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メグさん(松元恵さん)が語る(1)御蔵島のイルカと衝撃の出会い

いよいよ「聞き書きインタビュー」シリーズも最終回を迎えます。トリを務めていただくのはメグ(松元恵)さん。ジャック・マイヨールとの出会いがきっかけでフリーダイビングに目覚めたメグさんは、1998年に日本代表選手として初めて世界大会に出場、2010年には金メダル獲得という快挙を成し遂げました。フリーダイビングの先駆者として後輩の育成にあたると同時に、Be-Nature Schoolでも海の楽しさをたくさんの人に伝えてきたメグさんの野望を伺いました。

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そうかぁ、もう20年なんだね。言い出しっぺはヒゲさん(長谷川孝一さん)だったかな。あのころ一緒に海の活動をしていたヒゲさんと、「なんかもっと一緒にやりたいよね」って言ってたんだけど、あたしたちは海のことしかわかんないし。で、孝ちゃん(岩谷孝子さん)を訪ねていったんだよね。

あたしは1992年に自分のダイビングスクール「BIG BLUE」をオープンしてたの。Be-Nature Schoolが始まったのは1996年だから、BIG BLUEを立ち上げて4年目ぐらいだったんだね。BIG BLUEには当時、ほかにもインストラクターはいたんだけど、スキンダイビングじゃなくてスクーバ専門だったから、素潜りについてはあたしが力入れて教えてるころだった。

Be-Nature School の1年目は、参加者が20人以上もいたでしょ。三宅島と御蔵島のプログラムには3~4班に分かれて、入れ代わり立ち代わりやってくるから、ヒゲさんとずっと向こうで張り付いてた感じ。自分のお店も気になってたんだけど、今はBe-Nature Schoolやらなきゃ!って。

1年目のベーシックコースでは三宅島と御蔵々のガイドに徹してたよね。御蔵島なんてまだ知られてなかったから、隅から隅まで島中を全部歩いて調べ尽くして。そうそう、海だけじゃなくて陸もね。島の中心にそびえる御山(おやま)とか神秘的な御代ヶ池(みよがいけ)とか。あと、巨樹の森に佇む稲根神社には立派な本殿があったりね。あんまり人が入らないようなところを含めて、たいていのところは自分で案内できるようになったと思うし、実際してたよね。今は現地のガイドがつかないと立ち入れなくなってるけど、当時はまだ、そんなこともなかったし。

あたしが初めて御蔵島に行ったのは、孝ちゃんのイルカ調査に呼ばれたとき。確か1994年の「国際イルカ・クジラ会議」の少し後だったかな。その前はまだ、イルカ関係の人は御蔵島の海にほとんど入ってなかったと思う。当時、日本で野生のイルカと泳げるっていうと小笠原だったからね。

そのときの経験はすごかったね〜。もうビックリだったもん。あたしたちが海に入った途端、何十頭という群れが向こうから怒涛のように突進してきて! ヒュー、ヒュー、ヒューって、すごかった! もう目の前でぶつかるんじゃないかと思ったぐらい。あたしたちの周りをぐるぐるまわって、「誰だおまえ~!」ってすごく珍しがられてたみたい。ピーピー鳴いて、もう大騒ぎ!あたしもびっくりしちゃって、水の中で「ほおぉ~っ!!」って叫んじゃってたわよ〜! ホントすごかった!

調査を終えたとき孝ちゃんに、「御蔵島でイルカのツアーやるなら、なるべく御蔵に直接入って御蔵にお金を落とせるようにしない?」って言われたの。三宅に泊まって船で御蔵にイルカを見に行くんじゃなくて、って意味でね。当時はまだ、御蔵には民宿も何もないころで、あたしたちも知り合いのお家の離れに泊めてもらってたくらいだったんだけど、確かにそうだなと思って、御蔵に直接入るようにしたの。

(つづく)

*第2回は、メグさんが海に夢中になった、そのルーツを探ります。お楽しみに!
(聞き書き・鈴木慈子、構成/編集・小島和子)