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何者でもなかった私が、三度の転職を乗り越え見た世界

今日のnoteは、日本経済新聞とnoteが共同で開催している「仕事や働き方」に関するお題企画「 #転職体験記 」について書いていく。

「転職」というと、一昔前はネガティブに捉えられることも多かったキーワードだ。勤め上げることが日本人の美徳、転職者は会社の裏切り者。そんなふうに捉えられている筋すらあったように思う。

一方今では国も「転職」を推奨する時代に入ってきた。数年前と比べ、社会も随分変化したなと思うし、ようやく日本も世界のトレンドに向かいつつあるなと感じている。

言わずもがな「転職」は、私の人生に大きなインパクトを与えたライフイベントの1つだ。私自身、過去3回のどの転職を振り返ってみても、それぞれに意義があり、価値があったように感じている。

もちろん最初の会社でずっと勤め上げるという選択肢もあっただろう。今振り返ってみても、あの会社でキャリアをスタートできたこと、これは本当に今でもかけがえのない大切な経験だ。

ちょうど先週、Facebookで当時の同期たちが勤続20周年を祝った記念旅行に出掛けている写真を目にした。新卒の頃から変わらない彼らのあどけない笑顔にはどこか癒された一方、少し物悲しさも感じたのは事実だ。20年という長い時間、1つの企業で苦楽を共にした人生の友・仲間。そんな存在が私にはもういない。会社を去った者の孤独、それは転職者に常に付き纏う。

いつも、いつでも一人で考え、行動する。
それが転職した者に課せられる使命なのだ。

三度の転職を経てそれなりのマイルストーンに到達できた今でさえ、今だに転職についての”正解”を考えることは多い。あのままずっと同期と一緒に仕事を続けていたなら、いったい今頃自分はどんな人生を送っていただろうか?案外それはそれで幸せな人生だったんじゃないだろうか?とりわけ昨今、急成長するその会社の企業価値株価を横目に、そんなことを考えることはまた一段と増えたように思う。何が”正解”だったのか?答えがあるわけもないそんなテーマについて、無駄とも言える思考を時折ぐるぐる巡らせている。

しかし「転職」を知ってしまった今の私にとって、「転職」なしの人生など、もはや想像だにできない。転職したからこそ私は今、自分らしい人生設計を、自らの手でクラフトすることの楽しさを、得られたように思うからだ。

「転職」こそが自分を変えられる機会、「転職」こそ自分を成長させる原動力。そう信じて久しく経つ。


私のキャリア年表

2003年4月
新卒で外資系製薬会社(A)へ入社 ❶
(営業部門)

2009年10月
退職しカナダへ
(ワーキングホリデー)

2010年12月
日本へ帰国

2011年2月
外資系市場調査会社(B)へ入社 ❷
(営業/データ分析部門)

2014年4月
外資系製薬会社(C)へ入社 ❸
(事務系部門)

2022年2月
外資系製薬会社(D)へ入社 ❹
(事務系部門 責任者)


❶ 1社目

新社会人の時代から人生に目標なんて何もなかった。

目標を持て。なりたい自分を目指せ。そんな言葉にどこか違和感を感じていた。

ただ、当時から”変わらなければ”という思いだけは常にあった。同期の中でもひときわ目立たない存在だったから、それに対するなんとなくの”危機感””焦り”があった。自分がValue(価値)を出せるフィールド。それをずっと模索していた。

最初の会社(A)を辞めたのは、元を辿れば"同期の休職"に最初のトリガーがあったように思う。彼は1年間会社を休職してアメリカに渡った。なかやまきんに君に面影が似ていることから、同期からは"きんにく留学"と言われ揶揄されていたが、私は正直笑えなかった。なぜなら、それこそが当時私が試したかったことそのものだったからだ。先を越された悔しさがその後の自分を突き動かした。

2009年10月、私は6年半勤めたAを辞め、一路カナダへと向かった。


❷ 2社目

ただ、6年半の営業キャリアと1年の留学経験を持ってしても、未経験業務への転職は思っていたよりハードルの高いものだった。いろんな企業を受けては面接に落ちまくった。スキル不足、経験不足をその度に指摘された。即戦力となるには、やはりそのフィールドでの実績が必要。それを痛感させられた日々の連続だった。

幸いなことに拾ってもらえたのが2社目に就職することとなった調査会社(B)だった。未経験ながらも比較的良い待遇で採用してもらえた。それでも入社時の年収は前職時代よりも少し下がった。

年収はその会社においての自分が示せる価値によって上げ幅が決まる。そのことを身をもって体現できたのが、この会社での学びだった。自分の持ちうるValueを示し、周囲の期待値を超える。とてもシンプルなことだけれども、これによって給料は大きく変わるのだと感じた3年間だった。幸いにもこの会社で、私はジョブランクを1つ上げることに成功した。


❸ 3社目

更なる成長を目指し、外資系製薬会社(C)への入社を決めたのは2014年の春だった。

マネージャー職だった前職からポジションを下げての入社となったが、一方で年収は据え置いてもらえた。その後8年弱勤めることとなるCでは、多様な経験を積ませてもらえることとなった。派遣社員さんの意見集約とチーム管理、業務のアウトソース、新たなシステム導入プロジェクトのリード、社内マニュアル刷新プロジェクトのリード、どれも未知な経験であったが、目に見える形の成果を示すことによって、評価もいただける時間が長かった。

この頃から私は、価値(Value)を意識して仕事をするようになった。日常のルーティーン業務の着実な処理ではなく、見たことのない世界へ同僚や上長を連れていくこと。これこそが働くことの醍醐味であり、面白さであり、そして私自身のValueであるのだと。

Valueの追求によって、Cでの生活の中で私は二度の昇格を経験し、報酬面でも、目標としていた大台に到達することができた。

しかし、この頃から私はまた少し迷い始めることとなった。

「自分は今後どうしたいのか?」まだ20年以上続くこのキャリア人生の中で、ここから更に何を達成したいのか?もはやそれが見えなくなっていた。

そんな最中、一人の同僚が突然転職により会社を去った。期待されていた同僚だっただけにショックも大きかった。しかしこの時、どこか羨ましさのような感情が私の中にはまた芽ばえはじめていた。


❹ 4社目

「自分の実力を外で試してみたかった。」

こう言うとかっこよく聞こえるかもしれない。

有難いことに、それまでのキャリア人生の中で多様な職場から、多様な経験を積ませてもらえた。交渉ごと、調整ごと、プレゼンテーション、データの分析からレポート作成、予算管理、英語での仕事、メンバーの育成や管理。専門的知識/経験に限らず、様々なポータブルスキル転用可能なスキル習得装備することができた。

時は満ちた。そう感じていた矢先の転職エージェントからのメール提案だった。

「飛び出すことに迷いはなかったか?」そう聞かれると、正直答えに詰まる。この時の私は、転職には半信半疑だった。

満たされた今の地位に対し、かたやより責任が乗る重いポジションの案件。更には部署における日本代表、今後始まる壮大なプロジェクトの指揮。その一方でまだまだ少ない自分の知識と経験。今の自分にこんな仕事が務まるのだろうか?そんな不安な気持ちに苛まれた。

Cでは必要十分なまでの評価と報酬をいただき、それに恩義に感じていただけに、心境は複雑だった。

進むべきか、留まるべきか。

でも、後悔の残る選択肢だけはしたくない。そう思い、前に進むこと(Dへの転職)を決意した。


20年のキャリアを振り返る

報酬とは株価のようなものだ。

期待が先行して上がり、それにValueが追いつけば更にそれは上昇する。反対に期待外れに終わったら、降格や減俸が待っている。上に行けば行くほど、その振れ幅は大きくなる。つまり、いかに自分がValueを出せる環境に身を置けるかが運命を分けると言っても過言ではない。

ここまでくると、環境を変えることを常に選択肢として持っておくことが重要になる。自分の強みは何か?それが発揮できる環境とはどこか?そしてそのためには今、自分は何をしなければいけないか?

そんなことを普段から考えるようになった。

思い返せば2003年にキャリアをスタートさせはや20年。新卒当時何者でもなかった私が、三度の変化転職を乗り越えて、こんなところまで来れるとは想像だにしていなかった。ただ一言で言えば、周囲の環境に恵まれ続けた20年だった。

率直に言う。私は今の環境が好きだ。このDという職場が好きだ。日々たくさんの課題とチームのマネジメント、英語での仕事環境に囲まれ、成長を感じる日々に充実感を感じている。しかしそんな現状を鑑みても、あと何年Dに勤められるかは正直わからない。

時代は変化する。Dも変化する。そして私個人も変化する。合併、分社、組織再編、早期退職、そして身近な誰かの"一身上の都合”による突然の別れ。環境は常に変わり続ける。日々少しずつ着々と。確実に。

でもそんな三度の転職の波を乗り越えてきた今の自分だからこそこう言える。

どんなに周囲人・環境が変わろうとも、

  • いつも自分のValueを信じろ。

  • 日々の仕事に情熱を傾けろ。

  • そして、周囲への尊敬と感謝を常に忘れるな。

未来は誰にもわからない。だから日々の一瞬、一瞬を、このかけがえのない今の時間を、自分のValueを信じて、これからもチームに、会社に、そして社会に、価値提供していきたいと思う。

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