見出し画像

トランプ大統領の魅力について(What makes Trump attract some people)


数日前のトランプ大統領のツイートを見て彼の魅力、支持されて大統領までなった要因のうちの一つになるかもしれない。と感じましたことについて、ざっと考えがまとまったので仮説として残します。日本語は僕の訳です。

中国の習大統領をよく知っています。 彼は中国の人々に非常に尊敬をされている偉大なリーダーです。 彼はまた、「タフなビジネス」の良い人でもあります。習大統領が香港の問題を迅速かつ人道的に解決しようとするなら、それができるかについて、私の疑いはZEROです。個人的に会う?

英語を学習している日本の中学生や米国の小学生には見せられない英語です。また習国家主席へ香港の問題を迅速に人道的に解決してくれ、という本音のメッセージがわかりやすくて身も蓋もないといえばないですね。

一方で、トランプ大統領の持つポジティブな部分もよく現れているように思います。

なお、はじめに断りを入れますが、僕はトランプ大統領の言動や政治姿勢がしばしば批判されていることに関して、批判されるのも仕方が無い無いようだ。と感じることが一番多く、経済政策は全体として良くないのではないか。と判断しています。そのため、もし米国市民だったら次の大統領選はトランプ氏ではない方に投票するだろう。と思う程度には一国のリーダーとしては不支持です。


「タフネス」を美徳とする価値観が共感されているのでは


トランプ大統領が習主席をチアアップした言葉

冒頭のツイートで引用符””で強調されているように、トランプ大統領が習主席を持ち上げた中で、一般的な言葉でなくて彼自身ものとして取り上げたのは、 a good man in a “tough business.” という点です。

日本語で「ビジネス」というと、営利企業が利益を得る目的で行う営業上の活動、というイメージが強いですが、英語の”business”は、主な意味だけでも、「職業、家業、事務、業務、仕事、執務、営業、商業、実業、事業」などある幅広い意味を併せ持つ単語で、ここで習主席について言及された”business”は、中国のリーダーとしての職業、仕事、執務あたりを表すものでしょう。

”tough”もまた非常に意義の広い単語ですね。主な意味として「硬い、こわい、粘りのある、頑丈な、タフな、不屈な、頑固な、しぶとい、骨の折れる」などが挙げられます。
フィリップ・マーロウの言葉に、「タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」ってあったなあ。と思い出して引用しようとしましたが、原文は「If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.」で、英語の”hard”に日本語としての「タフ」を当てたものだと今知りました。それはそれとして英語の”tough”は日本語の「ハード」の意味を含むものと考えてよさそうに思います。

トランプ大統領は周主席を、「タフなビジネス」において「a good man;良い人」だから、きっと香港の問題も解決してくれるだろう?と鼓舞しているのですね。僕の読んだ感じだと、a good man in a “tough business”.には、タフなビジネスを相手にしても強靭な心身で取り組んで、成果を上げることができる人物。くらいの意味が込められていると取りました。

ところで今回「トランプ大統領の魅力」を少しキーワード検索で調べた中で、少年野球の監督のように、人をチアアップ(励まし)して引き上げるのが上手いとしていた(2016年の)記事があり、僕もその論旨の限りで同様に考えますので引用します。


ハフィントン・ポスト日本語版(https://www.huffingtonpost.jp/ryan-takeshita/trump_b_12891538.html)より引用。



トランプ大統領は”tough”にポジティブな価値観を持っている

冒頭ツイートに加えて、以下の発言等でも、toughであることが良いことでプラスであるという価値観を持っている様子が確認できます。

①タフな米国を取り戻せ(著作)

https://www.amazon.co.jp/dp/product/4480885323/ref=as_li_tf_tl?camp=247&creative=1211&creativeASIN=4480885323&ie=UTF8&linkCode=as2&tag=bookmeter_book_middle_detail_pc_logoff-22

本書は当初、2012年の大統領選前に刊行され、2016年の大統領選にむけて改訂されたものです。


②内外問わず”tough”を賞賛の表現で用いている。

(2018年4月、ジョージ・H・W・ブッシュの妻、バーバラ・ブッシュの訃報に接して)

Her strength and toughness really embodied the spirit of our country. And her warmth and devotion earned the admiration of an entire nation and, indeed, the entire world. She was a tireless champion for literacy. She was a fierce advocate for the American family. And she was a woman of proud patriotism and profound faith.

彼女の強さとタフネスは、本当に私たちの国の精神を体現しています。(以下略)

 (ホワイトハウスwebサイト https://www.whitehouse.gov より)


(2019年7月 ボリス・ジョンソンの勝利を「英国のトランプだ」と評して)

"We have a really good man who is going to be prime minister of the UK now, Boris Johnson. Good man. He's tough, he's smart," Trump said.

「今度、英国首相になるボリス・ジョンソン。本当にいい人だ。彼はタフで、頭がいい」とトランプは言った。

 (ガーディアン https://www.theguardian.com より)


世界はタフを真正面には評価しない方向に進んでいるのでは

世界の大国のリーダーの中に、トランプ大統領のようにタフを美徳として全面的に評価する人がいるだろうか、と考えると、あまり浮かびません。

米国にしても、たとえば前大統領のオバマ氏は「知的さ、スマートさ、やさしさ、真面目さ」などを好ましさ、良さとして重要視しているように感じられます。

世界の潮流も、オバマ氏のような人格・価値観をを好む方向に流れているように思われます。産業構造が工業・製造業からサービス業・情報産業に傾斜するようになると、物理的・肉体的な強靭さよりもスマートさやコミュニケーション能力が重要になっていくという経済的背景もあるでしょう。

「硬い、こわい、粘りのある、頑丈な、タフな、不屈な、頑固な、しぶとい、骨の折れる」といった要素は、能力としての必要性が低まって、むしろ邪魔なもの、めんどくさい人、というイメージをもたれることもあるでしょう。

実際に、世界はタフでなくても生きていける方向に向かっているように感じます。


タフであろうとする人はトランプ氏の価値観に共感して支持しやすいのでは

というのが今回の仮説です。ただし、そのような人たちも少なからずいるだろう。と推測されるという程度で、具体的な支持者層の像のようなものを捕らえることができているわけではありません。

もっとも、アメリカにおける支持不支持の分布を見ると、先進的な地域といわれる北東部や太平洋岸では不支持が多く、保守的といわれる南部や実直な気質の人が多いといわれる中西部に支持が多いという状況は見られます。


(2018年中間選挙における議席獲得状況。赤側がトランプ大統領の共和党)






サポートいただいた金額は、面白そうなものやサービスに使ってレポートをしたいと思います