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Ninja Sex Partyの新譜が好きなんだからしょうがない

新譜と言っても去年のアルバムなんだけどね。

Ninja Sex Party知っていますか?知らなくとも名前だけでどことなく色物バンドかな?とお察しできると思うのだが、まあ言っちゃえば色物バンドなんだけれども、彼らが去年出した新譜が途轍もなく素晴らしいってことは伝えておきたい。

Ninja Sex Party

(Youtubeでは「Sex」が検索フィルターにかかっているため、NSPで検索されることも多い)

左のBrian Wecht、右はDan Avidanから成る二人組のニューヨークで結成されたユニット。B'zやポルノグラフィティとなんと同じ構成。

右のDanはArin Hansonという人と一緒にゲーム実況を中心としたGame GrumpsというユニットのYoutuberとしても有名。Brianも参加している。チャンネル登録者は500万人も回っている。B'zが10周年祝いに出したベストアルバムの売り上げとなんと近い。


Cool Patrol

2018年8月17日リリース。ジャケで完全にお察ししてもらえたと思うが、彼らはコメディーロックというジャンルで括ることができる。
サウンド的にベースとなっているのは、いまやオシャレ音楽のイメージとして定着しつつある80年代の音楽ではあるが、
彼らのこの新譜を聴いてみると、お洒落であることを避け、あえて「ダサい」ところを選択している。これが逆に現代のシーンと比べるとオリジナリティを築いているなとは思う。
ダサいなんて言っちゃったけど、言い換えると「ふざけることを真剣にやっている」と言った方がいいのかな?

正直な所、ジャケでもこんなイメージだし、彼らの音楽を聴かなくてもいいかなという人もいるであろう。だけど個人的にはこの作品はとても素晴らしい。だからそれを伝えたくべく、好きな点をいくつか挙げて記事にしようと思う。

(1)曲が良い

まず、これに尽きる。ふざけた格好してふざけた曲をやっているのだが、真剣に聴いてみるとかなりクオリティが高い。まさに「ふざけることに100%頑張ってる」という感じだ。

Cool Patrol

Aメロは80年代系のLAメタル的なのを比較的軽いノリで、ちゃらけながら歌っている。この間のシンセのピロピロ音が結構気持ちよかったりする。
のだが、この曲のすごいなと思ったのはサビに入る一瞬で曲調をガラリと変え、LAメタルから一気にポップへと変えるところ。めちゃくちゃキャッチーすぎて最初聴いたとき笑ってしまった。

Orgy For One

orgyとは乱〇(交)という意味。orgy for oneとはつまりそういうことである笑 Carly Rae Jepsenがparty for oneを出したのと「ある意味」同じ。因みにNSPのがリリースは先(どうでもいいか)
歌詞の話をすると、男が沢山の女性をパーティーに誘うけど、なぜか断られまくりで、女性の名前をあげながらどういった理由で断られてるのかを歌い上げている。(ステーシーは頭痛、ウェンディ―の父が爆発したからとか)

曲調はと言うと、恐らくBelinda CarlisleのHeaven is a place on earth(1987)が元ネタであろう。サビが滅茶苦茶似ている。先ほど、彼らが80年代音楽のダサいとこをチョイスしているとは言ったが、この曲がダサいってのは全く思ってないです。。。。多分80年代の懐かしさを「ネタ」として昇華していると思う。


Danny Don't You Know

サムネにいる若い青年は映画「IT」にも出演して有名な俳優であるFinn Wolfhardだ。NSPのようなギャグ路線のあるバンドのMVに彼を起用するという事が一つのジョークみたいだ。
曲調はというとやはり80年代あたりのハードロックバラードであり、この曲を100倍くらい狂暴にするとSkid Rowが歌ってもおかしくないかも。
そしてアイデアとしてQueenのBohemian Rhapsodyのあの転調を利用しているであろう。MVを観ればわかると思うが、真似している。

だがパロディとは言っても、この曲はカッコいい。転調前のバラード曲調からギターが泣きまくっている。そして転調後のロック調のギターソロ、多重コーラスの熱い盛り上がり、そしてバラードで歌っていたサビを最後にロック調に直して歌いなおすなど、胸熱な展開の良い曲になっている。

(1)のまとめ
と言ったように、彼らは最新の音楽に見向きをしてないように思うほど80年代や世代違いの音楽をパロディー化したり、もしくは真剣に歌う事でNSPのオリジナリティを出しているのだが、一方でちゃんと曲のクオリティも高い仕上がりになっている。リスナーをガッカリさせないために難解な展開のない、キャッチーな仕上がりとなっている。
そして、こういった側面を支えているのは楽器演奏にある。まだ述べていなかったが、Ninja Sex Partyのこの作品にはバックバンドがいる。そしてそのバックバンドとは・・・

(2)TWRP

やっぱり色物であった。Tapper Wave Remix Partyを省略してTWRPはカナダのノバスコチア州で結成されたバンドである(カナダはほんと面白いバンドやアーティストが多い)
見た目のインパクトがNSPと同様に強烈であるが、一方で「バンド演奏能力がすごいしっかりしている」というギャップもある。

イントロ初手のチョッパーベースで笑ってしまう。さっきあげた「Danny Don't You Know」でカッコいいギターソロ弾いていたのもこのバンドのギタリスト。彼らも見た目がああなのだが、曲のクオリティの高さはかなりのもの。そしてNSPに比べるとややおふざけ要素は下がり、一方でスタイリッシュで洗練された80年代AOR、ファンク的な良盤を出しているので良かったら、チェックしてください。

TWRPの話をし過ぎると本題とズレてしまうので避けておくが、NSPの新譜「Cool Patrol」を全面的に演奏面で支えている。NSPのこのB級音楽として終わりかねない作風を、彼らの卓越した音楽演奏能力によって、「ダサいけど面白い」「ダサいのが逆にかっこいい」といった、「かっこいい」という要素を増幅させていると思う。

まとめ

二つの点、曲が良いとバンドの演奏をサポートしているTWRPの存在によって、Ninja Sex Partyの「Cool Patrol」はとても良い作品だと判断してしまった。

「キャッチーなメロディの裏にあるカッコいい演奏」、というフレーズだけ見ればそこら中のバンドで見つかるけど、NSPの場合、最終的に「ダサい」というのを素晴らしい魅力の一つとして定着させてしまっているんだ。

ダサいけどカッコいい、という矛盾した二つのキーワードに混乱してしまっているけど、自分だけでなく他の人もこの罠にかかってしまえば、きっとNSP、そしてTWRPの音楽にどんどん魅了されるんだと思う。

ダサさに魅了される理由?とは自分でもよく分からないけど、Ninja Sex Partyの新譜が好きなんだからしょうがない。

#NinjaSexParty #NSP #TWRP #レビュー #音楽


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