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the 1975のLove it if we made itに救われた話

最近物騒なニュースが多い。

高年齢者の交通事故、
幼稚園児が車に轢かれ、
川崎では殺傷事件が起こった。

これらが起こるたびに、色々と思いが芽生えてくるのだけれども、
それを文字に起こすのは最近億劫に感じてしまう。

それはなんでだろう。
「世の中がいかに残酷か」ということを表現した言葉で、
自分の異なる考えを持つ人々が沢山いるというのに、
わからせようという気は起きない。
きっと、自分の考えを言葉にしたところで、
インターネットや現実のあらゆるところで言われつくしているだろう。

だからこそ、考えを文字に起こしたところで出てくる、
「誰かを説き伏せたいだとか、説教したい」などの、
自分のエゴが顕著になってきて嫌になる。

だから億劫に感じる。
今はそういう気分。暗い出来事が多すぎてね。
また少し経ったら、能天気な自分に戻るのだろうけれど。

しかし、どんよりした天気で浮かばれない気分が続くようだけど、
ふと、自分の手元に支えてくれるものがあったことを忘れてた。

音楽があった。

昔はもっと音楽を感情的なものでとらえていたと思う。
今は情報に溢れ、大体の音楽はストリーミングサービスを通せば、何でも聴けてしまう。
昔はCDや音源を買わないと情報が見えてこなかった。
だからこそ、蓋を開けてそれが素晴らしいものだったら、
お金をかけたぶんの喜びや感動が見えてくる。

歌詞の方でもそうだった。素晴らしい歌詞があれば、
自分の生活と照らし合わせて、より自分を見つめなおすきっかけとなっていた。

例えば、Fall Out Boyの"Miss missing you"の歌詞には励まされた。

Baby, you were my picket fence
I miss missing you now and then

「ベイビー、君は完璧なパートナーだった
でも今では恋しくなる思いもなくなってしまうんだよ」

「miss missing you」という語呂やフレーズの良さや、
明らかに過去に傷心があったけど、そこから立ち直った事を、
明るい曲調で歌い明かすFOBには曲や歌詞でお世話になった。

だけど今はこういう音楽の聴き方はしなくなったもんだ。

今は嫌な事があればだいたい皮肉な気分になれば、ごまかせる。
経験値を溜めてきたお陰で辛いことも大体対処できるようになった。

でもやっぱり重荷に耐え切れないときがある。
そして今がそういうモード。
なんで何の罪もない人々が亡くなってしまうんだろう。
この怒りや悲しみはどれにぶつかればいい?

と思ったときに、ふと思いついたのはこの曲だった。

the 1975 "Love it if we made it"

FOBもそうだったんだけど、一回地獄のような精神の苦痛を体験してきた人間が前向きな事を歌ったらとても勇気づけられる。

Love it if we made itはThe 1975の2018年リリース「A Brief Inquiry Into Online Relationships」に収録されている曲である。
今作では音楽面の他によくヴォーカルのMatty Healyの健康面の回復が話題がなる。それは今作の歌でも確認できるようにドラッグに関する表現もしばしば出てくる。

こうして再び立ち上がったthe 1975はこの曲で抽象的な言い回しでいかに世界中で悲惨なことが起きていることを述べている。

「3歳児が溺死したビーチ」
「ドラッグの過剰摂取で亡くなってしまったアーティスト」
「過去に女性差別発言をした大統領」
「黒人差別から起こるビジネス」

など必ずしも明るい気分にならないことを歌っている。
しかしながらサビはそんな辛い出来事を薙ぎ払うかのように、

「だからこそ何か成し遂げたら素晴らしい」

と一言強く歌っている。

この一言がグサッときた。
最近の日本における悲惨な出来事を通して、
自分の中に出てきた言葉にしようともしにくい心を救済してくれるかのような一言だ。

あらゆるネガティブの前に無力さを感じてしまう現在だからこそ、
何かを成功させることができたらそれって素晴らしいことじゃないか。

自分の中にマイナスな要素で凝縮された雲のようなものが、
この歌の、この歌詞で何か一筋の光が差したように思える。

そして、「ああ、自分はこういうところに音楽に救われてたんだな」と思い出すこともできた。
理屈とかごねるまでもなく、歌詞の一言でなぜだか分からないけど、なんとなくやれるような気がしてきた。そうやって音楽に救われながら生きてきた。

今でこそ音楽の聴き方が変わってきたけれども、この件で昔の感覚を取り戻せたような気がする。
これからも何か対処しきれないことが起こったら、またこうやって音楽に身をゆだねてみよう。

当たり前のようだけれども、忘れかけていた音楽の聴き方を思い出すことができたことに喜びたい。それこそ「Love it if we made it」の言葉に従いたいから。

#the1975 #loveitifwemadeit #音楽 #music


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