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「魔改造の夜」(NHK)とコンストラクション系(ウォー)ゲーム


魔改造の夜

魔改造の夜(NHK)が、昨年(2023年)から毎月1回!の放送になっています。月末木曜日(たぶん)に地上波でも放送しています。
再放送やスピンオフ企画?番組も放送されたり、人気が出ている故だと思いたいです。
詳細はサイトを見ていただけば良いので割愛しますが、おおよそ「与えられた既製品(家電製品やおもちゃ)を魔改造し、与えられたお題で3チーム対抗で勝負する」番組です。
2/29は「キックスケーター 25m綱渡り」、3月はスピンオフ企画「技術者養成学校」でした。

参加チームは、総合力やカバー範囲を活かした大手、得意分野で際立つメーカー、大学などから3チームが出場。番組中では製作過程から紹介されます。
この製作過程が面白いです。

  • 正解が無い(わからない)

  • 専門分野で無い(リーダーが畑違いだったり、そもそもお題が参加企業の事業から遠いこともある)

  • 時間が無い(お題を与えられてから本番まで1.5ヶ月のようです)

などを始めとする制約の中で、暗中模索/試行錯誤しながら作り上げていくプロセスを見るのは、毎回面白く、感激します。
「超越した発想。想定通りに動けば、他の追随を許さない(予算が…)」「『お題』を可能な限り活かしたい」「自社の得意分野では無いので、全く異なる分野の技術を使ってみよう」「勝負として割り切れば、一発勝負で良い」「アベレージが出るのはこの方法だ」…と試行と思考を繰り返しながら、でも制約の中で割り切り(決断)をせざるを得ない場面を、マシンの製作、実験映像とうまく合わせて見せてくれるのが楽しいです。
できれば、映像の中で時折流れるリーダーの日記を中心にした総集編を作ってほしいものです。

若手社員がリーダーを担っていることが多く、成長を期待して経営層がリーダーを任せているのもわかります。

そして、競争相手である他のチームの試技を、他のチームも一緒になって応援し、結果に共に一喜一憂するのも、モノづくりをしている人たち同士ならではの共感と理解があるからでしょう。
個人的なベストエピソードは「トラちゃんウサちゃん50mリレー」('23/12月の「カメレオンちゃんダーツ」、'24/1月「おトイレ ゆか宙返り」2月「キックスケーター25m綱渡り」の連作も甲乙つけ難い!)、仰天エピソードは「お掃除ロボット走り幅跳び」です。

コンストラクション系のゲームの適当なリスト

コンストラクション系ゲーム?ここでは「限定されたリソース(多くは費用)の中で、目的達成のために様々なパーツを組み合わせてメカニックを作成し、作成したメカニックで競う。ただし、パーツは費用・重量・スペースなど複数のパラメータを持ち、その選定と組合せ/組み込みには計算が必要とされる」ゲームと定義します。さらに、作られたメカニックが1回のゲームの中でのみ使われるのではなく、別の(次の)プレイの機会(シナリオ)でも使うことができるルールを持つことも付け加えたいです。

いくつか挙げてみます。思いつきなので、より重要なものが抜けているかもしれません。ご容赦ください。ウォーゲームか、ロールプレイングゲームを背景としたものに分類されるゲームばかりです。ユーロゲーム系は含まれていませんが、「計算」や「次のプレイでも」のあたりがユーロゲームのターゲットに合致しにくいですかね。

  • カーウォーズ ( Steve Jackson Games / ホビージャパン )

  • バトルテック ( FASA / 富士見書房 )

  • クリムゾンスカイ ( FASA )

  • ヘビーソルジャー ( ホビージャパン )

  • 1兆クレジット艦隊 ( GDW / ホビージャパン )

とても重要なあれやこれやが抜けていますが、いったんご容赦ください。
さらに、SFが多くなるのも必然でしょう。
でも、これらをウォーゲームと言っていいのか。。。

コンストラクション系ゲームの魅力

コンストラクション系ゲームの楽しさは、自分の思考で形作られたものを他者と競わせることにあるのだと思いますが、その楽しさの本質は打ち負かしたり勝敗をつけたりすることでは無く、他のプレイヤーに認知してほしいことなのではないでしょうか。同一のルール下であるのだから、ロジックは通じる相手です。その相手に、勝つにせよ、負けてもいい勝負を繰り広げたにせよ、印象に残る場面を見せられたにせよ、びっくりのギミックを持っていたにせよ、自己の存在(と、それを生み出したアイデア)を認めてもらうことが一番の達成感なのではないでしょうか。
コンストラクション系ゲームは、多くのウォーゲームやユーロゲームよりも、プレイそのもの以外に相手に認知してもらうシーンが多いのだと思われます。トレーディングカードゲーム、RPG(キャンペーンでは特に)も同じ要素を持つのではないでしょうか。

だからなのか、RPGと親和性が高いのも当然で、むしろRPGと組み合わせたときに特徴を最も引き出すことができ、ゆえにゲームシステムに組み込まれているか、システムの背景から生まれたと言えるゲームになるのだと思います。
以下では、コンストラクション系ゲームと、背景世界を共有するRPGとを並べて記載しています(なお、前2者は背景を基にしてRPGが作られましたが、後2者はRPGが先です)。

  • カーウォーズ : ガープス オートデュール(GURPS Autoduel)

  • バトルテック : メックウォーリアー (Mechwarrior)

  • ヘヴィーソルジャー : メタルヘッド (Metalhead)

  • 1兆クレジット艦隊 :トラベラー (Traveller)

そのうちに、プレイヤーごとの個性も見えてきます。カーウォーズで、スパイク投射器&オイル噴霧器という悪魔のようなマシンを登場させたプレイヤーは「"撒きもの"に凝る」評判を定着させたり、
バトルテックのキャンペーンにおいて、移動能力と火炎放射機で敵メックの周囲を熱地獄に変える(もちろん自分のために冷却器多め)小技が嫌らしいプレイヤーも出てきました。
個性を認めてもらうのが達成感を得ることなのです!

コンストラクション系(ウォー)ゲームの紹介…バトルテック

まずは、「バトルテック(FASA/富士見書房/ Catalyst)」を取り上げます。
同ゲームは、
Paradox社からPCゲームもリリースされているので、ご存じの方も多いと思います。
(Catalyst社のWebサイト↓)

「メック」と呼ばれる歩行型兵器を駆り、敵と戦います。背景設定も詳細で、単発のバトルシナリオでも、連作キャンペーンも楽しめます。キャンペーンであれば、メックも操縦者も成長する機会が得られるでしょう。

本稿は「コンストラクション」の側面でまとめていますので、以下はその点だけになります。ご容赦ください。また、日本語版(富士見書房)を基にしていることをご承知おきください。

「メック」の”入れ物”となる機体には、重量と装備可能スロットの2種類の上限があります。大型の機体であれば重量制限はもちろん大きくなりますが、その分大出力のエンジンが必要になります。
エンジンにも重量が定められています。重量が定められ制限内に収めなければならないものは、おおよそ装甲・弾薬・兵装が該当します。兵装はまた、装備可能スロットにあてはめる必要があります。なお、装備可能スロットは機体の大きさによらず一定です。

まとめると、「バトルテック」の「メック」製作のガイドは以下のようになります。

  • 機体には荷重制限と容積上限(装備可能スロット)が規定されている

  • 荷重制限は機体が大きくなればなるほど大きくなる

  • エンジン、装甲、弾薬、兵装を荷重制限下で積載する

  • 兵装はまた、設置スペースを要す(装備可能スロットに充当する)

なお、前述した通り、エンジン出力と機体重量によって移動力が決まります。
また、「バトルテック」での特色ある装備が「放熱器」です。「メック」は移動や射撃などを行うと「熱」が蓄積され、一定の値になると移動や射撃へのペナルティ、弾薬の誘爆や停止に陥ることもあります。そのため放熱器を追加で積載(重量のみ、スロット不要)することもできます。

本稿は「コンストラクト」に絞ってのゲーム紹介であるので、ゲーム手順や判定方法など基本システムの紹介は割愛します。ご容赦~