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死亡者の平均年齢(平均寿命との比較)

平均寿命は死亡者の平均年齢とは違うということはよく知られていますが、では死亡者の平均年齢はどうなのか。となるとやや古い結果しか見当たらなかったので計算してみました。

■死亡者の平均年齢(平均寿命との比較)

結果は

男 78.23歳 女 84.72歳 (2017年:死亡者の平均年齢)

となりました。

なお、平均寿命は

男 81.09歳 女 87.26歳 (2017年:平均寿命)
厚生労働省資料) 

ですので、死亡者の平均年齢は平均寿命より男2.86歳、女2.54歳短いことになります。

計算は、人口動態調査による2017年の各年齢別死亡者の実績よりその平均を取ったものです。なお、各年齢の死亡者はそれぞれ×歳0日から×歳364日まで平均的にいるものとして、最後に0.5歳を足しています。


■平均寿命の計算内容

平均寿命は、各年齢別の死亡率(各年齢の人が1年間で何%死亡するか)をもとに、0歳の人が平均して何歳で死亡するかの統計量です。したがって、実際の死亡年齢とは異なります。

平均寿命の計算に使用される生命表(各年齢ごとの死亡率を一覧表にしたもん)は、出生10万人に対する死亡数として表現されています。これは、10万人が生まれたとして、何歳で何人の人が死んでいくのかを追って行ったものです。


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平成29年の男の生命表を引用しました。

100,000人のうち、
0歳での死亡数が191人、生存が99,809人。その99,809人のうち
1歳での死亡数が31人、生存が99,779人。その99,779人のうち
・・・
と各年齢での死亡率に従い生存者に対する死亡者数を算出し、+1歳の生存者を減らしていきます。そのようにして各年齢ごとの死亡数を求め、年齢をかけて合計します。そして最後に100,000人で割り戻して死亡する平均年齢を計算します。これが平均寿命です。
(191×0+31×1+・・・+71×105)÷100,000→平均寿命

年齢表にもとづき(エクセルデータでも公表されています)計算すると、

男 80.59 女86.75 となります。これにそれぞれ0.5歳を足すと

男 81.09歳 女 87.25歳となり、公表値の男 81.09歳 女 87.26歳 とほぼ一致します。


■死亡者の平均年齢と平均寿命の差異の内容

死亡者の平均年齢は、
各年齢の死亡者数の平均をとったものですが、
各年齢の死亡者数=(実際の各年齢の人口×実際の各年齢の死亡率)とできます。

一方、平均寿命は、
10万人当たりの、年齢表に基づく各年齢の生存者数×実際の各年齢の死亡率
により計算上の各年齢の死亡者数を出して、その平均を求めています。

したがって、母数を合わせることにより、

実際の各年齢の人口構成割合 と 年齢表に基づく各年齢の生存者数の割合

を比較することで死亡者の平均年齢と平均寿命の差異分析をすることができます。

ここで、毎年の出生数が一定であれば、年齢表に基づく各年齢の生存者の割合が、人口構成割合になります。つまり、毎年の出生率が10万人で一定なら、生命表の人口構成になるわけです。そのような、出生数も、毎年の各年齢の死亡率もずっと一定と仮定した人口構成を「定常人口」といいます。
(なお、平均寿命は、定常人口における死亡者の平均年齢と同値です)

日本の実際の人口構成を29年12月1日現在の人口推計により、定常人口を生命表により、5歳階級の人口構成を比較すると以下のようになります。


5歳表 - 人口ピラミッドグラフ (2)_page-0001

5歳表 - 人口ピラミッドグラフ (3)_page-0001


男女とも、実際の人口構成と定常人口を比較すると、0歳から34歳までの階級では定常人口が多く、35歳から84歳までの階級では実際が多く、85歳以上の階級では定常人口が多くなっています。

0歳から34歳までの階級では、実際の人口構成では出生率の低下により出生数が下がっているので、出生数一定の仮定の定常人口の方が多くなっていると考えられます。しかしながら、0歳から34歳までの階級では、死亡率が非常に小さいので、両者の平均年齢の差異に対する寄与は小さいと考えられます。

35歳から79歳までで実際>定常 男で85歳以上、女で90歳以上での実際<定常はの関係は、いずれも、死亡者の平均年齢(平均寿命)が定常人口の方が高くなることに寄与しています。

85歳以上の階級で定常人口の方が大きいのは、定常人口は現在の年齢別の死亡率が継続した場合の人口構成であるのに対して、実際の人口構成は実際の85年以上前からの各年齢の死亡率を反映してきた結果だからといえます。つまり、昔から現在の死亡率・平均寿命の状況であったなら、実際の85歳以上の階級はもっと多くなっていたということです。


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