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特別展「古代メキシコ」を見てきた&古代メキシコのゲーム(主としてウォー)

赤の女王、来る。特別展「古代メキシコ」

チラシ(左)と図録(右)。図録の表紙は3種類

東京国立博物館で観ました。東京は9/3までで終了です。
古代(なぜ16世紀も古代に含めるのだろう)メキシコの展示は、大昔に新宿小田急の展示でマヤのヒスイマスクを観て、その前から離れられないほどの衝撃を受けてから、機会がある度に展示に行くようにしています。それに行ったのも、NHKの「大英博物館」がきっかけでしたが。

古代メキシコは、発掘や研究もまだまだ途上なのでしょうか。展示に行くたびに精度が高くなっているのを感じます。今回は、テオティワカン(太陽のピラミッド等)/マヤ(パレンケ、チチェン・イツァー等)/アステカ(テノチティトラン等)を初めとして4エリアで展示されていました。目玉は、パレンケ王妃のものではないかと推測されている「赤の女王」の埋葬物。他にも、アステカ期の「鷲の戦士」像や、テオティワカンのFeathered SerpentのピラミッドからFeathered Serpentの像、チチェン・イツァーのチャックモールなども展示されています。私見ですが、古代メキシコの遺物からは、荒々しさと細密さをあわせもち、両者が(融合はしているが)調和することなくそのままぶつかってくる迫力を感じます。

アナログゲームでの古代メキシコ

ところで、古代メキシコを扱ったアナログゲームは、他の古代文明をモチーフにしたゲームと比べて見劣りがします。それでもユーロゲームでは、ツォルキン、テオティワカン、メキシカなど名作も目立ちますが、ウォーゲームは思ったほど多くありません。
さらに、ウォーゲームではスペインによるアステカ征服の時期を描く作品が多く、それ以前の歴史を描くものは殆どみられません。研究が進んでいない(情報が揃っていない)ため、致し方ないのでしょうか。

古代メキシコを扱ったウォーゲーム

そんな数少ないウォーゲームをリストアップしてみました(他にもあるかもしれません)。ただ、すべて15世紀~16世紀です…「古代」では無いんですけどね…

One World(Simulations Canada)

One World のマップ、ルール表紙

6人までのマルチプレイヤーズゲーム。1426年から1501年までを扱います。1ターンは5年。各プレイヤーはTepanecanpan、Acolhuacan、Tlahuican、Chalco、Tlateputzco、Mexicaの勢力のいずれかを担当し、メキシコ高原に覇を競います。ゲーム終了時のVPで勝敗を競いますが、他勢力の「部族神」を全て捕らえるとサドンデス勝利します。
シークエンスは、以下のセグメントから構成されています。
部族長の死亡判定(1ターン5年ですから)、暗殺、自然災害、部隊動員に加え、"花戦争"という古代メキシコ文明を特徴づけるルールも含まれています。
ルールは簡単ですが、かなり乱暴な展開になる気がします。マルチプレイヤーズゲームとして成立するのか…きちんとルールを読んでいないので未確認です。おそらく、プレイする機会は無いかも…

Cortes: Conquest of the Aztec Empire(Command Magazine 20号)

マップとマガジン表紙

テノチティトランの攻防にフォーカス。湖も移動でき、スペイン軍には大砲を積んだボートも登場します。騎兵、大砲、疫病、アステカのトラップなどこの戦いを特徴づけたルールも用意されています。指揮官は両軍1名ずつ(コルテス、クワウテモック)。コルテスを除去すればアステカのサドンデス勝利です。

Cortés et la conquête du Mexique 1519-1521(Vae Victis 137号)

左から、マップ・マガジン表紙・テノチティトランマップ(139号に収録)

スペインのメキシコ上陸からを扱っています。メキシコに上陸したスペイン人が、メキシコ諸部族を味方につけつつテノチティトランに進撃します。したがって、外交ルールもあります。スペイン軍の指揮官はコルテスだけでなく、アルヴァラドなどもユニット化されています。スペイン軍は指揮官を失うとアステカにVPが加わるので注意必要です。簡易的な戦術戦闘ルールも用意されています。取り得る戦術はチットで表現され、アステカのみが使える伏兵、そしてスペイン軍のみが使用できる騎兵突撃!(アステカは馬を知らなかった)ももちろんルール化されています。他のゲームで実績あるシステムを使っていますし、ゲームになっていそうな気がしています。
139号にテノチティトラン攻防のマップとルールが掲載されました。

変わり種として…TRPGでは

High Lord of Earth (West End Games)

表紙
"High Lord of Earth"の舞台

TRPGシステム「TORG」のシナリオ。ゴーントマンの側近であったコアアース人が、コアアース人のダークネスデバイスを発見し、自らもハイロードになろうとする。それをストームナイトが防ぐ。古代メキシコを背景にしたシナリオセッティングは珍しいので、発売されていた(プレイもしました)ことは嬉しいのですが、古代メキシコの××がダークネスデバイス扱いされている点については不満でした……(若干、ストーリー変えてプレイしましたが)※専門用語ばかりで何を言っているのかわからないのはご容赦
TRPGでは、「GURPS Aztec」や、「Advanced Dungeons and Dragons」の背景資料集であった「Mystra」もありましたね。

文学作品では

創作作品でメキシコ神話が登場するときは、ヒール役で登場させられる印象があり、残念です。文化を現代の価値観で判断するのではなく、遺跡や遺物をを通じて歴史が知られることを願います。
文学作品でアステカ征服を描いたものでは、私は「滅びの符号」(ジュマーク・ハイウォーター著)を推します。
絶版なのが残念です。福武書店(ベネッセ)さん、「滅びの符号」を再販してください!