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どんぐり(長野修平さん)が語る(1)人生が変わるような体験を

「聞き書きインタビュー」シリーズの第3弾は、長野修平さんの登場です。ネイチャークラフト作家として知られる長野さん、実は初期のBe-Nature Schoolに深くかかわった一人です。当時のニックネームはなぜか「どんぐり」。相模原の里山に半セルフビルドで建てられたアトリエを訪ね、設立当初の様子、そして今につながる思いを語っていただきました!

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Be-Nature Schoolにかかわるそもそものきっかけは、仕事でアイサーチ・ジャパン(国際イルカ・クジラ教育リサーチセンター)のオフィスを訪ねたことだった。当時はPR代理店に勤めたんだけど、はじめは完全に仕事として上司と一緒に岩谷孝子さんに会いに行った。でも、アイサーチみたいな活動には前から興味があったから、けっきょくボランティアという形でかかわるようになったわけ。

その後フリーランスになってアイサーチの事務所を間借りしてたころに、ひげさん(長谷川孝一さん)とメグさん(松元恵さん)がBe-Nature Schoolの相談に来たの。そんな経緯で自分も立ち上げにかかわるようになった。

3人の話から僕が受けた印象は、「単発の短いプログラムだと肝心な芯の部分が伝えられないから、そこまで伝えるものをやりたい」ってこと。それで、いわゆるナチュラリストとかが大勢集まって、何か新しい自然学校とかスクールみたいなのがつくれたらいいねという話になっていった。

日帰りとか1〜2泊の短いプログラムをやってる人は、もちろん当時もいたんだけど、たとえばメグさんにしても、その後、講師になってもらった橋谷(晃)さんにしてもコバさん(小林毅さん)にしても、短いプログラムだと、本当に伝えたいことは伝えられてなかったと思う。

もう洗脳されるぐらい、フィールドにどっぷり浸かってるからこそ得られる精神世界があるわけじゃない? 逆に言うと、それぐらいどっぷりじゃないと見えてこないものがある。少しでもそれを伝えるにはどうしたらいいか考えて、1年間の継続プログラムにしようってことになった。

プログラムを考えるときはいろんな人に会いに行ったね。リサーチ目的でたくさんの体験プログラムに参加しながら、Be-Nature Schoolのコンセプトにピッタリだなぁ、この人とだったら一緒にやりたいなぁ、と思う人を口説いたり。

橋谷さんやコバさんはそのとき既に、もう業界トップだったわけだけど、僕とか森(雅浩)さんはまったく無知な人間。それがよかった部分があったと思う。Be-Nature Schoolが対象に考えてたのは、自然とか環境に詳しくない人だから、そういう人に「なるほど、そういうことか!」って思わせるものにしないといけない。そうしないと広がっていかないはずだし、井の中の蛙で終わっちゃう。だから、僕らがなんの専門性も持ってないからこそ、知らない人の目線に立って考えられたのかなと。

もうひとつ、プログラムデザインのときにこだわったのは、講師料をある程度はきっちり払うこと。全国から自然学校系の人が集まる清里のフォーラムとかに行くと、いろんなインタープリターがいるんだけど、話を聞いてみると「格差」がすごいわけ。1日当たりの講師料が数千円の人から10万円近い人までいて。正直言って、やってることは実はたいして変わらなかったりするのにね。

「最低賃金」なんて言い方はなんだけど、そうした部分はきちんと保証しないと、仕事として自然学校を目指そうって人が育たないでしょ? きちんと社会性を保ちながら、事業としても成り立つような形にしていこうって話してた。

(つづく)

*第2回は、どんぐりさん自身がBe-Nature School前後でどんな転身を遂げてきたのか、その軌跡を語ってもらいます。次回もお楽しみに!

(聞き書き・鈴木慈子、構成/編集・小島和子)