から、暴力を受けている場合」(60.8%)、「別居親の子を育てる能力に問題がある場合」(40.3%)などの順となっている。(複数回答、上位4項目)

(2) 子の意見の尊重
 面会交流について、未成年の子が何歳くらいになれば、子の意見を尊重することが必要だと思うか聞いたところ、「15歳程度(中学校卒業)」と答えた者の割合が19.5%、「12歳程度(小学校卒業)」と答えた者の割合が23.0%、「10歳程度」と答えた者の割合が10.0%、「6歳程度」と答えた者の割合が5.5%、「3歳程度」と答えた者の割合が0.6%、「子が何歳であっても尊重する」と答えた者の割合が38.8%、「子が何歳であっても尊重しない」と答えた者の割合が0.8%となっている。


5.養育費に対する考え方
(1) 別居親が負担する養育費の責任の程度
 「養育費」とは、日常の衣食住の費用や医療費など、子が生活するのに必要な費用のことをいう。離婚した同居親は、別居親から養育費を受け取ることとされている。養育費について、離婚した別居親はどの程度負担する責任を負うべきだと思うか聞いたところ、「同居親よりも多く負担する責任を負うべきである」と答えた者の割合が17.2%、「同居親と同程度負担する責任を負うべきである」と答えた者の割合が65.2%、「同居親よりも負担の少ない責任を負うべきである」と答えた者の割合が12.2%、「別居親に責任を負わせるべきではない」と答えた者の割合が3.2%となっている。

ア 取決めをしないままでもやむを得ない場合
 離婚までに、養育費に関して「取決めをすべきである」、「どちらかといえば取決めをすべきである」、「どちらかといえば取決めをすべきではない」と答えた者(2,694人)に、どのような場合であれば、未成年の子がいる父母でも、養育費について取決めをしないまま離婚をしてもやむをえないと思うか聞いたところ、「子への虐待がある場合」を挙げた者の割合が60.1%と最も高く、以下、「離婚した父母の一方が他方から、暴力を受けている場合」(51.2%)、「父母の不仲や争いが深刻である場合」(42.7%)、「離婚をきっかけとした児童扶養手当などの行政支援を早期に受ける必要がある場合」(21.0%)の順となっている。なお、「養育費について取決めをしないまま離婚すべきではない」と答えた者の割合が28.2%となっている。(複数回答)

6.離婚時の取決めに対する考え方
(1) 離婚時の養育費の取決め
 未成年の子がいる父母が離婚する場合、離婚までに、養育費に関する取決めをすべきだと思うか聞いたところ、「取決めをすべきである」と答えた者の割合が72.1%、「どちらかといえば取決めをすべきである」と答えた者の割合が24.1%、「どちらかといえば取決めをすべきではない」と答えた者の割合が1.2%、「取決めをすべきではない」と答えた者の割合が1.6%となっている。

ア 取決めをしないままでもやむを得ない場合
 離婚までに、養育費に関して「取決めをすべきである」、「どちらかといえば取決めをすべきである」、「どちらかといえば取決めをすべきではない」と答えた者(2,694人)に、どのような場合であれば、未成年の子がいる父母でも、養育費について取決めをしないまま離婚をしてもやむをえないと思うか聞いたところ、「子への虐待がある場合」を挙げた者の割合が60.1%と最も高く、以下、「離婚した父母の一方が他方から、暴力を受けている場合」(51.2%)、「父母の不仲や争いが深刻である場合」(42.7%)、「離婚をきっかけとした児童扶養手当などの行政支援を早期に受ける必要がある場合」(21.0%)の順となっている。なお、「養育費について取決めをしないまま離婚すべきではない」と答えた者の割合が28.2%となっている。(複数回答)

(2) 離婚時の面会交流の取決め
 未成年の子がいる父母が離婚をする場合、離婚までに別居親と子との面会交流の有無、頻度や方法について取決めをすべきだと思うか聞いたところ、「取決めをすべきである」と答えた者の割合が38.1%、「どちらかといえば取決めをすべきである」と答えた者の割合が46.5%、「どちらかといえば取決めをすべきではない」と答えた者の割合が5.9%、「取決めをすべきではない」と答えた者の割合が5.0%となっている。

ア 取決めをしないままでもやむを得ない場合
 離婚までに別居親と子との面会交流の有無、頻度や方法について「取決めをすべきである」、「どちらかといえば取決めをすべきである」、「どちらかといえば取決めをすべきではない」と答えた者(2,505人)に、どのような場合であれば、未成年の子がいる父母でも、面会交流の取決めをしないまま離婚をしてもやむをえないと思うか聞いたところ、「別居親から子への虐待がある場合」を挙げた者の割合が76.5%と最も高く、以下、「子が面会交流を嫌がっている場合」(67.5%)、「離婚した父母の一方が他方から、暴力を受けている場合」(58.5%)、「父母の不仲や争いが深刻である場合」(48.2%)などの順となっている。なお、「面会交流の取決めをしないまま離婚すべきではない」と答えた者の割合が10.6%となっている。(複数回答、上位4項目)

出典:内閣府 離婚と子育てに関する世論調査

「親権」について知っているか聞いたところ、「知っている」とする者の割合が96.7%、父母が結婚している間は、双方が親権者となるという現行の制度について知っているか聞いたところ、「知っている」と答えた者の割合が77.4%、父母が離婚した後は、いずれか一方のみが親権者となるという現行の制度について知っているか聞いたところ、「知っている」と答えた者の割合が89.4%と、思いの外単独親権制度の事が一般的に知られているのだなと言う印象を受けました。

父母の双方が、離婚後も子の進路などの未成年の子の養育に関する事項の決定に関わることは、子にとって望ましい(望ましい、望ましい場合が多い、特定の条件がある場合には望ましい)が91.5%。

別居親が離婚後も未成年の子と会うことが、子にとって望ましいと思うかについては望ましい(どのような場合でも望ましい、望ましい場合が多い、特定の条件がある場合には望ましい)が95.1%。

未成年の子がいる父母が離婚する場合、離婚までに、養育費に関する取決めをすべきだと思うか聞いたところ、取決めをすべき(取決めをすべき+どちらかと言うと取決めをすべき)が96.2%

未成年の子がいる父母が離婚をする場合、離婚までに別居親と子との面会交流の有無、頻度や方法について取決めをすべきだと思うか聞いたところ、取決めをすべき(取決めをすべき+どちらかと言えば取決めをすべき)が84.6%。

どの項目にも子どもへの虐待や配偶者への暴力がある場合は除くと言うのが特定の条件とあげられています。どのような状況でも虐待や暴力からは守られるべきで、当然の意見だと考えます。子どもへの虐待や配偶者への暴力、所謂DVの対策は対策施でしっかりと講じたうえで、夫婦が離婚後も子の養育に関わる事、別居親が離婚後も未成年の子と会う事は望ましいと考えている方が大多数で、養育費と面会交流については離婚前に取決めをしましょうと言うのが一般的な考え方であることがわかります。

養育費や面会交流の取決めについては、離婚前と言うよりは別居前に必要であり、監護親についても話し合う必要があると考えます。別居前に共同養育計画を立てる形が望ましいでしょうし、計画をたてたからにはそれを実行させるシステムも必要になるかと思います。

一部に父母の不仲が深刻である場合と言う特定の条件があげられていますが、これについては父母が不仲であったとしても親子の関係が継続される、養育に関われる、養育費を支払えるような支援と制度の構築が必要だと考えます。

何れにしてもこの調査結果は離婚後の共同親権の制度がある先進国や諸外国とそれ程相違がないのではと感じました。ただ日本の場合、これに法や制度が追い付いていないと言う状況。社会変化とニーズに併せて、子どもの最善の利益と未来のために、適正な法改正と制度構築、裁判所の運用を望みます。




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