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Bastilleのオマージュ満載のミックステープのすごさを伝えたい Part 1 【映画好きも観てくれ】

Bastilleとは2010年にロンドンで結成された4人組ロックバンドで、現在「日本でかなり過小評価されてる人たち」で有名である。(個人の感想です)
彼らは今のところ2枚オリジナルアルバムを出しているが、一方でミックステープにも力を入れていて、2019年現在4枚出している。
ミックステープは恐らく80%、ヴォーカルのダン・スミスの嗜好で出来ている作品であり、特に世界的人気が出る前の2枚出されたミックステープはダン・スミスの趣味、世界観がたっぷりと出てきている。

ダンは歌詞の方でも影響されていると言っている通り、デイヴィッドリンチが好きな映画マニアでもある。
そして今回取り上げるミックステープの第一段目は、そんな映画好きがこうじて、映画のセリフのサンプリングがいくつかの曲でされている。
そして映画のサンプリングを加えることによって、カバーしている曲の歌詞に新たな解釈を加えているという事が彼らのミックステープの醍醐味なのだ。

サンプリングネタの大体の情報はGeniusから得ました。(https://genius.com/)

メンバー構成

Dan Smith (vo) 右から二番目
Kyle Simmons (keyboard, piano) 一番右
Will Farquarson (guitar, bass) 一番左
Chris "Woody" Wood (drums, percussion) 左から二番目

Other People's Heartache 2012年2月27日リリース

1. Adagio For Strings 

(1)タイトル
米国の作曲家、サミュエルバーバー(1910‐1981)の代表曲「弦楽のためのアダージョ」の原題(Adagio For Strings)から。なお、タイトルのみの起用で、Bastilleは曲のほうでは使ってない模様。

(2)カバー元
・Haddaway(1965-)の「What is love」(1993)から。Haddawayは90年代のユーロビート全盛期のムーブメントの第一人者で有名であった。(
https://dic.nicovideo.jp/a/haddaway)より。
元はユーロビートであるが、Bastilleは壮大で重たい空気のある曲へと変えている。このようにBastilleは曲の雰囲気を変えることによって、歌詞の意味もガラリと変えたりする。

・曲の後半にはRihanna feat. Calvin Harrisの「We Found Love」(2012)
Heavy D & The Boyz  feat Aaron Hallの「Now That We Found Love ft. Aaron Hall」(1991)のメロディがチラリと聴こえる。「what is love」と「愛って何?」から「私たちは愛を見つけた」と複数の曲を一曲に入れることによって展開を変えるのはまさしくマッシュアップの醍醐味だ。


2. What Would You Do?

(1) カバー元
米国のR&BグループのCity High(1999-2003)の「What would you do?」(2001)から。ビルボードで最高8位を獲得するヒット作であるが、歌詞がめちゃくちゃ重い。ある日男がストリップバーにいったら、同じ中学出身の女がそこで働いて、男が「なんでこんなとこで働いてるんだよ」と聞くと、女が「あんたならどうする?息子が家で一人、元夫はコカイン中毒でどっか行った。どうやって生きるっていうの。あんたはストリップバーで楽しもうと思ってるんだけど私にはここでしか生きる術がないんだからね」と言う感じ。Bastilleはそんな重い歌詞に見あう雰囲気を作っている。原曲はどちらかというと軽く聴こえてしまう。


3. Requiem For Blue Jeans

(1) 冒頭の"oh my God, Harry"
映画「Requiem for a Dream」(2000)のセリフから。この映画は普通の人々が、薬物依存により生活が崩壊していくという姿を描いた作品。(https://en.wikipedia.org/wiki/Requiem_for_a_Dream)より。

(2) カバー元
この作品はマッシュアップとなっている。一つ目はRequiem for Dreamのサウンドトラックから「Lux Aeterna」。もう一つの歌のほうはLana Del Reyの「Blue Jeans」(2012)より。こちらの曲も歌詞が絶望に打ちひしがれた男女を描いていて、映画を観てないので分からないが恐らくリンクしてそうな気もする。因みに映画の主役は30 seconds to Marsのヴォーカル、ジャレッドレトでもあったりする。


4. Of The Night

(1) 曲
この曲が今作で一番有名な曲であろう。チャートでも2位を獲得し、ライブでも定番の曲となっている。
そしてこの曲もマッシュアップとなっている。一つ目は、イタリアのユーロダンスバンドCorona(1993-)の曲「the Rhythm of the night」(1993)から。原曲はほんとにユーロダンスビートである。もう一つはドイツのユーロダンスバンド、Snap!(1989-)の曲「Rhythm is a dancer」(1990)より。こちらもユーロダンスが曲調だ。Bastilleは二つのユーロダンス調の曲、そして「リズム」をキーワードに夜の雰囲気に合うダンスチューンをマッシュアップさせた。因みにPendulumのヴォーカル、Rob Swireはこのマッシュアップに対して文句を言っている。



5. Titanium

(1) 冒頭のセリフ
Dan Smithの愛するデイヴィッドリンチ監督の作品「マルホランド・ドライブ」(2001)から。映画を観てないのでうまく説明できなくて申し訳ないが、深読みと謎解きが要求される作品であるらしい。

(2)曲
David Guetta feat. Siaの「Titanium」(2011)から。歌唱面で流石にSiaの熱唱に合わせると無理が出るのか、曲調もかなり変えて歌っている。Bastilleは意味のないサンプリングをしないから恐らく映画と曲で歌詞をリンクさせてるところがあるだろう。


6. Love Don't Live Here

(1) 曲
こちらもマッシュアップ、一つ目は米国R&Bソウルグループ、Rose Royce(1978-)の「Love Don't Live Here Anymore」(1978)から。原曲はムーディーな雰囲気のあるR&B。もう一つは自身の曲「Laugher Lines」(2013)から。こちらの曲は2013年にリリースされてはいるが、実質このミックステープで少しお披露目されていたようだ。


7. Falling

(1)冒頭のセリフ
ジョンヒューズ監督の「ブラックファストクラブ」(1985)から。青春映画で接点のない高校生5人が休日に図書室に集め、「自分とは何か?」というテーマを課される。それまで付き合いが無かった5人は自分の心を打ち明かし、心を通い合わせていくという物語だ。(https://en.wikipedia.org/wiki/The_Breakfast_Club)より。


(2)曲
こちらは自らの曲をマッシュアップさせている。一つ目は「Laura Palmer」(2011)、二つ目は「Overjoyed」(2011)より。ミックステープの最後を飾る曲に相応しく、落ち着いた曲調にしている。


まとめ

1970年代から2010年代まで幅広くカバーしているが特に今回目立ったのは1990年代のユーロビート曲を多く取り上げている。他にもリリースされた2012年あたりのヒットソングや自身の曲をマッシュアップしたりとやりたい放題であるが、ここで言いたいのは、これがBastilleなのだ。
今回はポップロックバンドという認識から更にこうした一面もあるという事を知らせたくべく、記事に取り上げた。が、個人的に好きなのが「Other People's Heartache, Pt. 2」なので、そちらも布教したいので次回に続く。

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