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【夕べがあり、朝があった】伊勢神宮125社巡り〜後編〜

お伊勢さんが内宮や外宮以外に、14の別宮と109の摂社、末社、所管社の125社から成り立っていることを知り、
全部周ってみたい!と始めた伊勢125社巡り。

2022年の春にスタートし、
一体どれだけかかるのかと思いましたが、結果
2泊3日(前泊したので、正確には3泊4日)を2回で周り切りました!

えっ⁉️意外❓

そうなんです。
そのくらいで周れてしまうんです。

お遍路は何回も区切り遍路で3年以上かかりましたが、
88ヶ所が四国全域にまたがっているのに対し、
伊勢の125社は、ほぼ伊勢市内に密集しているので、広さが全然違うんです。


「神宮125社めぐり」の冊子より

それに、1ヶ所に何社もあったりして、1日で何社もお参りできるんです。
平均すると、1日に20社程。

また実際に行くことなく、遠くからお参りする、「遥拝」でしかお参りできないところもあって。
なぜなら、125社のうち、何社かは禁足地にあるんです。

なので、遠くから思いを馳せる、そういう場所が何ヶ所かあります。

お遍路の時には、各お寺で納経帳に御朱印をいただくので、どのお寺を回ったか一目瞭然なのですが、
125社巡りはそのようなものがないので、本当に気持ちとか思いとか、目に見えない精神的なものが大きいです。

目に見えない、精神的なものといえば、名前を刻まない、伊勢の神宮のお宮や宝物もそうだなぁと思いました。

通常、何か人間国宝的な方が作られたものには、製作者の名前、つまり「銘」を入れることが多いですが、
伊勢の神宮のお宮やお宝には、決して名を刻まないそうです。
神に捧げるものには、「自我」「自己主張」「エゴ」、、、そういったものを消すんですね。


せんぐう館とまがたま池

外宮の入り口付近にある、「せんぐう館」
ぜひ、伊勢に行ったのなら、こちらも見てほしい場所の一つです。
遷宮に関していろいろ知ることができますし、特に最後の部屋に入った瞬間、感動すること間違いなしです。

座れる場所もありますし、しばし1300年以上も続いている遷宮、また守ってこられた方々に思いを馳せる時間を設けてみてください。

また、せんぐう館で学んでびっくりした事、
それは、遷宮の度に宝物も作り替えているということ‼️

20年毎にお宮を立て替えているのは一般的に知られている事ですが、
伊勢の125社巡りを始めて、内宮や外宮だけでなく、125社全て作り替えていることを知って驚いた話は前編でお伝えしました。
さらにさらにお宝まで作り替えていたなんて。

今展示されている宝物は、以前奉られていた宝物だそうで、
実は昭和の初期までは、それら全て埋め戻されていたそうです。
土に還す意味と、市場に出回らせない意味があるようです。
元々神に捧げたものですので、それで商売するのは似つかわしくないし、
市場に出回ってしまうと、伊勢の宝物だと言って偽物が出回るなど、様々な問題が起きないようにという配慮もあってのことでしょう。

昭和の初期までは埋め戻されていた宝物ですが、今はこのせんぐう館で展示したり、職人さんの資料にしたりしているそうです。
展示してくださっているおかげで、間近で細部まで見れます。

ここでも人間国宝級の方々の技術や思いに感嘆致しました。
例えば、刀の柄(つか)に隠れてしまう下の部分でさえも、木の種類にこだわったり、見えないのに細かな細工があったり。
見えないところであっても、手を抜いたり、妥協が一切見られません。

見えない、わからないから適当に済ますということは、人は騙せても、神はお見通し。
何より自分を一番騙すことになるとでも感じているかのように。

日本の匠って本当に誇らしいですね。
こういう精神性は、日本人ならではと感じます。
昔から「お天道様が見ている」ということを感じてきた民族。
商業的なシステムでは決して維持できない、「心」「精神」「魂」、、、そういったものを感じました。

他にも外宮の御饌殿で毎日朝夕に行われている神事、「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」。


「神宮125社めぐり」の冊子より


ご祭神にお食事を奉るご神事ですが、この時に使われる素焼きのお皿までも毎回新しいものを使うそうで、
捧げた後は土に還すそうです。


ネット上の画像を拝借


神饌(お食事)を作るための火は、毎回古来からの方法で起こした火でなければならず、
調理に関わる神職は、前夜から館に籠って身を清めるといった徹底ぶり。

毎日、朝夕365日。
外宮のご鎮座以来、約1500年も続いているとのこと。

百聞は一見にしかず。
ぜひ、伊勢の地を訪れて、千数百年以上脈々と受け継がれる、日本人の精神を体感してみてください。


二見浦

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